数年前から、オーディオ専門誌『Stereo』では、夏になるとスピーカーのドライバーユニットが付録としてついてくるというのが恒例となっており、昨年はこのブログでも紹介したように『Stereo』2014年8月号付録のドライバーユニットと、別冊の専用エンクロージャーキットを購入して2Wayスピーカーを組み立てました。
さらに、ウーファーとツィーター間のネットワーク(ハイパスフィルター)用コンデンサを何種類か手に入れて、交換して楽しんだりもしました。
今年は『Stereo』誌に新たな刺客が!
そして、今年も『Stereo』2015年8月号に、同誌付録史上最大という口径10cmのフルレンジユニット(FOSTEX製)が付き、7月18日に発売されています。今回は別冊のエンクロージャー組立てキットが「バックロードホーン」型で、こちらも付録史上最大サイズになっています。
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が、しかし!
今年は昨年とは少し周りの様相が違います。
昨年、3号連続でハイレゾ対応USB DDC→ヘッドホンアンプ搭載DAC→デジタルパワーアンプを付録として話題を呼んだ『DigiFi』誌が、今年は2号連続でスピーカーユニットを付録にするというのです。
『DigiFi』誌の2号連続「8cmフルレンジ」+「ハイレゾ対応スーパートゥイーター」!
去る5月29日に発売された『DigiFi』No.18誌上でそれは突如発表されました。
次号、No.19、No.20 の2号連続で Olasonic とコラボした 「8cmフルレンジユニット」(No.19)、さらに40kHzまで再生可能なハイレゾ対応「3cmドーム型スーパートゥイーター」(No.20)が付録としてつくというのです。
[asin:4880733687:detail]一見『Stereo』誌と真っ向対立か!?とも思えるものの、微妙に発行時期をずらした上で、仕様も『Stereo』がバナナパルプ配合軽量コーンの10cmフルレンジ1発なのに対し、『DigiFi』はグラスファイバーコーンの8cmフルレンジ+ソフトドームスーパートゥイーターという2Way構成。さらに、8cmのフルレンジユニットは20kHzまでの再生を可能としており、スーパートゥイーターなしで単体で使用することもできるようです。
現時点でわかっている情報をまとめてみるとこんな感じになりそうです。(ちなみに『Stereo』8月号はまだ買ってません)
『Stereo』vs『DigiFi』付録スピーカー比較
雑誌名 | 主な仕様・特徴 | 専用エンクロージャー |
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[asin:B00WYFUP2C:image:small] 『Stereo』2015年8月号 2015年7月18日発売 ¥3,990 |
10cmフルレンジ×2 8Ω, 88dB f0〜16kHz f0(最低共振周波数): 90Hz |
ONTOMO MOOK Stereo編『スピーカー工作の基本&実例集 2015年版』 特別付録 バックロードホーン型エンクロージュア・キット ¥4,860 |
[asin:4880733687:image:small] 『DigiFi』No.19 2015年8月31日発売 ¥3,780 |
8cmフルレンジ×2 8Ω, 82dB f0〜20kHz以上 f0(最低共振周波数): 110Hz
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8/26更新: 現時点では次のラインナップ DigiFi
Plast Work
N2 Factory
Oz 奥澤 (オクザワオリジナル)
詳細: |
『DigiFi』No.20 2015年11月30日発売予定 ¥4,980 |
3cmスーパートゥイーター×2 8Ω, 88dB 2k〜40kHz ローカット用コンデンサー(1μF)×2付属
|
ちょうど、DigiFi のスピーカー専用エンクロージャーが StereoSound オンラインショップに掲載され、予告通り「ビックリするような」値段で出てきました(笑)
今年は「バックロードホーン」が流行り?
