「特定秘密保護法案」が与党を中心に衆議院を通過しました。
賛否両論があることについては周知の所だと思いますが、何かを制限する制度には過剰に反応する人たちが常に一定数は存在します。
情報リテラシーの問題?
福島の原発事故で得た教訓の一つに、政府を含め、少なからぬ人々が混乱した状況下で情報を的確に解釈したり取り扱うことができなかったという「情報リテラシー」の問題が露呈されたということが挙げられると思います。
当時民主党政権の政府自身の情報統制にも問題がありましたが、特に、国民の代弁者でもないのに代弁者かのような顔をするマスコミや著名人による煽動に、政府官僚や与党経験党は一層危機感を抱いたのではないでしょうか。
今日 Twitter を見ていて、あまりに的を射ていて思わず吹いてしまったのがこのツイート。
日本にはデモクラシー(民主制)がまだ根付いていない?
国民の代表として代議士を選出し、その代議士による会議である国会で国の運営方針を決めるのが政治であり、それが民主制(Democracy)のスタイルです。一部の人たちの部分最適化の主張がまかり通るようでは、もはや民主制・民主主義ではなく他の国民の納得は得られないでしょう。政府は常に全体最適化を前提に考えなければならず、それが「国益」でしょう。
上記サイト等での反対理由に、「現行法で充分ではないか」「適用範囲が曖昧」「範囲が過度に広くジャーナリズムや言論が規制されるのではないか」という意見もありますが、あまりに杞憂ではないかと感じます。問題があるならその都度問いただせばよいわけで、それこそ民主主義的手続きを踏めばよいはずです。
ほんの数十年前まで軍事政権だった日本には、まだ「政府」=「お上」の発想が根強く残ってしまっているのかもしれません。
知らない方がいいことも多い
世の中には知らない方がいい情報も多くあります。ハリウッド映画では悪の組織の秘密を知ってしまうと大抵命を狙われます。
また、官公庁のみならず、多くの企業では従業員に職務上知り得た事柄を退職後も漏らしてはならないという守秘義務を課して、契約書や誓約書に署名をさせたり、就業規則に明記したりしていると思います。防衛関連産業に従事して防衛秘密に一度でも触れれば、死ぬまで自衛隊法が適用されます。
今回の件で、ふと思い出したのは、昔書いた「情報セキュリティ」に関する記事。
企業であれば戦略的に当たり前に考える、社内外の情報のコントロール・統制についての考察です。
例えば、パスワード。「他人に知られないようにすること」とよくありますが、それはなぜか? もし、あるシステム上の戦略的情報の流出や改ざん起きた場合、そのシステムのその領域にアクセスできるユーザー=「パスワードを知っている人全員」が容疑者に挙がってしまいます。
そのためにも、自分が疑われないよう他人のパスワードは知らないに越したことはありません。
国にとって戦略的な情報とは何か。ただでさえ、原発が停止してエネルギー源の海外依存度が今までになく高まって外交的に不利になっている状況下では、不用意に情報をリークするなどして政府を出し抜き、外交上の不利益を国にもたらすマスメディアを牽制、規制できるなら、そうした法もあってしかるべきだとは思います。