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思索と探索のクロッキー帳。オーディオや音楽の話題、レビューなども。

「ユニバーサルデザイン」と「ユニバーサルなデザイン」は多分違う

ユニバーサルデザイン」という言葉が聞かれるようになってから久しい。

Universal Design を字面通りに読めば、普遍的・一般的なデザインということになるが、そもそも、ユニバーサルにデザイン(設計や意匠デザイン)することは、デザインをする上で当然の心得であることは、D.A.ノーマン著『誰のためのデザイン』を読んだことのある方にとっては言うまでもないことであろう。
しかし、「ユニバーサルデザイン」と称している製品には、何か奇をてらったり妙に主張の強いデザインが多いのは気のせいだろうか? 

以前、文房具大手K社が「ユニバーサルデザイン」の消しゴムとして売り出した「カ○ケシ」を使っていて、普通の消しゴムではあり得ないことが起きた。なんと消そうと思っていたところ以外の文字まで消されてしまったのである。確かにその形状を考えればそうしたことが起きるのも無理はない。
消しゴムは、どのメーカーのものでも大抵、方形の立体で紙のスリーブケースに入っているという、とてもユニバーサルな特徴を持っており、使い方も同じだ。にもかかわらず「カ○ケシ」はわざわざ一般的な消しゴムとは異なる特異な(=ユニバーサルではない)形状をしている。果たしてこれはユニバーサルなデザインなのだろうか?
K社に限らず、似たような例は探せばいくつも出てくる。ほとんどが「?」と思わせる奇妙な意匠デザインの数々…

結局の所、ロナルド・メイス氏が提唱した「ユニバーサルデザイン」という概念自体が「バリアフリー」の延長線上にあるように、極めて限定的な意味の言葉として使われているように思う。つまり、ユニバーサルデザインはユニバーサルなデザインではなく、「ユニバーサルデザイン」という固有名詞として使わなければいけないのであろう。

世の中に本当に必要なのは「ユニバーサルデザイン」ではなく「ユニバーサルなデザイン」ではないのだろうか。
それが何であるかは、前出のD.A.ノーマン著『誰のためのデザイン』第7章 ユーザー中心のデザイン で「7つの原則」として簡潔にまとめられている。これをまじめに考えることがユニバーサルなデザインのための一番の近道だと思う。
もちろんそこで想定するのは特定のユーザーだけでなく、それ(デザインの対象)を利用する可能性のあるあらゆるユーザーを視野に入れて。これは前回のエントリー「メンタルモデルはいくつ想定すればよいのか?」とも関連しそうだ。

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(goo blogより移植)

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