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思索と探索のクロッキー帳。オーディオや音楽の話題、レビューなども。

Whizzer "Kylin" HE01 レビュー 〜1万円以下の価格に目と耳を疑う、才色兼備・完全無欠の万能イヤホン

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中国での前評判からただならぬ様子だった「Whizzer HE01」

この「Whizzer "Kylin" HE01」というイヤホン。いやはや、とんでもない機種が出ました。 中国で昨年2020年11月18日に発売され、日本では2021年1月29日(金)に発売

1万円前後の有線イヤホンは、ひとまずこの機種を買っておけば間違いありません (断言w)。

この価格帯では稀に見るほどにおそろしくバランスが優れており、スマートフォンで聴いてもよし、変換アダプターやBluetoothレシーバーで聴いてもよし、はたまた数万円〜数十万円の高級ハイレゾオーディオプレイヤーでもよし、と再生機器の性能が上がるとそれに応じて音質がアップグレードされていくのがわかりやすいため、どんな再生環境でもクセなく素直に鳴らしてくれます。

また、音源の音質をあるがままに表現するタイプなので、再生機器と同じく、録音のよい音源ほどその魅力が存分に引き出される傾向があります。また、何かが強調されるといった音のクセがほぼないため、あまり録音状態のよくない古いタイプの音源でも、その「風情」を足し引きなしに味わうにはうってつけで、ある意味リファレンス的に使える機種かもしれません。

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微博(Weibo)で誰もが絶賛するという初めて見る状況

さてこの今回の「Whizzer "Kylin" HE01」、昨年2020年の9月、中国ではコロナ禍が概ね収束し感染対策をとりながら再開されていたオーディオ展示会にプロトタイプが登場し、その後も中国各地で開かれた展示会ではその美しいフォトジェニックな外観もあってか妙に注目を集め、毎回必ずこの機種の美しい写真が微博(Weibo)にアップされ、昨年11月18日の中国国内発売が近づくと、この機種の写真を見ない日はないと言っても過言ではありませんでした。
そして、美しい写真と共にアップされる先行試聴レビューが、どれもこれも非常に高い評価ばかり…

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実は一昨年ほど前から、ポータブルオーディオメーカーが集中する中国の最新情報を収集するために「微博(Weibo)」を使うようになりましたが、この機種ほどあらゆる人やメディアが続々と取り上げて口を揃えて絶賛する様子は初めて目にしました。

同価格帯の他の機種と比べても明らかに高級そうな見た目ですが、2018年に日本でも発売されている「HE03」が2万円弱だったのに対し、今回の「HE01」はなんと日本で1万円前後はほぼ確実とみられる現地価格(500元以下)。

そして微博(Weibo)で68万人のフォロワーをもつ、中国のポータブルオーディオ界隈では有名なインフルエンサーの方にレビューで「全ての面において良く、タイトルに何を強調して書けばいいかわからないほど良いイヤホン」と言わしめるなど、価格に対して音質が並外れてよいらしい、と。

実際に聴いてみたら「前評判」通りだった…

早る気持ちをおさえ(←おさえられてない)、AliExpress で中国での発売直後に購入

これはいてもたってもいられない…と、AliExpress の「Whizzer公式ストア」でほぼ同時にグローバル向けにも発売されていたため、発売直後の11月に発注し、12月の上旬に届きました。

ダイナミック型ドライバーを搭載した機種は、徐々に音を出して慣らしていくこと ("Burn-in" や「エージング」などと呼ばれる) で、製品出荷直後によくある粗っぽさがとれてより上質な音になっていくことが経験上も多いのですが、この機種は「箱出し直後」ですでにレベルが高すぎました。本当にこれで1万円以下なのかと…

オーディオ製品はその価格の幅が非常広く、百均ショップに売っているものから果ては数千万を超えるものまでピンキリですが、高級指向が進んでいるイヤホン界隈の中でも、ここ1、2年程の間にイヤホンとしてはリーズナブルな1万円前後の価格帯に、特に中国のメーカーから価格を上回るような音質とバランスの優れた有線イヤホンが徐々に増えてきている印象があります。

