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white croquis

日々の思索のためのクロッキー帳。オーディオやオススメなども。

ハイレゾDAP「FiiO X1」レビュー 〜ハイレゾ入門にもオススメのポータブルプレイヤー

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注目を集めるハイレゾデジタルオーディオプレイヤー(DAP)

MP3プレイヤーや iPod などに代表される、従来のデジタルオーディオプレイヤー(DAP)がMP3, AAC等の圧縮音源の再生に特化しているのに対し、最近増えてきているのが、ハイレゾ音源を再生できる「ハイレゾDAP」です。

ここ数年、ハイレゾDAPの新製品が続々と登場していますが、まだまだ高価なものがほとんどで、最もメジャーな機種、韓国 iriver 社の Astell&Kern AKシリーズで、9万円〜24万円程度。これが一部では飛ぶように売れているというから驚きです。

また、先日ソニーが発売した「WALKMAN ZX2」も実売12万円台後半、昨年ハイレゾ対応エントリー機としてソニーが社運をかけて発売した「WALKMAN Aシリーズ」でも2万3千円〜3万5千円程度と、「ふつうの人」にとってはまだ「ちょっと高い」と思ってしまう価格帯でしょう。

しかし、iPod Classic の生産・販売が終了してしまい、iPod ユーザーにとって純粋な大容量ミュージックプレイヤーの選択肢がなくなってしまったという点もあり、そうしたユーザーがハイレゾDAPに移行していくという流れもあるようです。

中国 FiiO からの刺客「X1」

そんな中、昨年末になって中国のポータブルオーディオメーカー FiiO 社から、実売1万円台という、ハイレゾ対応機としては破格値のポータブルプレイヤー「FiiO X1」が発売されました。(国内輸入代理店はオヤイデ電気)

元々 FiiO もハイレゾDAPをいくつか出ていましたが、3万〜5万円程度の価格帯で、まだまだ普及価格とは言えない状況でした。
それが、1万円台(正規輸入版で2万円弱)で発売されたのは、画期的な出来事で、それまでハイレゾDAPに興味はあったけれど価格が高くて手を出しづらかった層にも手が届くようになりました。

で、自分もその例に漏れず、そろそろハイレゾDAPを試しておかないといけないなーと思い、今年の初めに手に入れました。

本体のカラーがシルバーとゴールドの2色があり、現在 Amazon では、オヤイデの正規輸入版が1万8千円前後、並行輸入品が1万6千円前後で販売されていますが、自分は中国ネット通販 AliExpress で更に安い$120(送料無料)で手に入れました。

「FiiO X1」到着・開封!

産地直送(?)で届いた海外版パッケージがこちら。オヤイデの国内版とはちょっと違うと思います。

FiiO は中国でも有名ブランドで世界中で販売されているため、偽造品対策として外箱にスクラッチコードが仕込んであり、銀色の部分をスクラッチして現れるコードを FiiO 社 Web サイトの入力フォームに入力すると純正品かどうかが分かるようになっています。

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箱の中身は、こんな感じで、USBケーブルとラバージャケット、画面保護フィルムが1枚はすでに貼られた状態で、もう1枚が予備として計2枚ついています。
今回購入したのはゴールド。比較的落ち着いたシャンパンゴールドです。

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iPod より小さく FiiO E07K とほぼ同じ大きさのコンパクトな本体

手にとってみると、意外にコンパクト・軽量で、ちょうど昨年購入してレビュー記事を書いた、同じくFiiOのUSB DAC「E07K」 とほぼ同じ大きさでした。
昔使っていた、いにしえの第3世代 iPod と共に並べてみるとこんな感じ。

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FiiO E07K が 96×55×15.5mm/100g なのに対し、FiiO X1 が96.6×57×14mm/106g と大きさも重さもほぼ同じ。並べるとほぼピッタリで、X1にはライン出力もついているので E07K をポータブルヘッドホンアンプとして、この組み合わせで使ってもよさそうです。

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予想以上の高音質!圧縮音源も音質がアップする

FiiO X1には内蔵メモリはなく、基本的にPCで microSD カードに保存したデータを再生するといった使い方になります。

ヘッドホンを挿して一聴して、思わず「おぉ!」と驚きました。予想外の高音質。
音の解像度・分離もよく、帯域バランスも自然で、力強くクッキリしたサウンドです。様々なヘッドホン/イヤホンをつないでみましたが、ドライブ力が高く充分に鳴らしきってくれます。価格からは想像していなかったレベルの音だったので、これは驚きました。

