ポータブルオーディオフェスティバル、通称「ポタフェス」が「ポタフェス2015 Limited」として名古屋を皮切りに全国8都市で開催
e☆イヤホンさん主催の「ポタフェス」は、年に2回程度秋葉原で開催されるヘッドホン/イヤホンやポータブルオーディオが一堂に会するイベントで、普段は専門店でしかお目にかかれないような海外メーカー製品やメーカーの試作品などが展示され実際に試聴できるので、毎回人気を博しているようです。
「ポタフェス」には一度は行ってみたいと思いつつなかなか行けなかったのですが、今年はついに「ポタフェス2015 Limited」として全国8都市で開催されることになり、先週の土曜日に開催された第1弾の名古屋に行ってみました。
会場には、オーディオ系Webメディアや雑誌などではよく見るものの、地元の電器店ではほとんど目にすることがない機種がズラリと並んで、片っ端から色々と試聴してみましたが、大盛況で人気メーカーのブースはなかなか席が空かなかったりして、全てを試すことはできない程でした。
会場の様子や地方都市でのこうしたオーディオ機器の事情が ITmedia などで報じられていますが、まさに記事の通りな感じ。
そこで今回は、試聴することができた機種のうち、気になったものを幾つかピックアップしたいと思います。
ヘッドホン/イヤホン編
会場にはおびただしい数のヘッドホン/イヤホンが並んでいましたが、もともと気になっていたもの、会場で見て気になったものを中心に試聴しました。
試聴に使ったプレイヤーは、先日入手した FiiO X1 + 音量が十分取れないものは FiiO E07K をポタアンとして使用し、試聴用に作ったプレイリストのほぼ同じ曲(後ほど紹介)で比較しました。
Fischer Audio "Da capo/Spritoso"
ロシアのメーカー Fischer Audio のウッドハウジングのイヤホン。
ウッドハウジングのイヤホンと言えば JVC の WOOD シリーズが有名ですが、この "Da capo" と "Spritoso" はより手頃な値段で、聴いてみると意外にバランスがよくウッドハウジングの自然な響きを楽しめました。
使用している木材は高級家具や印鑑などにも使われる、非常に密度の高い木、黒檀(Ebony)とのこと。金属ともプラスチックとも違う、高硬度の木材ならではの質感と味わいが感じられ、ちょっと欲しくなりました。(ちなみに、JVC の WOOD シリーズは樺の木を使っているようです)
Fischer Audio "Coda"
こちらは Fischer Audio のヘッドホン。おなじく黒檀(Ebony)製のキャビネットを採用したヘッドホンで、低音から高音まで豊かな響きで非常に聴き心地がよく、レトロな外観も相まって何とも所有欲をそそられる機種です。
お値段はちょっと張りますが、肩肘張らずにゆったりとお気に入りの音楽を聴いてみたいと思うような機種でした。ロシア、侮れません。
iSOUND "miux IX1000"
低価格ながらバランスの良い音のイヤホンとして "IX3000" という機種を発売している、韓国 iSOUND 社の新製品で、今回が本邦初公開とのこと。
IX1000 の最大の特徴はハウジング後部のレバーによって、特性をフラット〜低音増強に無断階で可変できる点。実際に聴いた感じでは、価格の割にクセが少なく聴きやすく、フラットの状態でもそこそこ低音が出ているので、部屋聴きではフラット、屋外では周囲の騒音等で聞こえづらくなる低音増強といった使い分けができそうです。
予想価格が3,500円程度と、IX3000(約4,500円)よりもリーズナブルなビギナー向けとして、4月〜5月頃に発売予定とのことなので楽しみです。
追記:発売後早速購入してレビュー記事を書きました
Polk Audio "Buckle"
米国ではスピーカーのシェア25%を誇るという、Polk Audio 社のヘッドホン。
アメリカではメジャーなブランドのようですが、昨年の12月に国内で正規輸入販売を開始したばかりで、日本ではまだあまり馴染みのないブランドかもしれません。
"Buckle" はウォームで落ち着いた非常に聴きやすい音、というのが第一印象。見た目もファッショナブルで、ファッションとのコーディネートも楽しめそうな機種です。