そうした機種も一様に及第点はクリアしているのですが、何かしら個性的であったり、特定のジャンルに特化していたりする中、Whizzer HE01 は聴いた瞬間に「あ"っ…」と変な声が出そうになるほど自然な音場空間と帯域バランス、解像度や質感を持っていました。

そして、Burn-in ボトルに入れて試聴用プレイリストをランダムリピート再生して Burn-in すること数十時間、粗さがとれて一段と自然でしなやかな音になり、優勝しました…

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参考:Burn-in 使っている試聴用プレイリストのSpotify

オーディオ機器の試聴時に機器の限界性能を試すために、あらゆる音源タイプのあらゆる波形やトランジェントの音を含む、周波数もダイナミックスもワイドレンジな曲を中心にピックアップしているので、Burn-in に使うと必然的に世の中に存在するあらゆる音源の音が再生され、ほぼオールジャンルに対応した状態になります。

「神は細部に宿る」を地で行く「Whizzer」という中国メーカー

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「Whizzer (威泽/ウィーザー)」は2013年に中国深センで創立された、イヤホンを中心としたオーディオメーカー/ブランドで、"Colorful Inovation" あるいは "Detail Innovation" をキャッチフレーズに、設計・R&Dから生産、販売、OEMまで手がける、技術に根ざした社風のようです。

また、国内代理店の伊藤屋国際さんのブランド紹介ページでは、

"「驕ることなく心を込めて行う」ことをコンセプトとして掲げ、細部に渡り継続的に改善を行うことがより良い製品を製造するうえで重要であると考えています。"

と紹介されているように、まさに「神は細部に宿る」を開発から製造販売まで地で行くメーカーのようで、実際、HE01を手にすると様々な部分でそれを実感します。

「Whizzer、Opera Factory、JUNCTIONS IDEA」

Whizzer からはこれまでにも「A15Pro」や「HE01」と同じ "Kylin" シリーズの「HE03」といった機種が日本でも発売されていますが、今回ほど注目を集めたことはなく、初めてメーカー/ブランド名を知った方も多いかもしれません。

ちなみに、海外で販売されている "Opera Factory" も、Whizzer (威泽科技) 社のカジュアル向けイヤホンブランドで、ひょっとしたら今後日本でも展開されることがあるかもしれません。

追記:Whizzer の "Opera Factory" ブランドのイヤホンは過去に七福神商事さんで取り扱っていたほか、メーカーではディスコンのOM1(現在は限定モデルのOM100のみ)という機種が、上海問屋で「DN-915968」という型番で販売されているようです。

今年2021年1月の展示会のWhizzerブースに展示された、現行の有線イヤホン

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他に、Whizzer には "JUNCTIONS IDEA" (略称: J.IDEA) というデザインスタジオがあり、Whizzer 製品の意匠デザインやパッケージデザイン、グラフィックデザイン全般を行なっているようです。パッケージをはじめ、HE01のクリアな本体の中に見える、ドライバーユニットがおさめられたチャンバーにもその名が記され、AliExpress の Whizzer 公式ストアでの発売時の購入特典として "JUNCTIONS IDEA" のポーチがついてきました。

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ちなみにこのポーチ単体は AliExpress の Whizzer 公式ストアで$15程で販売されています。

Whizzer "Kylin" HE01 パッケージと内容

※パッケージの内容や付属品などの詳細については、本国で発売直後のものを入手したため、日本国内販売品とは若干異なる可能性もありますので、予めご留意ください。

本体やケーブルの美しさもさることながらパッケージと付属品も豪華

本体の見た目の美しさにまず目を奪われますが、パッケージや付属品も1万円以下とは思えないほど「細部」に抜かりありません。

パッケージ

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厚めの辞書のような黒いスリーブの中に、厚紙でできた上品な黒い箱が収められおり、マグネット式のフラップを開けると印象的な美しいフェイスプレートが目に入ってきます。
最近の中国メーカーのイヤホンでは比較的よく目にするパッケージ演出ですが、輸送中などにフェイスプレートに傷がつかないようにフタの方にスポンジがついているのが、細部への配慮をうかがわせます。