FiiO X1 の音を聞いた後に、ふと iPodiPhone の音を聴いてみると「ぬるく」感じてしまいます。「あぁ、これはもう戻れない」と思いました。
Mac 用の高音質ハイレゾオーディオプレイヤーに「Audirvana Plus」という有名なソフトがあり、Mac では普段専ら Audirvana Plus + USB DAC で音楽を聴いていますが、ちょうど、iTunes と Audirvana Plus の音質の違いが、iPod と FiiO X1 の違いに相当するような感覚です。

さらに驚いたのは、iTunes で管理している AAC や MP3 などの圧縮音源を再生しても、iTunesiPhone 等で再生するよりも遥かに音質がよいという点。ネットで調べてみると、ハイレゾ対応を謳っている Xepria Z3 はもとより、ハイレゾウォークマンよりも音質がよいという評価もチラホラ。ハイレゾウォークマンは店頭で何度か聴いたことがありますが、それもうなずける感はあります。

Patrick Miller - Dancing In London (David May Original Mix)

スペック的にも申し分なし

対応する音源は PCM 24bit/192kHz まで。ハイレゾ配信で一般的なFLAC形式の他、Apple 独自の ALAC形式にも対応しています。DSDには現時点で非対応です。

FiiO X1 は DACチップに「PCM5142」というあまり聞き慣れないチップが使われていますが、これは小型 USB DAC によく使われている「PCM5102A」の上位機種に当たり、最大32bit/384kHz、S/N: 112dB とスペック的には申し分なさそうです。
また、OPアンプには「ISL28291」という昨年リリースされたばかりの最新のチップを搭載しています。

DACチップ自体が DSD ネイティブ再生には非対応なので、現時点ではDSDファイルの再生には対応していませんが、 FiiOの他の機種でも発売後にファームウェアのアップデートで機能追加が行われてきた実績もあり、今後のアップデートで機能向上する可能性は無きにしもあらずです。

操作性は iPod 感覚で使おうとするとやや難あり

今回購入した X1 は、出荷時のファームウェアバージョンは 1.2。そのため、以下の事項は FW1.2 での評価になり、今後のファームウェアアップデートで改善されるかもしれません。

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再生中は「曲名」しか表示されない

FLACAACファイルにはタグでアーティスト名、アルバム名、曲名、トラックナンバーなど様々な情報が「タグ」(メタデータ)として登録されていますが、FiiO X1で再生すると、曲選択後に一瞬アーティスト名、アルバム名などが表示されますが、すぐに消え、再生中は「曲名」以外表示されません。
せめてアーティスト名くらいは表示して欲しい気がします。

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アルバムカバー画像はPNG非対応(JPEGのみ?)

ディスプレイサイズの関係もあってか、再生中は曲のアルバムカバー画像の上2/3くらいが表示された状態になりますが、いくつかの曲で Audirvana Plus では表示されるのに、X1 では表示されないものがありました。調べてみると、どうやら PNG 形式で登録したアルバムカバーが表示されないようで、JPEGに変換して登録しなおした所、表示されるようになりました。

曲のブラウズは、曲名ではなくファイル名&ディスクナンバーが無視される (FW1.2)

iPod/iPhone などと比べて一番面食らうのがこれ。曲のタグに曲名が入っていても、曲をブラウズした際に曲名ではなくファイル名が表示され、ファイル名で選ばないといけません。

普段 CD → FLACリッピングエンコードに使っている MacX Lossless Decoder(XLD)では、デフォルトで「トラックナンバー+アーティスト名+曲名.flac」といったファイル名になるので、アーティスト名が長い場合以外はいいのですが、海外のハイレゾ音源配信サイト「2L」などでダウンロードした曲の場合はサイアクです。ファイル名では曲名がわかりません…

そして、2枚組のCDの場合さらに残念な感じになります。どうやら「ディスクナンバー」タグを認識しないらしく、 「1枚目の1曲目」の次に「2枚目の1曲目」、その次に「1枚目の2曲目」…という具合になってしまいます。
しかも、ファイル名を 「01-01 1枚目の1曲目.flac」「02-01 2枚目の1曲目.flac」などにしていても、トラックナンバーが優先されるようで、次(右側/2枚目)のようになってしまいます。

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曲のブラウズ方法は、アーティスト名やアルバム名から選ぶ方法と、フォルダ階層で選ぶ方法とがありますが、後者の場合はファイル名が優先され、前者の場合は上のようにトラックナンバーが優先されてしまうようです。

ここは今後のファームウェアアップデートで改善を求めたいところです。先行している上位機 FiiO X3 や FiiO X5 ではどうなっているのかわかりませんが、この仕様はちょっといただけません。

MacOS X で「m3u」外部プレイリストに落とし穴!「é, è」などが使えない (FW1.2)

追記
原因と解決法が判明したので記事にしました!

