最近、駅や街角に「AED」が設置してあるのをよく見かける。
初めて見たのは駅のホームに設置してあるものだったが、当時、それは一体何に使うものなのか全くわからなかった。
「AED」は「Automated External Defibrillator」の略で、日本語にすると「自動体外式除細動器」になるらしい。
そもそもこの「自動体外式除細動器」や「AED」という言葉を何の文脈や予備知識なしに見たり聞いたりして、それが何に使うものかわかるだろうか?
「自動体外式除細動器」とだけ聞いて想像するのは・・・
- 「自動」 :手動に対しての自動?
- 「体外式」:他に体内式があるもの?
- 「除細動」:「細動」って何の?それを「除」くってことは動かなくすること?
- 「器」 :少なくとも器具らしい
といったところだろうか?
正解は、
AED(自動体外式除細動器)とは、心臓がけいれんし血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)になった心臓に対して、電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器です。
「AEDライフ - 日本光電のAED情報サイト」より
だそうだ。
公共の場所に設置できるものという時点で「体内式」はあり得ないだろうから省略できるだろうから、例えば、「自動心臓除細動器」や「自動心臓整脈器」といった名前なら、「心臓」という言葉が入っているので、全く説明がなくてもどんな時ときに何に使うものかが想像できそうだ。「消火器」と言えば火を消す器具であることが日本語圏では一目瞭然なように。
「自動体外式除細動器」という名称は、医療に関する予備知識なしには理解することが出来ない恣意的な名称だ。はじめは、いたずらや誤用を避けるためにあえてわかりにくい名前のままにしているのかと思ったけれど、どうやらそうでもないようだ。
プロダクトデザインや建築、ユーザーインターフェイスデザインの分野では「ユニバーサルデザイン」や「ユーザビリティ」が重要な位置を占めるご時世というのに、「言葉のユニバーサルデザイン」「言葉のバリアフリー」は全く考慮されていないのだろうか?
先ほどのメーカーのサイトには、
時間との勝負です。一分一秒でも早く電気ショックを行うことが重要です。
電気ショックの成功率は成功の可能性が1分ごとに7〜10%低下します。
日本では、救急車の到着まで平均約6分です。グラフから見ると、6分時の成功率は40%です。
救急車が到着する前に傷病者の近くにいる私たち一般市民(バイスタンダー)がAEDを使用して電気ショックをできるだけ早く行うことが重要になります。
「AEDライフ - 日本光電のAED情報サイト」より
と書いてあるが、例え近くに設置してあっても名前のわかりにくさのために、それに気づかなかったり使うのが遅れてしまうことがないとも言えないのではないだろうか。
と、ここまで書いた所で少し調べてみたら、全く同じ事がすでに指摘されていた。
一番大切なのは、AEDは何であるか。それを知ってもらう事であると思います。でも、今の名称、「エーイーディー:じどうたいがいしきじょさいどうき」の中には、最も重要なキーワードである、「心臓」という言葉が入っていません。これをいっしょに伝えなければ、AEDが何であるか伝わらないのです。素人に、「エーイーディーもってきて!」では意味が分かりませんよね。
「http://blogs.dion.ne.jp/bunsuke/archives/2317430.html」のコメントより
激しく同感。
繰り返すようだけれど、「名前は大事」だ。