最近は雑誌やムックに付録付きのものがたくさん出ていますが、先日、刈谷駅前の書店で付録のハイレゾ音源が評判の『Digi Fi vol.14』を買おうとして、オーディオ雑誌コーナーに寄った所、「ヘッドホンアンプ搭載 Bluetooth ユニット OLA-BT1付き」と書かれた『Olasonic 完全読本』というムックが大量に積み上げられているのを発見。
愛知県刈谷市はデンソー、アイシン精機、トヨタ車体などの本社がある「エンジニアリングの街」でもあるので、駅前のこの書店はもともと自動車や工学系の本や雑誌が異様に充実しており、以前からキット付きの雑誌が積んであるのはよく見かけていました。
「Bluetooth オーディオ」には興味はありましたが、まだ触れたことがなく非常に興味がソソられたのと、既存の機器と接続して遊べそうだったので、『Digi Fi vol.14』とあわせてお買い上げ♪
とりあえず接続してみる
付録の「ヘッドホンアンプ搭載 Bluetooth ユニット OLA-BT1」は半田付けの必要のない完成品で、Micro USB で給電すればすぐに使える状態でした。
第一印象は「思ったより小さい!」
ひとまず手近にあった eneloop バッテリにセリア(100均)で買った micro USB ケーブルをつないで給電し、iPhone とペアリングしてみると、あっさりと接続できました。
SBCコーデックながら、意外に高音質
ヘッドホンをつないで音を聴いてみると…予想以上に音質がしっかりしていてびっくりしました。なんとなく「Bluetooth は音質がよくない」という食わず嫌いのイメージがあったのですが、見事に覆されました。「これならオーディオとして使える」というレベルです。
Bluetooth オーディオ(A2DP)の伝送用圧縮方式には何種類かありますが、この OLA-BT1 は最も標準的な「SBC」コーデックを採用しているとのこと。SBCは最近増えてきた aptX コーデック等と比べて音質が劣るという定説がありますが、この機種では SBC でも 300kbps 程度、圧縮率 1/5 程度のデータ転送レートを確保しているようで、よく言われる「SBC は 1/20 程度まで圧縮されるので音質が云々…」ということはなさそうです。
音質の第一印象はやや硬質でソリッドな感じ。Bluetooth チップは汎用品(型番からおそらく→BM81SPK02)ながら、アナログ段の回路が Olasonic の独自設計&チューニングになっているためか、帯域バランスが自然です。例えるなら、「3ヘッドデッキで録音・再生したカセットテープの音に近い」感じでしょうか。(実家で SONY TC-K222ESJ を使っていました)
といっても「3ヘッドデッキって何?」という人も多いと思いますが、昔のラジカセやウォークマンのように録音・再生用ヘッドが1つではなく、「再生用」「消去用」「録音用」とそれぞれに最適化されたヘッドが3つ搭載されている、フルサイズ(幅約430mm)の据置型コンポーネントステレオでは一般的なカセットデッキです。で、3ヘッドデッキではパッと聴いた感じCDと区別がつかないくらい音質が良いのです。ラジカセやウォークマンでしかカセットテープを聴いたことがない人が聴くと、その音質に驚くと思います。(驚いた人の例)
と、非常にわかりにくい例えですが、それくらい予想外の音質だったということです。
ヴォーカルの伸びや艶もよく、楽器の音像がぼやけるようなこともありません。メディアサーバー経由のハイレゾ音源の再生でも、思わず聴き入ってしまうクオリティです。
条件を変えてテストをしてみると…
超高域でエイリアシング?
