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『DigiFi』No.22 付録「バランス駆動対応ヘッドフォンアンプ」レビュー 第1弾:ヘッドフォンアンプの意義と付録の全貌

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デジタルオーディオに関心のある方ならご存知、ステレオサウンド別冊『DigiFi(デジファイ)』誌は、一昨年の夏から、Olasonic社との共同企画で、「ハイレゾUSB DAC」、「デジタルアンプ」、さらには「ハイレゾ対応スピーカーユニット」を連続企画で雑誌の付録として全国の書店で購入できるようにし、大型電気店や専門店のない都市部以外の方にもハイレゾデジタルオーディオを身近なものにしてくれました。

その『DigiFi』誌の付録、今年も始まりました。5月30日発売の次号、DigiFi No.22 に「バランス駆動対応ヘッドフォンアンプ」が付録としてついてきます!

『DigiFi No.15』から始まった、ハイレゾ USB DAC 〜 デジタルアンプの連続企画については、このブログでも詳しく解説しましたが、なんと DigiFi 編集部の方もご覧頂いていたようで、今回、編集部のご厚意で先行でサンプルを提供頂きましたので、一足早くレビューさせていただきます。

色々試して遊べるので、迷ったら買って損はない

結論から言うと、5,500円の『DigiFi No.22』、iPhoneスマホ しかないよー?という方でも充分楽しめます!
ヘッドフォンアンプに関心があったりなかったりする方なら、まず「買い」でしょう。特に、このページをご覧になっている方なら、買って損はないでしょう。

今回必要なのは、iPhoneスマホとイヤホンまたはヘッドホン(あとUSBの電源)さえあればOKで、たとえ音楽データがなくても大丈夫です。YouTube や AbemaTV 等無料サービスでも充分実感して楽しめます。

もちろん、音楽プレイヤー(DAP: Digital Audio Player)や USB DAC などがあればベストですが、もしバランス接続対応のヘッドホンやイヤホンをお持ちなら、後述する別売りオプションの「接続端子拡張基板(3,000円)」を用意すると、より一層楽しめるでしょう。
つまり、計8,500円で各種バランス端子を搭載したバランス出力対応のヘッドホンアンプが手に入るという寸法です。

単体の「ヘッドフォンアンプ」は一体何のためにあるのか?

オーディオに関心を持ち始めた人たちの多くが疑問に思うことに「プレイヤーのヘッドホン端子にそのまま挿せば聴けるのに、どうしてわざわざヘッドフォンアンプを別に用意するの?」というものがあります。自分もかつてそう思っていた時期がありました(笑)

この付録がこの疑問に答えてくれます。
「ヘッドフォンアンプの効果」としてよく言われているのは次の2つ。

  1. 設計上、スペースの制約がなく音質を優先した高音質な回路を設計でできる
    →より音源がもつ本来の音に近い音を引き出す。

  2. 駆動力(パワー)が桁違いに大きい
    →駆動力が必要な高級ヘッドホンや特殊なイヤホン(インピーダンス(Ω)の高い機種)でも、十分な音量で聴けるようになる。
    →駆動力に余裕があるので、普通のヘッドホンやイヤホンでも、より安定感やバランスがよくなる。(「駆動力=車のエンジンの排気量のようなもの」と思っておけばよいです)

一般的な「ヘッドフォンアンプ」のイメージ

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もちろん音楽プレイヤーやスマートフォンの中にも「ヘッドフォンアンプ」に相当する部品が内蔵されているので、ヘッドフォンジャックにイヤホンやヘッドフォンを挿せば、音楽や動画を楽しむことができます。 (iPhone 7 ではヘッドフォンジャックがなくなるというウワサもありますが…)