Polk Audio "Hinge"
エントリーモデルの "Hinge" はオンイヤータイプで、"Buckle" とは音の傾向も異なり、タイトでボリュームある低音が特徴で、ストリートユースに良さそうな感じです。
Palk Audio "Nue Voe"
今回の「ポタフェス in 名古屋」で初めて知り、個人的に一番気になったイヤホンです。
独自開発のバランスドアーマーチュア(BA)型ドライバを1基のみ搭載しながら、その音はとてもBAドライバ1基とは思えないほどワイドレンジで、力強い低音まで非常によく出ています。これまでに聴いたBAドライバ1基のイヤホンとは一線を画した音質でちょっと驚きました。
また、ボディが非常に小型軽量な上、リング状の形状も美しく、金属の "Polk" ロゴがアクセントになって、女性にも受け入れられやすそうなオシャレなデザインです。
音楽好きな方へのプレゼントにも喜ばれそうです。
Philips "Fidelio M1MK2"
Philips のブースに Armin van Buuren コラボモデル A5-PROi はないかなーと見に行きましたが、残念ながら今回は用意していないとのこと。
そこで、展示機の中でふと気になって試聴してみたのが、この "M1MK2"。
最近増えているイヤーパッドがフラットで耳当たりのよい、オンイヤータイプのヘッドホンですが、非常に軽量かつ丈夫そうな作りで、音を聴いてみてびっくり。”Fidelio” の名に恥じないバランスのよさと、クリアで迫力ある低音がダンス系ミュージックにもピッタリ。Beats solo2 を持ってますが、音的にはこっちのほうが好みかも。
ブラックにオレンジのステッチのアクセントカラーもクールで、これは普段使い用にちょっと欲しくなりました。
DENON "Music Maniac AH-MM200"
DENON "Music Maniac" シリーズのエントリーモデル。
これは以前にも試聴したことがありますが、軽量でとにかく耳当たりがソフトで軽く着け心地がよいのが特徴。それでいて、DENONならではの堅実なバランスの良い音。低音も不足ありません。
Bose® SoundTrue™ on-ear headphones にも似たテイストですが、カジュアルなBOSEに対して、こちらはよりフォーマルなスタイルなので、スーツなどにも合わせやすいのではないかと思います。
Skullcandy "Crusher"
ドクロがトレードマークのファッショナブルなヘッドホンを展開する Skullcandy の話題の「変態ヘッドホン」。
50Hz以下の信号入力時に、サブウーファーユニットによりハウジング自体が振動します。振動するユニットは通常のドライバーユニットとは別に搭載されているため音質を犠牲にすることなく、効き具合もスライドスイッチで無段階に調節できるようになっています。
ダンスミュージックをコレで聴くと、耳元から頬がビートに合わせてプルプルと震え、思わずにやけてしまう新感覚。ダンスミュージック好きならこれは一聴の価値ありです。
[asin:B00LXAM4OQ:detail]OPPO PM-3
最近話題の平面磁界駆動ヘッドホン。これまでリリースされた PM-1, PM-2 のドライバーユニットをさらに小型化、低インピーダンス化、高能率化して一新し、ポータブル環境でも音量を確保しやすくし、価格も抑えた(と言っても5万円台後半)、3月20日発売の新製品です。
OPPOのブースは、新製品の HA-2 と PM-3 の2機種のみを3セット並べただけだったのですが、次々とお客さんが並んでなかなか席が空かないという人気ぶりで、終わりがけになってようやく聴くことができました。
これは一聴して驚きました。空間の広がりが半端ない!そして空間上の音像定位がめちゃくちゃハッキリわかる!サラウンドでもないのにものすごい立体感で、音の形がハッキリ感じられるような精緻で見通しのよい音。今日の真打ちはコレだ!と思いました。
「平面駆動方式」のメリットについては、次のブログがわかりやすいと思います。
お金に余裕のある方には是非オススメしたい逸品です。
他にも試聴しきれなかった機種が多数...