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イヤホン本体が収められたトップのフタを外すと、金属製のキャリングケースと付属品がきれいに収まっており、キャリングケースには2種類のイヤーピース(「REFERENCE TIP」と「VOCAL TIP」)とクリーニングブラシが、右の細長い箱の中にはケーブルが入っています。

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非常に見た目の美しいデザイン

Whizzer "Kylin" HE01 は、Whizzerの「J.IDEAデザインスタジオ」によるその美しい外観が目を惹きます。

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デザインコンセプトは、"Retro, Trendy in the New Era"。新しい時代のニューレトロといったところでしょうか。

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デザインテイスト的には女性向けのアクセサリーを想起させますが、ケーブルのOFCの色に合わせた適度にシックな色味で、男女問わず使えそうです。プレゼントなどには最適でしょう。

初期のプロトタイプでは、フェイスプレート外周部の金属のリングをこの色で生産するのに苦労したようで、40回近い試作を重ねて最終的な形になったようです。

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hizzer HE01 の構成・スペック

Whizzer "Kylin" HE01 は、10.2mm のダイナミック型ドライバーを1基搭載した1DDの機種です。このドライバーユニットは Whizzer が独自開発したドライバーとして第4世代となる "4th gen BRIGHT" ユニットと呼ばれ、本体など随所に文字として記されています。

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HDSS技術を採用し「ETLモジュール」が外から見える珍しい機種

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ダイナミック型ドライバーのイヤホンでは設計上非常に重要な要素であるハウジング(エンクロージャー)のチューニングに、米国 TBI Audio Systems 社の特許技術「HDSS」を採用しており、Whizzer HE01 ではその主要部品である「ETLモジュール」が透明なハウジングの中に配置されているのが見えます。これまでにも「HDSS」を採用したイヤホンは多く出ていますが、「ETLモジュール」が外から見える機種は初めて見ました。

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「HDSS」技術は、スピーカーハウジング内の不要な共振などを吸収したりする吸音材とその配置などの関連技術を特許化したもので、該当する特許を調べてみると、ダイナミック型ドライバーを搭載したスピーカーやイヤホンのチューニングに「吸音材」を使おうとすると大抵この特許にひっかかりそうな雰囲気です。そのため、独自設計するよりもこの特許技術を採用した方が結果的に低コストかつ短期間で開発できる、などの理由で採用機種が増えているのかもしれません。
それゆえ、HDSS登場初期の頃にはよく聞かれた「HDSSを採用している機種はこんな音」という表現や認識は今となってはあまり適切ではないと考えています。

Whizzer HE01 スペック

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Whizzer HE01 はインピーダンスが18Ωと低めで、感度が 112dB/mW と高いので、ヘッドホンアンプの出力が小さいスマートフォンWalkman でも軽々と鳴らせます。
プレイヤー側の再生音量を小さくできるというのは、その分バッテリーの持続時間にもメリットがあるので、特にこのクラスのイヤホンでは重要なポイントだと思います。

ただ、iPhone などでは本体のボタンの1押しで変わる音量の変化が大きすぎるので、場合によってはちょうど良い音量にするのに苦労するかもしれません。コントロールセンターの音量バーをスワイプして微調整する方法もありますが、iOS 14 以降(たぶん)はボリューム操作時に現れるスライダーを指でスワイプすると音量の微調整ができます。