しかし、部品がギッシリ詰まったスマートフォンの中で、「ヘッドフォンアンプ」に与えられたスペースはごくわずか。多くはDACや音声処理用などのチップにヘッドフォンアンプ回路が内蔵されていたりします。 付属のイヤホンや内蔵スピーカーで聴く分にはそれでも「用」は足りますが、MP3やAACなどの圧縮音源の音楽であっても、実はその本来の音を充分に引き出せていないのです。

例えるなら、スマホ内蔵ヘッドフォン出力は原付で走っているようなもので、それをスポーツカーに乗り換えて走ろうというのが、外付けヘッドフォンアンプの役割といった所です。
スポーツカーに乗れば、移動手段としてだけでなくドライビングも存分に楽しめるように、ヘッドフォンアンプはヘッドフォンやイヤホンで音楽をより一層楽しめるようにしてくれるアイテムです。

DigiFi No.22 の付録ヘッドフォンアンプは、入力2系統/出力2系統(バランス/アンバランス)の充実の入出力搭載!

前置きが長くなりましたが、今回の『DigiFi』No.22 付録の「バランス駆動対応ヘッドフォンアンプ」は、通常のヘッドフォンアンプよりも入出力が多彩で、以前の DigiFi 付録ハイレゾ USB DAC にも対応した、様々な使い方ができるようになっています。

DigiFi No.22 特別付録「バランス駆動対応ヘッドフォンアンプ」の接続構成イメージ
注意:この図は関係をわかりやすくした「模式図」ですので、実際の回路構成・配線とは異なります。

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今回は、ステレオサウンド社のWebサイトでも詳しく解説されていますので、まずはどんなことができるのかご覧ください。

予想以上にクリアで安定感ある高音質!iPhoneの音も立体的に

気になる音質ですが、価格からすると予想以上によい音です。

まず、iPhone 6s のヘッドフォンジャックにイヤホン直挿しで Music アプリで音楽を聴くと、これはこれでよい音がします。

次に、iPhone 6s のヘッドフォンジャックから、ステレオミニケーブルで DigiFi No.22 付録のヘッドフォンアンプ基盤に接続し、基盤のステレオミニ端子にイヤホンを接続して聴くと、明らかに音がより立体的に、直挿し気付かなかった細かい音もキレイに聴こえるようになりました。
例えるなら、iPhone 直挿しではテレビの画面上に音がペターンと並んでいるかのようなのに対し、ヘッドフォンアンプを通すと、個々の音がテレビ画面を飛び出して、手前や奥、上下左右に広がり、それぞれの音の形や大きさもよりわかるようなイメージです。

ちなみに実は今まで iPhone 直挿しで音楽を聴いたことがあまりなく、ヘッドフォン出力からヘッドフォンアンプを通してもそう変わらないんじゃないの?と思っていたので、この違いには驚きました。

その後さらに、USB DACハイレゾDAPなどをつないで、手持ちの他のヘッドフォンアンプなどとも比較してみましたが、傾向としては非常にクリアで澄んだ音で、Olasonicお得意の瞬発的に大出力を生み出す「SCDS」のおかげか、エッジの効いたアタック音でも非常に安定感を感じます。

他にも、「eイヤホン名古屋大須店」さんでインピーダンスの高い(パワーが必要な)ヘッドホンをお借りして試してみましたが、パワー不足感も全く感じず充分に鳴らしきってくれました。

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別売りパーツでバランス出力への対応や各種バランス端子規格への変換、さらにOPアンプの交換で音質の向上も可能!