以上、印象に残った機種をピックアップしてみましたが、気になっていたものの試聴しきれなかった機種がまだまだたくさんありました。地方在住者としては、今後もこうした機会があると助かります。
ちなみに会場は多少はざわざわとはしているものの、電器店のようにうるさいBGMもなく、ケーブルが短くてプレイヤーがうまく接続できないといったこともなく、椅子に座って比較的じっくりと試聴できました。
ポータブル USB DAC/ポータブルヘッドホンアンプ(ポタアン)編
USB DACやポタアンの試聴を行うにあたって、リファレンスとするイヤホンに、今回は 以前作った「Final audio design BAイヤホン組み立てキット」を使いました。
当初は、Shure SE215 とどちらにしようかと迷いましたが、会場で「Shure掛け」にもたつくおそれがあるのと、BA(バランスド・アーマチュア)ドライバー機の方が解像度やディティールの違いがわかりやすいだろうという狙いもありました。
また、事前に Final audio design のブースで、その製品版に相当する "Heaven II" と比較試聴し、自分で組み立ててチューニングした「BAイヤホン組み立てキット」の方が、製品版よりもディティール表現が圧倒的によいのが確認できたので、安心して試聴に望みました。
プレイヤーは、アナログ入力のポタアンは FiiO X1 のライン出力、DAC等デジタル入力可能な機種は iPhone 5c + Apple 標準の Music アプリを使用しました。
OPPO "HA-2"
OPPOが初のポータブル UAB DAC 搭載ヘッドホンアンプとして3月20日に発売のこの機種。
スペック、音質、サイズ、操作性、全てにおいて完成度が高く、メーカー担当者の話では初回出荷分は予約で完売、さらにバックオーダーもたくさん入っており、いつ手に入るかわからないほどの人気のようです。
実際、iPhone もケーブル1本で簡単にデジタル接続でき、他の追随を許さない薄型ボディで iPhone と重ねても全くかさばらず、かと言って操作性は全く犠牲にならず「ポータブルヘッドホンアンプはかくあるべき」と思わせるような設計です。
音質は申し分なく、外での利用を想定してか BASS BOOST 機能があり、「いかにも」感のない自然な低音増強感が得られます。バッテリが大容量のためか若干重く感じますが、モバイルバッテリーとしてスマートフォンの充電もできるようなので、スマホと一緒に持ち歩くのには好都合かもしれません。
以前、DENON の DA-10 をお借りして試用レビューをしたことがありましたが、モバイル機器としての使い勝手は、OPPO HA-2 に軍配が上がります。電源ランプも見やすい位置にあり、適度な重みのあるボリュームつまみで、カバンの中で不意に大音量になることもなさそうで、非常によく考えてデザインされているのが伺えます。
また、このクラスとしては破格とも言える値段で、かなり戦略的な値付けをしているのではないでしょうか。
USB DAC 内蔵ポータブルヘッドホンアンプでは新定番機になりそうな予感です。
ORB "JADE next"
ORBの比較的低価格帯のポタアンです。
音質は FiiO X1 のライン出力で聴く限りは、比較的色付けもなくストレートに出てくるという印象です。
この機種で特徴的なのは、単4アルカリ×2本で駆動(eneloopも可)、電池の蓋がマグネット固定式で簡単に開き、そのままスタンドとして立てて使えるという点でしょうか。
3色のカラバリの他に、漆塗りモデル "JADE next JAPAN" や限定300台の真鍮削り出しボディモデル "JADE next brass milling" などがあり、真鍮モデルはかなりの重量級でポケットの底が抜けそうです(笑)
ORB "JADE casa"
これはポタアンではなく据置型ヘッドホンアンプですが、非常に美しい外観もさることながら、内部の構成もこだわり抜いたものになっているようです。
FiiO X1 のラインアウトを接続して聴いてみると、粗っぽさが抑えられ音の密度が上がって非常にキレイに聴こえます。見た目からして10万円くらいはするかと思っていたら、5万円弱とのこと。絶妙なカーブを描くボリュームノブの感触も非常によく、美しい外観をそのまま表したような音質でした。
高級ヘッドホンの真価を発揮させるには、こういうヘッドホンアンプがあるといいのかもしれません。
VentureCraft "SounDroid VANTUM"
昨年12月に発売されたばかりの、DSD対応USB DAC搭載のヘッドホンアンプで、バランス出力も備え、とにかく多機能。
プリ部のOPアンプも交換可能で、会場ではOPアンプを換装した何種類もの機種を並べて比較試聴できるようになっていました。
本体は180gとのことですが、持った感じは意外にズシリと重さを感じ、ぎっしり詰まっている感があります。