今回の付録で特徴的なのは、両者とも「バックロードホーン」タイプのエンクロージャーがラインナップされている点です。(『Stereo』誌の方は2013年の別冊付録で5cmバックロードホーンキットを出しているので、口径が倍になって帰ってきた形ですが)
ご存じの方も多いかとは思いますが、「バックロードホーン」というのは、スピーカーのエンクロージャー方式の1つで、一般的なバスレフ型や密閉型と異なり、スピーカーの後面が解放された「ホーン」になっているタイプです。
バックロードホーンの特徴としては、小型小出力のドライバーユニットでも高い能率と高い応答・制動性、ヌケの良い低音が実現できる点などが挙げられます(詳しくは専門書や詳しい人に聞いてください)。
学生時代に友人が長岡式バックロードホーンの代名詞とも言える「スワン」を制作し、下宿部屋でその音を聴かせてもらいましたが、小口径のドライバーながらキレがありヌケの良い豊かな低音が響き、そのサウンドに驚きました。言葉で表現するのが難しいですが、通常のバスレフ型にはない独特の響き方で、一度ハマるとますます気に入ってしまうような音です。
一般的なバックロードホーンは、後面のホーンが右上の写真のようにジグザグの迷路のような複雑な構造になっているため、既製品では一部のハイエンドスピーカーを除いてほとんど販売されていないので、自作ならではの楽しみとして一度は体験しておいて損のないスピーカーです。
- 非常に珍しい既製品のバックロードホーン型スピーカーの例
http://www.bornrich.com/ring-audios-horn-speakers-unconventional-great-sound.html
『Stereo』と『DigiFi』どちらのスピーカーを作るか?それとも両方作る?
サイズもスペックも異なる今回の両者の付録ですが、個人的には今回は『DigiFi』のスピーカーをチョイスしようと思っています。
昨年、『Stereo』誌の「標準的なバスレフスピーカー」を作ったということもありますが、10cmのスピーカーとなるとエンクロージャーも必然的に大きくなり、家に置き場所がない!という問題が生じます。また、どうせ作るなら違ったタイプのスピーカーを試してみたいというのもあります。
グラスファイバー製振動板というのもどんな音がするのか気になりますし、ヘッドホン/イヤホンではなくスピーカーで再生して初めて真価を発揮する「ハイレゾ」サウンドが、スーパートゥイーターの有無でどれくらい差があるのか比較してみたいという点もあります。
ちなみに、現在自宅でメインのスピーカーになっているのは、昨年発売された Cambridge Audio の SX-50 で、発売直後に DALI ZENSOR1 と同じくらいの値段になっていたのを、What Hi-Fi? などの海外レビューを参考に買ってみたものですが、これは大正解でした。(現在は値上げで1万円以上値段が上がってしまいましたが)
そういえばこのブログではまだレビューを書いてませんが、とりあえずAmazonの方に簡易レビューを書いてあります。
もちろん、部屋に余裕のある方は、迫力の低音が期待できる Stereo 誌のスピーカーは魅力的な選択肢となるでしょうし、時間と財力とスペースと家人の理解が充分得られている方は両方作るのもよいでしょう。さらには、特性がうまく合えば、『Stereo』のフルレンジに『DigiFi』のスーパートゥイーターを組み合わせるといったことも出来るかもしれません。
最大の悩みどころは「エンクロージャーをどうするか?」
一番無難なのは、『Stereo』のスピーカーなら別冊のエンクロージャーキットを購入すること、『DigiFi』なら StereoSound Store で売っている専用エンクロージャーキットを購入することですが、『DigiFi』の方は、今のところ5種類。昨年の連続付録と同様、アルミ製のあっと驚く価格のエンクロージャーも出ていて期待を(?)裏切りません(笑)。
また、N2 Factory 製のエンクロージャーの専用スタンドに「NM-3」という未出の型番が出ているので、エンクロージャーの種類はまだ増える可能性があります。(現在出ている5機種は第1弾とのこと)
イベント情報(8.26追記)
9月4日(金) 11時~20時、恵比寿の「GOSARO EBISU」にて DigiFi No.19 と No.20 の付録ユニット用エンクロージャーを一堂に会した、特別内見会を実施するようです。
この案内によれば、奥澤からもエンクロージャーが2タイプ出るようです。また、公式 Facebook ページの情報によれば、未公開の試作モデルも見られるとのこと。
イベント情報2(11.25追記)
【デジファイ特別付録 イベント情報】12月12日、東京・八重洲のオンキヨービル地下1階のマリンシアターにて、ハイレゾカフェを開催します! フルレンジ用スピーカーユニット用エンクロージャーはもちろん、発売直後のスーパートゥイーター用のオプショ...