「DigiFi」No.22 に付録として付属するのは、ヘッドフォンアンプ本体と脚になる6角スペーサー、そしてヘッドフォンアンプとしての音声信号の増幅を担う「OPアンプ(オペアンプ) OPA2134PA」がステレオミニ(アンバランス)出力用に1つ、オペアンプ用ソケットに実装された状態になっています。

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これにまず、ステレオサウンドオンラインショップの他、eイヤホン各店舗、フジヤエービックにて販売している、

  • バランス出力用OPアンプを2個(2回路のもの)

を用意して、バランス出力用のオペアンプソケットに挿すことで、付録基板の XLR 3pin 端子×2からバランス出力が行えるようになります。

ただ、XLR 3pin 端子で利用できるヘッドフォンはかなり高級な機種に限られるので、

  • 別売りの接続端子拡張基板

を購入することで、付録基板と専用端子で連結して、2.5mm 4極端子やIRIS 4pin端子、XLR 4pin端子など、各種バランス端子規格に変換して出力できるようになります。
特に、日本のポータブルオーディオで普及している 2.5mm4極端子のイヤホン・ヘッドホンケーブルをお持ちの方は、この接続端子拡張基板を購入することでそのまま使えるようになります。

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さらにこの拡張基板、基板上には入出力が印刷されていますが、実はどの端子から入力してどの端子から出力するか特に決められていないので、この拡張基板単体でもバランス端子規格の相互変換が可能という、既製品を探してもどこにもないバランス端子規格変換基板としても使え、これだけでも1つ持っておく価値があります。

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ちなみに、OPアンプは同じ規格を満たしたものであれば、様々な種類が販売されているので、より高音質を謳ったものなどと挿し替えて音質の変化を楽しむことが出来ます。
3.5mmステレオミニのヘッドホン出力で試す場合はOPアンプは1個でよいですが、バランス出力でOPアンプの交換をしたい場合は、同じものを2個用意するのと、「IC引抜き工具」が必要になりますので、お忘れなく。

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今回は、もともと手元にOPアンプが数種類1個づつあったので、もう1個づつ買い足しました。
その結果も今後ブログにアップする予定ですので、お楽しみに。

他にあると便利なもの

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モバイルバッテリー+MicroUSBケーブル

このヘッドフォンアンプは、MicroUSB端子より電源を供給するようになっています。
パソコンやUSBコンセントなどから電源をとってもよいですが、音質的にはノイズの少ないモバイルバッテリーをオススメします。消費電力は極めて小さいので、モバイルバッテリーでもかなり長時間使えます。
また、電源用USBケーブルは付属していないので、「USB Aオス ⇔ MicroUSBオス」のケーブルを別途用意する必要があります。

ボリュームつまみ(φ6.1mm用のネジ止め式)

付録基板の、3.5mm入力端子のボリュームにはツマミがついていないので、「ツマミ」を用意して取り付けたほうが操作しやすくなります。
パーツ屋さんで安いものなら100円くらいで売っていると思います。注意点としては、入力端子間にボリュームがある関係であまり空間的余裕がないので、できるだけ外形の細いものを用意したほうがよいと思います。

XLR 3pin バランスケーブル×2本

付録基盤と接続端子拡張基板は専用の連結端子で連結できますが、実際に試してみたところでは、XLR 3pin バランスケーブルで接続したほうが、どうも音質がよいのです。
写真で使っているのは、CANARE製ケーブルにNEUTRICのプラグがついた0.5mの安価なものですが、これでも基盤同士直結と音質の違いがわかりました。

非常に遊びがいのあるヘッドフォンアンプ

今回の DigiFi No.22 の付録ヘッドフォンアンプ、上に挙げただけでもかなり様々な楽しみ方ができることがわかるかと思います。
また、比較的手頃なアクリルカバーや、例によって高級ケースも各種別売りされていますので、デスクトップオーディオとしてこれまでの DigiFi 付録シリーズと接続したり、単体で使ったり、改造したりと選択肢もたくさんあります。

個人的には、今回もケースを自作しようと企んでいますが、XLR端子は抜き挿しに力がかかる関係で、そのままでは基板に力がかかってしまうのでパネルにネジ止めする必要があります。そうするとかなり加工精度が要求されそうなので、ちょっと新しい方法を試してみようかとも思っています。

次回以降、様々な接続方法での音質や使い方、さらにOPアンプを交換しての音質の違いなどを紹介する予定です。あまり期待せずに、乞うご期待!