先日紹介したサイト
で、17kHz 以上の普通の人の耳には聴こえないはずの音を再生すると、エイリアシングが起きているのか、少し低い周波数帯に「ヒューン」という音が聴こえてしまいました。おらく「SBCコーデック」の仕様上避けられないのでしょう。ただ、音楽を聴く分には全く影響のない、あくまで計測上の結果です。
PCのUSBポートからの給電はおすすめできない
『Olasonic完全読本』の中でも比較特集が組まれていますが、電源の種類によって音質が変わります。手元で試した条件は、
- eneloop USBバッテリー(KBL-L3A 5V/500mA)
- iPad 付属ACアダプタ
- MacBook Pro (early 2008)
ですが、eneloop の場合が一番落ち着いた感じで、iPad 付属のACアダプタではよりエネルギー感があります。ただ、MacBook Pro の USB ポートから給電すると、ピーピーガーガーとノイズが入りまくり、音楽鑑賞にはとてもじゃないですが耐えられないレベルでした。これは以前、
で図解したように、PCから発生するノイズがそのまま USB の電源ラインに乗ってアナログ回路に入り込んでくるためでしょう。
BGMを流すのにピッタリ
少し前に、10年以上前に使っていたサブウーファー(YAMAHA YST-MSW8)と20年以上前の小型のアクティブスピーカー(SONY SRS-37)を実家から回収してきて、サブウーファーを TV につないでいたのですが、サブウーファーをソファの後ろに設置し、アクティブスピーカーをサテライトスピーカーとしてソファの足元に仕込んで、OLA-BT1 をサブウーファーに接続してみました。
SONY SRS-37 と YAMAHA YST-MSW8(仮置き)
その後、サブウーファーは人造大理石の板の上に置き、「ハネナイト」のインシュレーターをはさみました。
結果、ソファーから「どこからともなく音が出る」感じになり、BGMを流すのにピッタリな構成になりました。普段流しているBGMは、
で紹介したとおりですが、「iPhone or iPad →(無線)→ OLA-BT1 → サブウーファー → サテライトスピーカー」という使い方ができるようになり、サブウーファーのおかげでベースラインもしっかり出て、さらに心地よい環境になりました♪
基盤むき出しのままに使っていたら相方にツッコまれたのでケースを作ってみた(汗
OLA-BT1 は上の写真のように基盤がむき出しの状態なので、しばらくはそのまま使っていたのですが、相方が気になったらしく「これこのままなの?」と何度も聞かれるので、ケースを作ることに…
100均ショップで手頃なケースがないか探しましたが、なかなか思うようなサイズのものが見つからず、「とりあえず」別の製品の包装用ブリスターパックを利用して、仮のケースを作ってみました。
OLA-BT1 専用ケース プロトタイプ#1
突貫工作で作ったブリスターパックそのままなケース。底蓋となる厚紙には、回路パターンにあわせて切り抜き穴を開けてピッタリはまるように調整。マーク類はもちろんサインペンで手書き(笑)手作り感あふれます。
OLA-BT1 専用ケース プロトタイプ#2
プロトタイプ#1 があまりに雑すぎたので、全面をブリスターパックのプラスチックを加工して作ってみたもの。写真では見えませんが、基盤裏のピンのクリアランス確保のために、棒状の消しゴムを輪切りにしてスペーサーにしています。
スイッチ類のラベルは Adobe Illustrator で作ったベクターデータを wmf (Windows Meta File)形式に変換し、PC専用TEPRA PRO (SR3900P) で透明白文字テープで印字して貼り付けたので、「それっぽく」なりました(^^;
実は100均で「これは使えるかも?」という、もう少ししっかりしたケースを見つけていましたが、穴あけ加工にドリルやリューターが必要になりそうなので、そちらは実家からドリルを回収次第、作ってみようと思います。
Bluetooth オーディオは「オーディオ機器」としてすでに実用レベル
今回「OLA-BT1」のおかげでようやく Bluetooth オーディオの食わず嫌いを脱することができましたが、SBCでこれだけの音が出せるなら、最近話題の aptX や AAC コーデックの機種ではどんな感じだろう?と興味もわいてきました。実際、すでに様々なメーカーから高音質を謳った Bluetooth スピーカーや Bluetooth ヘッドホンが出ています。
そこで、このブログで時々書いている「デジタルオーディオの仕組み」シリーズで、今度は「Bluetooth オーディオ」についても取り上げてみたいと思います。お楽しみに〜。
「デジタルオーディオの仕組み」シリーズ