Posted by Stereo Sound on Tuesday, November 24, 2015
8cmフルレンジ用には互換性のあるエンクロージャーも多い
『DigiFi』の方が8cmフルレンジで、スーパートゥイーターも『DigiFi』No.18 の予告記事中メモ書きに「(サブバッフルは)ステレオ誌ふろくコンパチ」「(サブバッフルから)ユニット着脱可」などと記載されているので、去年の『Stereo』誌付録スピーカー用エンクロージャーを流用できる可能性が高く、他に目を向けてみるのもよいかもしれません。
実際、昨年の『Stereo』の付録用エンクロージャーキットは現在でもアチラコチラのショップで販売されています。
ただし、厳密にはスピーカーのエンクロージャーはドライバーユニットの特性に合わせて計算され設計されるので、単純に大きさが合えばいいという訳でもないのですが、8月31日の『DigiFi』No.19 発売までは正確なスペックがわからないので、あれこれ探して妄想してみるのも良いかもしれません。
- 長谷弘工業(株)-バックロードホーン
- 吉本キャビネット株式会社【エンクロージャー,音響用キャビネット,ディスプレイ,アミューズメント用筐体等】エンクロージャー 一覧
- 横浜ベイサイドネット - スピーカーキット - 自作スピーカー|自作アンプ|自作オーディオ
- コイズミ無線 - エンクロージャー
- ミクセル - スピーカー自作・スピーカーキット・フルレンジ各種スピーカー
http://mx-spk.shop-pro.jp/?pid=7771600
スーパートゥイーターはどう取り付けるのか?
「Stereo Sound STORE」に現在出ているエンクロージャーを見ると、8cmのフルレンジ1発用のものばかりで、『DigiFi』No.20 で予定されている「スーパートゥイーター」はどうやって取り付けたり結線するのか、全く謎です。Facebook の情報によると、今後発売されるマウンティングキット(別売?)でエンクロージャーの天板にセットできるようです。
デジファイアウトレットでは販売していませんが、新しい付録スピーカー用のエンクロージャー第1弾が発表になりました。●詳細・ご予約はこちらへhttp://store.stereosound.co.jp/products/list.php?category_id=198
Posted by Stereo Sound on Thursday, August 20, 2015
詳細はとりあえず、続報と8月31日の『DigiFi』No.19 の発売を待ちましょう。
密かな個人的プラン「デジタルアンプ内蔵パワードスピーカー」
『DigiFi』のハイレゾ対応スピーカー付録企画は、昨年のハイレゾ対応 USB DAC+デジタルアンプ 連続付録企画の延長上にあるのは間違いないでしょう。
個人的には、『DigiFi』No.15, No.16 の USB DCC+ヘッドホンアンプ搭載DAC はケースも自作して活用できてますが、No.17 のデジタルパワーアンプは試しに鳴らしてみた程度で、今ひとつ活用しきれていない部分があります。
そこで、今密かに考えているのは、パワーアンプをもう1台追加してアンプ2台のバイアンプ構成とし、左右各スピーカーのエンクロージャーにそれぞれ内蔵あるいは固定して「パワードスピーカー(アクティブスピーカー)」にしてしまおうか?というプランです。
『DigiFi』No.16 のDACのRCA出力はボリュームと連動するプリアンプ出力となっており、nano iDSD や、ポータブルプレイヤーのヘッドホン出力など、ボリュームコントロールできる機器は色々あるので、パワーアンプ内蔵のスピーカーがあると何かと遊べそうな気がします。接続もRCAケーブルで済むのでシンプルで使い勝手がよさそうです。
さらに、電源にモバイルバッテリなどを使えば、充電してどこにでも持ち運べるアクティブスピーカーになりそうです。
そしてさらに、以前購入した『Olasonic 完全読本』付録の Bluetooth レシーバー等を接続すれば、ワイヤレススピーカーも出来そうです。 そこまでやれば、完全に「Olasonic づくし」ですね(笑)
- 『Olasonic 完全読本』付録のヘッドフォンアンプ搭載Bluetoothユニット「OLA-BT1」が意外に高音質で使える♪ - white croquis
- 100均工作:Seriaの木箱でOlasonicのBluetoothレシーバー「OLA-BT1」用ケースを作ってみた - white croquis
さあ、みんなで悩みましょう(笑)