デジタル入力機能が豊富なのですが、どういうわけか今回はアナログライン入力で試聴してしまったのでその感想を。(アップサンプリング機能もあり、デジタル入力で聴けばまた違った印象かもしれません。 )
OPアンプの違いを色々試したところでは、標準の LME49860 はプレイヤーの素の出力に近い音。個人的に気に入ったのは、OPA627BM。雑味のない音がすっきりとスムーズに出てくる感じでした。
性能的には OPA627SM が最高スペック/音質のようですが、廃盤で現在は入手困難とのこと。
[asin:B00OXHI6YI:detail] [asin:B00SIRUK0W:detail]
そこそこいいお値段しますが、人気機種のようで、会場のe☆イヤホン限定特価販売コーナーでも売れていました。
VentureCraft "GO-Dap TT"
同じく VentureCraft の、こちらは真空管搭載&デジタル入力オンリーというちょっと変わった製品。
聴いてみて、ああ真空管だなぁと感じられるウォームな音です。デジタル入力ながらデジタル臭さを感じず、ゆったりとした気分で聴きたいという方にはかなりよいでしょう。ウッドキャビネットのヘッドホンなんかとも相性が良さそうです。
ortfon"Hd-Q7/MHd-Q7"
オルトフォンというと、アナログ・レコード関連アクセサリーやケーブルのイメージがありましたが、優秀なヘッドホンアンプが出ていました。
据置型の Hd-Q7 は、質感の高いボディと程よい重量感、高級感があり、正直な所かなりこの音は気に入りました。 しかし、フルディスクリート構成ということもあり、使用しているアナログ部品のサプライヤーが次々と生産を終了してしまい、部品が入手できなくなって生産終了してしまったようで、今後は入手が困難になりそうです。担当者もイチ推しの機種のようです。
新製品/後継機となる MHd-Q7 は、Hd-Q7 の思想を受け継いでコンパクト化、バッテリを内蔵してポータブル化した機種で、こちらもディスクリート構成。Hd-Q7 に迫る安心して聴ける安定感ある音でした。
ポータブルヘッドホンアンプとして使えるように比較的軽量になっていますが、"ALO audio The Key" のように小型の USB DAC と接続してデスクトップで使用するのにもよさそうです。
どちらもシンプルながらアナログ回路技術の粋を集めている感じが伺え、コストパフォーマンスが高い機種に思えます。ちょっと欲しい感じです。
[asin:B005N4MN08:detail] [asin:B00AMYLM5Q:detail]
Radius "AL-LCH21"
iPhone などに使える、Lightning 端子直結の小型DAC内蔵ヘッドホンアンプです。
同様の製品として、Deffからもいくつか製品が出ていますが、J-POP畑のサウンドコーディネーター某氏の嗜好による非常に残念なチューニングになっており、 新旧両機種とも試聴したことがありますが、個人的にはどれもちょっと聴くに耐えないものでした。
その点、Radius のこの製品は、正統派で安心して聴ける音でした。非常にコンパクトで iPhone などに接続してもじゃまにならず、リモコン感覚で扱えるので、iPhone の音を気軽に高音質で聴きたいという方にはオススメです。
ただ、プラスチックの筐体なので見た目はちょっと貧相ですが、担当者によると Android 向けに先行して発売されている "RK-LCH61" と同様のアルミボディの Lightning 向け製品を開発中とのことで、そちらも楽しみです。
[asin:B00LGM2KHC:detail] [asin:B00R5UBS4U:detail]
iFi audio "nano iDSD"
1年以上前に発売され、発売後から売り切れ続出だった「全部入りUSB DAC兼ポタアン」。ファームウェアアップデートを重ねながら今なお一定の地位を築いているこの機種、ずーっと気になっていましたが、やっと実機を試聴することが出来ました。
iPhone からのデジタル接続で聴いてみましたが、スッキリした音ながら非常に緻密で繊細。「さすが」「なるほど」といった感じです。ちなみに上位機種の超ハイスペック機 "micro iDSD" もありましたが、そちらは今回は試聴しませんでした。
ただ、問題はその直後に生じました。
昨年の5月に「ヘッドホンアンプ搭載 USB DAC 比較一覧(3万円以下)」を作って以来、ほぼ毎週のペースで価格や新製品を再調査・更新してきたおかげで、これまでのほとんどの USB DAC の値動きを全て知っており、最低価格もわかっています。
すぐ近くにe☆イヤホンの会場限定特価販売コーナーがあり、価格一覧が貼りだされていたのですが、困ったことにその中に見つけた nano iDSD が、今までの最低価格をかなり下回る、今までに見たことがない値段になっていました。しかも在庫は1台のみという事実が更に拍車をかけます。
そうこうしているうちに、家に帰ると、こんな感じになりました。(笑)
またレビュー書きます!(笑)