付属の5N OFCケーブルと独自のカバー付き 0.78mm 2pin コネクター

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Whizzer HE01 の付属ケーブルは 5N OFC の手編みケーブルで、単一素材の導体を使用しているため、イヤホンの素の特性が優れていることの自身の表れとも言えそうです。
というは、最近の多くのイヤホンに採用されている銀メッキ/シルバーコート線は、高域がやや強調される特性があるため、イヤホンの特性をケーブルで補正するような設計になっているためです。

独自のカバー付きコネクター

イヤホン側のコネクターには 0.78mm ピッチの 2pin コネクターを採用しています。2pin ケーブルは外部から直接導体に力が加わりやすいため、各社それぞれ工夫を凝らしていますが、カバーをつけて固定するタイプはメーカー毎に互換性がないため注意が必要です。

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純正カバーのない通常の 2pin ケーブルの使用はピンまたは本体側コネクタ破損のリスクがあるため、あまりおすすめはしません。当然ながらメーカー保証外の自己責任で。

また、2pin コネクターのピンはケーブルメーカー/イヤホンメーカーによってピンの直径が微妙に異なる場合がよくあるので、さらに注意が必要です。
ちなみに、Whizzer HE01 の場合は細めのピンが使われており、太めのピンのコネクターを採用するメーカー製ケーブルを無理に刺すと本体側がガバガバになる恐れがあります。

一般のスマートフォンユーザーには比較的需要の大きい、リモコン付きケーブルもあるとよさそうですが、現時点では国内代理店では販売しておらず AliExpress の Whizzer 公式ストアでリモコン付き純正ケーブル("Opera Factory" ブランド)が購入できます。

装着感

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ハウジングは比較的小型で、フェイスプレートがやや飛び出した立体的な形状をしているため、実際に耳に入る部分はかなり小さくなっています。そのため、耳の小さな方でも比較的装着しやすいのではないかと思います。

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ただ、カスタムIEM風ユニバーサルIEMのように耳のくぼみにピタッと収まるのではなく、イヤーピースと耳掛け式ケーブルによる固定が大部分を占めるため、装着安定性は最近のユニバーサルIEM型シェル/ハウジングの機種と比べるとやや不安定なところがあります。

耳の形や大きさは個々人や人種によって大きく異なるのでなかなか難しいところで、耳に収まる部分がこれくらい小さい方がより多くの人にフィットしやすいということもあり、個人的にも日常の使用でストレスになるほどではないので、フィット感は及第点でしょう。

参考までに、同価格帯の他の機種とコネクタの位置を基準に比較するとこんな感じになります。

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Whizzer HE01 の音の印象 〜音の上流の特徴がそのまま素直に反映される

数十時間以上 Burn-in した上での印象は、解像度が高くクリアで見通しがよく、超高域から中音域のきめ細かい繊細な表現力を持ち、低音域から超低音は歪み感が少なく出過ぎずタイトすぎず、中低域から中音域がやや細いかな?という程度で、他は超高域から超低域まで超ワイドレンジで自然な帯域バランスに感じます。ソリッドさもありつつ滑らかさもあり、音場の広さや抜けのよさなど、気持ち良い音に感じます。

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音源やプレイヤーなど音の上流の持つ特徴がそのまま素直に反映される

Whizzer HE01 は、音の上流の影響をそのまま素直に反映してくれるような所があります。

例えば音場空間や音像定位では、音場空間の広い音源は広い空間に、狭い音源は頭の周りに集まるように、音源の持つ音場空間の広さに応じて再生される音場空間の広さも変わり、音源の持つ音の特性がストレートに反映される印象があります。
これは音源の他に上流になる、プレイヤーやヘッドホンアンプについても同じことが言え、プレイヤー内蔵のヘッドホンアンプの音の特徴がそのまま反映される印象があります。そのためプレイヤーによる音の違いやヘッドホンアンプの違いを楽しむにも最適な機種のような気がします。

似た傾向の他の機種として自分が最近試聴した機種で例えると、「FiiO FH3」に迫るきめ細かなディティール表現とワイドレンジさ、桁が違う価格帯ですが、「Noble Audio SULTAN 」のような完璧なバランスの音を低価格でここまで実現できる、というような印象をもちました。

