年賀状シーズンになると毎年、5年程前に書いた
へのアクセスが増えてくるのですが、Illustrator で作った年賀状データを、家庭用のインクジェットプリンターで印刷する場合のポイントを改めてまとめ、テストデータも用意してダウンロードできるようにしてみました。
フチナシ印刷の原理
今時のインクジェットプリンタは、どの機種も「フチナシ印刷」ができるようになっていますが、フチナシ印刷の原理はどのメーカーの機種も概ね同じで、はがきサイズで作られたデータを下の図のように印刷時にわずかに拡大することで実現しています。
そのため、作ったデータと比べて、印刷結果はどうしてもフチが欠けてしまいます。 周辺部に裁ち落とし用の余白を充分とったデザインならあまり気にならないのですが、正確にフチに合わせたデザインにしたい場合は、印刷するデータ側で、予め上下左右がどの程度欠けるか把握しておき、それに合わせて縮小したデータを作る必要があります。
フチナシ印刷時の拡大率やズレはプリンタの機種や環境で異なる
ここで留意すべき点は、フチナシ印刷時にどの程度拡大され、どの方向にどの程度ズレるのかは、プリンタの機種はもちろんのこと、OSやプリンタドライバのバージョン、印刷時の設定などの環境によって異なるということです。最近の機種ではフチナシ印刷時の拡大率を調節できるものもあるようです。
そんなわけで、フチナシ印刷でねらい通りにバッチリ仕上げるには、最終的には各々の環境で実際にテスト印刷して確認する以外に方法はありません。
はがきフチナシ印刷テストシート兼テンプレ
そこで、何年か前に拡大とズレの量を把握するための「テストシート」を作ったのですが、今回、少しブラッシュアップし、そのデータをダウンロードできるようにしましたので、お試しください。
データは Adobe Illustrator で編集可能な PDF データ(Illustrator CS2互換)になっていますので、Adobe Reader で開いて印刷テストができるほか、Illustrator で直接開いて編集し、テンプレートとして利用することもできます。
また、家庭用インクジェットプリンタでの印刷を前提としているので、RGBモードで作成してあります。
はがき(縦)用 | はがき(横)用 |
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PDFダウンロード(123KB) |
PDFダウンロード(123KB) |
使い方の例
- ダウンロードしたPDFを Adobe Reader または Acrobat で印刷します。
※印刷ダイアログで、「用紙にあわせて拡大・縮小」は必ず「なし」にしてください。 - 周縁部に1mm間隔でラインが引いてあるので、上下左右それぞれ何mm欠けるかをチェックします。
- 元のデータに対して、上下左右の欠けた位置を辺とする四角形が印刷後の仕上がりハガキサイズになります。(縦横比は変わらないはずなので、100 x 148 の四角形を縮小するとよいでしょう。)
- すでにハガキサイズ(100 x 148 mm)のデータが作成してあれば、3.で作った四角形に縮小して当てはめれば、狙った通りの印刷結果になるはずです。
※DTP経験者ならわかると思いますが、もちろん3.の四角形に対して、外側に裁ちしろが必要です。
※縮小時は「線幅と効果も拡大・縮小」にチェックを忘れずに。
ちなみに、これまでの経験則として、Illustrator で作った年賀状は次のように印刷すると良い結果になりました。
- Illustrator で直接印刷せず、一旦PDFにして Adobe Reader で印刷すると失敗が少ない。
- PDFで保存する際、カラープロファイルを「含める」にする。
- 非PSの家庭用インクジェットプリンタは、Mac用のプリンタドライバよりWindows用のプリンタドライバの方が印刷時のオプションが多く、プリンタの性能を引き出しやすいので、Windows の Adobe Reader から印刷するのがベター。
文字などのデザインが、用紙のフチギリギリの狙った位置にピタッと決まると気持ちがいいものです。Illustrator でデザインにこだわった年賀状を作られる方はぜひお試しあれ!
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