ちなみに、後日 e☆イヤホンが YouTube にアップした動画に nano iDSD を手に入れてホクホクしているところがバッチリ捉えられていましたww 他にももう1箇所、手元が映ってます(笑)
番外: Cypher Labs "AlgoRhythm Picollo"
これは試聴機があったかどうかわかりませんが(当該メーカーブースはカスタムIEMコーナー付近だったため常に人だかりができていて未確認)、来場者の装備がかなりの割合でこのポタアン+AKシリーズという構成でした。
価格は5万円台後半と、決して安くないのですが、どういうわけか皆これを持っているのです。一種のデファクトスタンダードなんでしょうか。アナログポータブルヘッドホンアンプに迷ったらこれを買っておけば間違いないんだと思います。きっと。
[asin:B00LBR2BLC:detail] [asin:B00LBR2DEM:detail]
試聴用に手持ちの再生環境を整えておいたほうがよさそう
今回、USB DAC 系は iPhone につないで標準の Music アプリで AAC 音源で試聴しましたが、ハイスペックな機器の試聴には、やはり HF Player などハイレゾ対応の再生ソフトとハイレゾ音源を入れておけばよかったと思いました。(HF Player はアプリ内課金でハイレゾ出力に対応)
また、FiiO X1 からのライン出力を試聴機に接続する際、FiiO E07K に付属のいかにもオマケ的なケーブルを使っていたので、もう1ランク上のオーディオケーブルを用意しておけば良かったなーとも思いました。
しかし、他の来場者の環境をみると、どうしてみんなそんな高価なものを持ってるんだろうと感じで、ちょっと別世界でした。
デジタル・オーディオ・プレイヤー(DAP)編
DAP の世界は、Astel&Kern のAKシリーズとそれ以外、といった具合で2極化している感があります。
個人的には廉価な "FiiO X1" を使っているので、新型の上位機 "FiiO X3 2nd gen" の実機が参考出品されていたので、X3 2nd gen を中心に聴き比べてきました。
FiiO "X3 2nd gen"
今年の春〜夏頃に発売が予定されている、FiiO X3 の後継機ですが、筐体は従来型から大きく変わり、FiiO X1 を踏襲したサイズとデザインになり、X1と比べると厚みが若干増えています。
FiiO X1 に挿していた microSD カードを FiiO X3 2nd gen に差し替えて試聴できました。
聴いてみると、FiiO X1 比べて明らかに音がクリアでスッキリと上品で、非常に耳障りのよい音です。価格は X1 の倍程度ですが、DSDにも対応し、USB DAC 機能、デジタル出力も搭載し、拡張性にも優れています。
ただ、ユーザーインターフェイスは X1 とほぼ同じで、例の m3u プレイリストの NFD/NFC 問題は、現時点では X1 と同様の結果でした。
ハードウェア的にはかなり完成度が高くなっていると感じますが、FiiO の DAP が他のDAPとくらべて弱いのは、やはりユーザーインターフェイス、画面表示情報の部分なので、もう少し頑張って欲しい所です。
iriver "Astell&Kern AKシリーズ"
今や、ハイレゾDAPの代名詞にもなっているAK240を筆頭とするAKシリーズですが、Astell&Kern のブースも人気でなかなか席が空かず、イベントの終わりがけにようやく席が空いた頃、駆け足でプリセットされていたハイレゾ音源でチェックしてみました。
AK240 の他、AK120II、AK100II を聴いてみましたが、なるほどこれは明らかに音が良いとわかる感じ。音がキレイすぎる気さえします。
また、タッチパネルのUIが非常によく出来ています。ただ、コスト/パフォーマンスの面で、個人的には当面はここまでのクオリティはいらないかなーと。もう数年たって価格が下がってきたら考えます。
[asin:B00TT6MIBU:detail] [asin:B00IA8UL8U:detail]
[asin:B00F29V4X6:detail]その他のDAP
Latoo PAW Gold
28万円超と、AK240 と双璧をなす価格とスペックで、試聴機もたくさん並んでいましたが、「プロダクトデザイン的にこれはないでしょ!」と思って試聴してません。食わず嫌いです。
Calyx M
どういうわけか、どこに置いてあるのか見つけられなかったので、試聴できてません。Calyx は韓国のメーカーで、以前から DAC をいくつか出しているのは知ってましたが、最近ハイレゾDAPを出したようで、これはちょっと気になっています。
http://www.e-earphone.jp/shopdetail/000000057550/
その他メーカーの動向
全般的に、お客さんは海外メーカーのブースに多く集まっていて、国内メーカーのブースは比較的閑散としていた印象があります。大きめの電器店なら見かけるのであまり関心を集めないのでしょう。