これは Whizzer HE01 がまだ日本で発表されていない頃に、実際にeイヤホンに持って行って店頭で比較試聴した際の印象です。

当初は近い価格帯の FiiO FD1 が近いかな?とかなり前に試聴した記憶から比較してみましたが、Whizzer HE01 はそれを超えてむしろ FH3 に近いものでした。ただし装着安定感は自分の場合は FiiO FD1 や FH3 の方がよかったです。

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帯域バランスがよすぎる

この価格帯で、これほど均整のとれた音に出会うことはまず滅多にないといっても過言ではないでしょう。若干中音域の厚みが弱いかな?という感じもしますが、帯域バランスとしてはイヤホンとしてほぼ理想的な特性です。

トーンジェネレーターアプリで各周波数帯をチェックしていくと、等ラウドネス曲線を考慮した上で、聴感上 2.7kHz と 8.6kHz 付近がやや強くなっていましたが、全帯域にわたり突出するように感じる帯域がないため、特定の帯域が目立つといったことはありません。

派手気味な音に感じる機種では、高域の 8〜9kHz 付近がかなり強くキツめに出るチューニングの機種が多いですが、この機種では強すぎず、派手になりすぎない絶妙なチューニングになっています。
尚、いわゆる歯擦音などの「刺さる音」の帯域「6kHz」付近は抑えめのため、高音域の「刺さり」は感じません。

帯域バランスの近い機種としては、最近の機種では FiiO FD1 や FiiO FH3 が似ていますが、超低音(サブベース)域が FD1 や FH3 ほど強すぎず、それを超えるバランスのよさを感じます。

帯域バランスがよい機種は、音源の特性をそのまま反映するがゆえに、日本のポピュラー音楽に多い、超低域がバッサリ切り落とされてドラムなどの低音が弱すぎ、中高域に音が詰め込まれたような音源では、立体感に乏しいのっぺりした平面的な音に聴こえがちですが、これは音源制作側の問題(意図?)なので、あきらめるしかありません。

今の海外の音楽ではそうした問題はほとんどなく、帯域バランスの良いフラットな特性の機種で最良の音になるように作られていることが多いように思います。メジャーなJ-POPやアニソンなどに多い「一部の日本のポピュラー音楽」は音作りの傾向が偏っているということは、オーディオ機器を選ぶ上で認識しておいた方がよいのではと思います。

最近のイヤホンでよく感じるのは「超低音域が出過ぎる」という機種が非常に多い点です。おそらく日本のポピュラー音楽にはその帯域の音が含まれていないだけでなく、キックの周波数自体が海外の音楽やEDMと比べると周波数が高めなため、チューニング時に考慮されていないのかもしれませんが、洋楽やヒップホップ、EDMなどでは低音過多で頭が痛くなるような機種が多くあります。

Whizzer HE01 では人間の可聴限界にせまる超低音も出過ぎることなく、適度な量感で歪みの少ない良質な超低音のため、EDMやベースミュージック、ヒップホップなど、超低音を多用する音楽を聴く方にもとてもおすすめです。

HALIENE - Walk Through Walls (Official Music Video)
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Tranceシンガー HALIENE のこの曲のように音場空間やダイナミックレンジ、周波数レンジの広い曲では、ボーカルや楽器の微妙なニュアンスからダイナミクス、空間の広がりまで余すところなく体感できます。

イヤーピースによって帯域幅が調節できる

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HE01に付属する「REFERENCE TIP」と「VOCAL TIP」の2種類イヤーピース、ネーミング上わかりやすい名前がついていますが、実際の音としては次のような変化に感じました。イヤーピースを変えることでの音の変化を実感しやすい機種かもしれません。

  • REFERENCE TIP(硬めの軸と大きな開口径)
    HE01のもつワイドレンジな再生帯域をフルに鳴らすイメージ。
    周波数レンジの広い洋楽やEDM系、オーケストラやインストゥルメンタル曲にはこちらがおすすめ。

