1ヶ月ほどの前の記事、
を書いてから、トゥイーターネットワーク用コンデンサー(ハイパスフィルタ)をおよそ1週間毎に順に替えて、ロードテストを行ってきたわけですが、ひと通り聴き比べた結果をいよいよ発表したいと思います。
メーカー 銘柄・規格 『Stereo』誌
福田氏評価購入単価
(税込)Jantzen Audio Standard Z-cap 1.0μF 76点 298円 DAYTON AUDIO DMPC-1.0 / Audio Grade MPT 1.0μF 80点 158円 INTERTECHNIK AUDYN QS6 MKP 1.0μF 85点 629円 PARC Audio DCP-FC001-100 / 1.0μF 85点 238円
再生環境
スピーカーの接続先は、「TA2021B」を採用したデジタルアンプ「TOPPING VX1」。非常にクリアで無味無臭といった感じの音を出します。また、このデジタルアンプはハイレゾ対応 USB DAC(最大96kHz/24bit)を内蔵しているので、MacBook Air から USB ケーブルでデジタル接続し、オーディオ雑誌付録のハイレゾ音源の他、iTunes で普段良く聴く曲や、普段BGMにしているネットラジオ(128kbps〜320kbps)などを流してみました。
また、コンデンサー(キャパシタ)の接続はメーカー推奨通りの逆相接続。(ただし、スピーカー組立て時にウーファーとトゥイーターの位置を逆にするプチ改造を施しているので、キットの作例とはジャンパーとコンデンサの取り付け位置/方向が上下左右逆になっています。)
ご注意:
音質に関する感想は極めて主観的なものです。必ずしも皆が同じように感じるとは限りません。また、音質の形容に背中が痒くなるような表現を使う場合があります。予めご了承ください。
PARC Audio と AUDYN QS が評判通り群を抜いてすばらしい!
結論からまず言うと、日本の PARC Audio 社製と、ドイツ INTERTECHNIK 社の AUDYN QS6 が、群を抜いて良い音を聴かせてくれました。解像度や質感、空気感など、他の2つを大きく引き離している感がありました。
では具体的に、それぞれ見て行きたいと思います。
細身ながら上品さが漂う「Jantzen Audio Standard Z-cap」
まず、『Stereo誌』付録に付属の電解コンデンサーから「Jantzen Audio Standard Z-cap」に替えて感じたのは、「上品」で「滑らか」になったことでした。
ホテルで食べるデザートのような感じで、やや細身で控えめな感じながら、澄んだ滑らかな高音が美しく聴きやすい音。特にピアノの高音がきれいで瑞々しく感じます。このスピーカーに採用されているソフトドームトゥイーターによく合う感じがします。
力強く抜けのいい「DAYTON AUDIO」
次に「DAYTON AUDIO DMPC-1.0 / Audio Grade MPT」に替えてみると、今度は力強く張りのある、エネルギッシュな音になりました。高音の抜けもよく、「元気なサウンド」といった感じです。
ただ、ちょっとじゃじゃ馬的なところもあり、なんとなく本機のソフトドームトゥイーターとの相性があまりよくない感じもします。
解像度・空気感など、全てにおいて劇的に変化!「PARC Audio」
そして、『ステレオ』誌での福田氏の評価も高かった「PARC Audio DCP-FC001-100」に替えてみたところ、音を出してすぐ「あっ、これまでの音と違う」と感じました。解像度、立体感、空気感や質感など、全てにおいてワンランクアップした感じがあります。
特にハイレゾ音源の場合に顕著で、音の分離や解像感、音像定位がしっかりとし、ヴォーカルにどれくらいエフェクトがかかっているかもわかるなど、空間や空気感、臨場感もとてもリアルに感じられ、あらゆるジャンルの音楽を心地よく聴くことができます。
モニターライクな高解像度と立体感の「INTERTECHNIK AUDYN QS6」
最後に、同じく『ステレオ』誌での福田氏評価の高い「INTERTECHNIK AUDYN QS6」。前評判通り、PARC Audio と同立首位というのもうなずけます。こちらも解像感や空間表現がすばらしく、シャープな音像定位と音の分離や立体感がとてもよい感じです。
PARC Audio と比べると、やや硬質でモニターライクな音に感じます。そのためか、立体感や奥行き感はこちらの方が勝っているように感じる反面、圧縮率の高い音源だと圧縮ノイズがちょっと気になります。ここは主に聴く音源やジャンル、音の好みで分かれるところでしょう。
個人的総合ランキング!
1位と2位は甲乙つけ難いところですが、個人的に順位をつけるとこんな感じになりました。
順位 | メーカー/銘柄・規格 | 個人的な感想 |
---|---|---|
1位 |
PARC Audio DCP-FC001-100 / 1.0μF |
解像度が高いだけでなく、質感などの「音楽的表現力」に優れ、普段聴きに適した「聴きやすさ」が魅力。 →購入先 |
2位 |
INTERTECHNIK AUDYN QS6 MKP 1.0μF |
細かな音のディティールもクッキリ描き分ける、解像度・立体感に優れたモニターライクな優等生。 →購入先 |
3位 |
Jantzen Audio Standard Z-cap 1.0μF |
やや細身ながら、瑞々しく滑らかな高音が美しく、上品さが漂う。 →購入先 |
4位 |
DAYTON AUDIO DMPC-1.0 / Audio Grade MPT 1.0μF |
良くも悪くも万人向けの無難な選択。価格も一番安く量産品向きといった風合い。 →購入先 |
3位と4位は『ステレオ』誌福田氏の評価とは逆になりましたが、「DAYTON AUDIO」は他と比べて印象がちょっと薄いので一番「無難」ということかもしれません。
「PARC Audio」と「AUDYN QS6」は甲乙つけがたいのですが、解像度や音の分離、立体感など、スペック評価的な側面だけで言えば「AUDYN QS6」が優れている感があります。ただ、音楽としての「表現力」や「聴きやすさ」という点で「PARC Audio」の方が個人的には好印象でした。
ちなみに、福田氏の解説ではコンデンサー(もともと無極性ですが)の接続の方向によっても音質が変わるとあり、試してみましたが、自分の環境と耳ではそれをはっきりと聴き分けることは出来ませんでした。
今回はじめてスピーカーネットワークの「コンデンサを聴き比べる」ということをしてみましたが、思った以上に違いがあるのに驚きました。市販品ではなかなか気軽に試すことが出来ない領域ですが、オーディオの奥深さをまたひとつ知ることが出来ました。
この、FOSTEXのスピーカーユニットが付録の『ステレオ』誌 2014年8月号はまだ在庫があるようなので、気になった方はぜひ手に入れて試してみてはいかがでしょう♪
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