また、最近「オーディオ専用高音質microSDカード」で話題を振りまいていたソニーは出展していませんでした。個人的には、例の microSD の聴き比べなどを期待していたのですが残念です。
今回視聴に使った音源
今回は、FiiO X1 の microSD カードに予め試聴用のプレイリストを作って持って行きました。
視聴に使った曲は
- 曲のイントロから特徴的な音が出る
- 好きなジャンルを中心にある程度異なるジャンルで数曲
といった感じで選んでいます。
DigiFi No.14 付録ハイレゾ音源
- MEMORIES OF BILL EVANCE のDigiFi 特別収録版がとにかくクオリティが高く、24bit/96kHz, 24bit/192kHz, DSD 2.8MHz がそろっているので、オーディオチェックの定番として使っています。
Yesterday Once More - 高木綾子(フルート)/CD→FLAC
- フルートの低音部や息遣いにリアリティがあり、普段からオーディオテスト用に使っている曲です。名盤です。DENON の Master Sound シリーズで高音質録音されているので、そのうちハイレゾ版が出ないかと楽しみにしています。
Yesterday Once More - 溝口肇(チェロ)/ハイレゾ 24bit/96kHz(FLAC)
- 同じくカーペンターズの Yesterday Once More のチェロバージョン。e-onkyo にハイレゾ版があったのでダウンロード購入したもの。チェロの艶やかな響きが再生機器のアナログ回路によって差が出やすいので、高木綾子のフルート版とあわせてテストに使っています。
Never Felt Less Like Dancing - Katie Melua(ヴォーカル)/CD→FLAC
The Disappearance of the Girl - Phildel(ヴォーカル)/CD→FLAC
- 若干ホワイトノイズがありますが、金属系の高音と力強いベースのイントロで始まり、透明感あるヴォーカルや細かな音が散りばめられ、ワイドレンジ感や立体感、歯擦音のテストに便利な曲です。
Vivaldi: The Four Seasons RV269 ≪春≫ 第1楽章 Allegro - Janine Jansen(バイオリン)/CD→FLAC
- ヴィヴァルディの『四季』の≪春≫ 第1楽章。Janine Jansen の室内楽アレンジバージョン。バイオリンを中心に楽器それぞれの音が際立って、美しく情熱的な空気感を感じられる曲。かつてSACD版も存在したので、是非ハイレゾ版を出して欲しいアルバム。
追記:ハイレゾ版(96kHz/24bit)が e-onkyo から出ていました♪
Turn Up the Love feat. Cover Drive - FAR EAST MOVEMENT/CD→FLAC
[asin:B007YBTF6I:detail] https://itunes.apple.com/jp/album/turn-up-love-feat.-cover-drive/id598269069?i=598269078&uo=4&at=1l3v2xF
- ボーカル+ラップのダンスチューン。高音から重低音まで様々な音要素が入っているので、チェックに使いやすい曲。
Party Shaker (feat. Nicco) - R.I.O./AAC
- 底抜けに明るいダンスチューン。音のキレや分離をチェックするのに使っています。
Dare You (feat. Ummet Ozcan) - Paul Van Dyk/AAC
https://itunes.apple.com/jp/album/dae-yor-feat.-ummet-ozcan/id638614649?i=638614672&uo=4&at=1l3v2xF
- 激烈なビートで重低音のキレ、ヘッドホンやイヤホンのハウジング剛性、ビビリの有無などが試される曲。Skullcandy Crusher では最高に楽しめました(笑)
God Is a Girl - Groove Coverage/AAC
- あえて少し古い録音の曲で、音の分離や解像度などをチェック。
次回にも期待したい、総じて満足度の高いイベント
これまで首都圏中心で行われていたイベントが、地方都市で実施される意義は非常に大きいと実感しました。
郊外の電器店のヘッドホンコーナーは、ほとんどがオーディオテクニカ製品で埋め尽くされていて、海外メーカーはほぼ皆無という状況。ハイレゾと言えばソニーのハイレゾウォークマンが置いてある程度で、騒々しい電器店ではハイレゾを聴いてもほとんど違いがわかりません。
そのため、地方在住者はネットなどの評価をもとにいきなりネット通販で買ってみるというパターンが主でしたが、こうしたイベントのお陰で事前に実物で試聴できたり、ふらっと会場に来て初めて知るというパターンもあるでしょうし、潜在的ユーザーの裾野を広げるという意味でも、今後も続いていくことに期待したいと思います♪