  • VOCAL TIP(柔らかい軸と小さな開口径)
    超高域〜高域と共に超低域も抑えられ、結果的にボーカルの帯域が聴き取りやすくなるイメージ。
    周波数レンジの狭い日本のポピュラー音楽や電子音楽系にはこちらの方が合うかもしれません。高域側だけでなく超低域も抑えられているのは、人間の聴覚の仕組みで低い周波数が高い周波数をマスキングする「周波数マスキング」の原理で、超低域を抑えることでボーカルを含む帯域が際立つのではと思います。

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適切なイヤーピースを選ぶことの重要性

イヤーピースは音だけでなく装着感にも大きく影響する部分で、特にイヤーピースを横から見たときのカーブの仕方によって、人による合う合わないが大きい気がします。そのため、2種類のイヤーピースそれぞれ各サイズを試して「装着感と音」がどちらも自分にぴったりな組み合わせを見つけるのが大切で、それでも合わなければ、市販のイヤーピースを試してみるという手もあります。

例えば「ちょっと耳から浮いてしまって装着感が安定しない」という場合は「完全ワイヤレスイヤホン用」として売られている高さが低めのイヤーピースを使うとぴったりフィットするということもよくあるので、試してみる価値はあるでしょう。

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解像度や質感

解像度は非常に高く、絹のように非常にキメの細かいディティールやテクスチャーまで再現されます。そのため、オーディオ界隈でよく言われる「解像度が高い」とう表現の中でも、音の粒がそれぞれ分離するイメージというよりは、その音の粒の表面のテクスチャーまで感じられるようなイメージで、解像度は高くても聴き疲れしにくい音です。

反面、音源のアラが気になる場合もありますが、スタジオモニター機ほどハッキリわかるような感じではなく、リスニング向けのチューニングのため、録音のよい音源ではこの価格帯では考えられないほど微妙な音の質感やニュアンスをうまく再現してくれるように感じます。

Krewella - Alive (Acoustic) [Official Video]
YouTube で最も高音質な動画の一つだと思っている YouTube 限定のMV。微妙な息遣いや音のリアリティ、音像定位の距離感など、YouTube とは思えないほどのクオリティです。

1万円前後で「クセ」の少ない機種としてはほぼ無敵?

おおよそ5万円以下クラスの機種の大部分は、なにかしらの「クセ」を持っている印象があります。そして音楽の音源音質にも実は「クセ」があり、特に日本のメジャーなJ-POP系音源は先に挙げたように非常に特異な音源音質で、日本で発売されるイヤホンや日本のJ-POPをターゲットにチューニングされたようなオーディオ機器では、それを補正するような特性の極端なチューニングの機器が多い印象があります。

一方、オーケストラやインストゥルメンタル、ジャズなどはもとより、洋楽やEDMなどは音源の「クセ」が少ないので、「Whizzer HE01」のようにクセの少ない音のバランスの良い機種で聴いた時に、最もよいバランスの音で楽しむことができるでしょう。

Armin van Buuren vs Shapov - La Résistance De L'Amour (Official Video)
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無限に広がる空間に創られる「音の立体造形」のような曲。Whizzer HE01 では、この圧倒的な音場と音のダイナミクスに没入できます。
広い周波数帯域を使っているので、バンド構成音源を前提にしたチューニングの機種ではチューニングのクセが目立つものもよくあります。

そうした意味では、「音源音質が試される」イヤホンと言えるかもしれません。こうしたイヤホンは1万円前後の価格帯では非常に稀で、1万円以下で手に入る「Whizzer HE01」はイヤホンとしてはリーズナブルながら、場合によってはその何倍もの価格の機種をも凌駕する可能性のある、近年稀に見るバランスのよいリファレンス機としても使えるイヤホンだと思います。

個人的には文句なしにおすすめします。

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