FiiO X1 には、プレイリスト機能として本体内部に作るプレイリストと、外部で作成した m3u 形式のプレイリストの2種類があります。

本体内部に作るプレイリストは1曲1曲選んでチマチマと作らないといけない上、並び替えができないので、とても面倒です。さらに microSD カード上の曲を消してもプレイリストには残るため、これまた面倒です。

そんな声も受けてか、ファームウェア1.1 から m3u 形式の外部プレイリストが利用できるようになったらしく、VLC media player などで作成し、テキストエディタなどでファイルパスを相対パス化した m3u ファイルを microSD ファイルのトップの階層に置いておくと、ファイルブラウズモードで選択できるようになります。ただ、リストを開くとこれまた曲名ではなく、m3u ファイル中の「パス名」が表示されてしまいます。

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上の例では、iTunes からコピーした AAC/MP3 ファイルを「Lossy」フォルダ配下に、CD からリッピングエンコードした FLAC ファイルを「FLAC」フォルダ配下に収めていて、双方が混在した m3u プレイリストを作った例です。

これでプレイリスト作成の面倒くささからは解放された…と思っていましたが、思わぬ落とし穴がありました。
どうもファイル名に欧文の「é, è」などが入っていると、ファイルブラウズした際は正常に表示されるのですが、m3u プレイリスト(文字コードUTF-8)上では文字化けしてしまうのです。

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さらに、プレイリスト上で該当曲を再生しようとすると「File not found」となって再生できません。

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これは欧文言語圏では問題になりそうですねー。元のファイルは Audirvana Plus 2 で管理している関係であまりファイル名を変えたくないので、今後のファームウェアアップデートで修正されることを期待するしかなさそうです。

ちなみに1曲1曲手で追加する本体内のプレイリストでは問題はありませんが、根気がいる割に融通が効かない(並び替えができない、プレイリスト名が変えられない)ので個人的にはあまり使わないでしょう。

画面表示が消えた状態でボタン操作しても画面は表示されない

画面表示は節電のため最大2分でタイムアウト、あるいは常時表示・点灯が選択できますが、タイムアウトで消灯する設定の場合、ボリュームや曲送り等のボタン操作をしても iPod のようには画面が表示されず真っ黒なままです。UI的にはボタンを操作した時に液晶表示によるフィードバックが欲しい所です。

曲送り後、アートワークが表示されるまでタイムラグがある

これは内蔵するチップの処理能力によるのかもしれませんが、曲送りをして音が出始めてからその曲のタグ情報やアートワークが表示されるまで、0.5秒ほどのタイムラグがあり、次へ次へと曲を送って行っても音は出るけど画面表示が追いつかないといった状況になります。液晶パネル自体もコントラストは低めで数世代前な感があるので、価格と再生時間等との兼ね合いでしょうがないのかなと思えます。

それでも、この価格でカラー液晶とグラフィカルなユーザーインターフェイスを搭載していることは賞賛に値します。
先日某所で TEAC HA-P90SDONKYO DAC-HA300試作機を触ってきましたが、音質云々よりも「え、7万円以上する機種でこのディスプレイ!?」ということの方が驚きました。

DSD対応にこだわらなければ、ハイレゾDAPはカラー液晶ディスプレイ搭載機を個人的にはオススメします。

総合的にはコストパフォーマンスの高いハイレゾ入門にはピッタリな機種

ユーザーインターフェイスという点では改善の余地がありますが、しばらく使ってみて、総合的には音質面でも大きな不満はなく、非常によく出来た機種だと思います。

ヘッドホン出力はライン出力にも切替えて使用できるのですが、ライン出力設定の状態でステレオミニプラグを挿すと、「ライン出力は高出力なので聴覚にダメージを与えるおそれがある」といった旨の注意をうながす表示がでて、「OK」を押さないと信号が流れないという配慮までしてくれています。

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FiiO X1、今後のファームウェアアップデートに期待する部分はありますが、ハイレゾオーディオプレイヤー入門機としては充分なスペックと配慮がなされた製品で、個人的にもオススメです。

価格もお手頃で、並行輸入品なら1万6千円程度で手に入れられます。WALKMAN Aシリーズと比べて1万円以上も安いので、差額分でちょっとよいヘッドホンやイヤホンを買ってみるというのもよいのではないでしょうか。