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Fluffy white croquis

日々の思索のためのクロッキー帳。オーディオやオススメなども。

iPhone対応の超小型 USB DAC「COZOY Astrapi」レビュー 〜DSPで高音質化を図る?謎めいたDAC

オーディオ 道具 レビュー
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今年の2〜3月頃海外で先行発売され、5月までには日本でも発表予定という、iPhone/Android/PC対応の超小型USB DAC/ヘッドホンアンプ「COZOY Astrapi」が気になったので、海外通販で一足早く手に入れて試してみました。

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最大の特徴は質感のよいアルミ筐体ながらとにかく小型軽量で、iPhone の Lightning 端子に専用ケーブルで直結(Made for iPhone 認証取得)の他、Android (要OTG対応) にも直接つないで使える点。さらにPCにも接続して USB DAC として使用できます。

海外ではすでにレビュー等もいくつか出ており、比較的好評価のようなのでこれはちょっと試してみたいと思いました。

謎多き香港の新興ブランド「COZOY」

「COZOY」という聞き慣ないこの新興ブランド、「Astrapi」が今のところ唯一の製品のようですが、海外の掲示板などによれば「SHOZY Alien」と同じ開発メンバーによって開発されたという情報もあるようです。

しかし、それ以上の詳細は Web サイトにも記載がなく全く不明で、現在はアメリカ、カナダ、フランス、オーストラリア、韓国、シンガポール、タイなどで販売しているようです。

日本での販売については “Will be announced by May!” と5月までには発表するようですが、Twitter アカウントを見ると、中国の「FiiO」ブランドで実績のある、オヤイデ電気のアカウントのみ相互フォローしているので、オヤイデから出てくる可能性もあるかもしれません。

追記 (2015.5.9)
予想通り、オヤイデ電気より5/15に発売とのこと。

24bit/192kHz, DSD(DoP) 対応の真偽はいかに?

海外の販売サイトを見ると、

“…the Lightning and USB-powered Astrapi transforms your luxury smartphone or tablet into a 24-bit/192kHz, DSD playing machine.”

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  • High-Resolution up to 24bit/192kHz
  • Software/App assisted DSD (DoP): iOS and Android

Cozoy Astrapi DAC/Amplifier | CTC Audio

など、ハイレゾDSD対応という謳い文句に関心を引きつけられます(後にこれが釣りだとわかるわけですが…)。

Lightning 直結の USB DAC としては、radius や Deff、Asteli&Kern などからいくつか製品が出ていますが、バッテリを内蔵しない Lightning 給電のみで 24bit/192kHz 対応を謳った機種はまだありません。Lightning 接続の場合、供給電力の関係で 24bit/96kHz 以上は厳しいという話を聞いたことがありますが、余程の低消費電力チップを搭載しているのかもしれません。

にわかには信じられないスペックですが、これがもし本当ならスゴイ製品だ!と、人柱覚悟で AliExpress でたまたま海外代理店よりも安くなっていたショップがあり、ショップクーポン+モバイル割引で $25 程安くなりそうなので、試しに購入してみました。

到着&開封

AliExpress で発注してから1週間ほどで、シンガポールからの発送で袋に箱が入って届きました。
外箱はなかなかキレイで、Apple 風。長辺が12cm程度の小さな箱です。

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箱の上フタに指掛けようの切り欠きがないので、開けるのにちょっと苦労しますが、箱を開けるとこんな感じ。

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金属の質感がなかなかいい感じです。

箱の中には、Astrapi 本体と、iPhone用 Lightining - MicroUSB ケーブル、Android用 MicroUSB OTGケーブル、PC用の USB A - MicroUSB ケーブルと保証規定が書かれた紙が入っています。

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説明書は、箱の裏に印刷されています。
また、本体の裏面にはクリップがついており、ポケットなどに固定できるようになっています。

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超小型 USB DAC の定番 ALO Audio “The Key” と比較してもひと回り小さく薄く、最薄部は 7mm 程しかありません。

iPhone に接続してハイレゾ音源を再生してみると・・・あれっ?

まず iPhone 5c に付属の Lightning ケーブルで接続し、ちょうどリリースされたばかりの radius Ne PLAYER for iOSハイレゾ音源を再生してみました。(通常1,800円のところ、発売記念セールで4月21日まで1,080円!)

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それぞれ、24bit/96kHz のFLACファイルと、DSD 2.8MHz のファイルを再生した時の様子ですが、どちらも出力周波数が 44.1kHz として認識され、PCM 44.1kHz にダウンコンバートされて再生されてしまうようです。

音質的には 16bit/48kHz の定番DAC「PCM2704」などと比べると、荒っぽさもあまりなく比較的なめらかで帯域バランスも整っており、音楽的には聴きやすい音です。

ちなみに、iFI Audio nano iDSD を接続した場合は次のような画面になり、ハイレゾDSDに対応していればこのような画面になるはずです。

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「24bit/192kHz、DSD(DoP)対応」という仕様がだんだん疑わしくなってきました。
「COZOY Astrapi」は、iPhone 上では次のように認識され、なぜか「MV Demo」という名称になっています。

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Mac に接続したところやはり 44.1kHz のみ orz

そこで今度は、MacBook Air の USB ポートに挿してみました。
仕様では、「USB2.0 のみ対応」となっており、USB3.0 には非対応とのことですが、USB3.0ポートしかない MacBook Air 13" (Early 2014) でも一応認識されました。

Audirvana Plus で確認すると、次の通り。

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やはり 44.1kHz のみ対応のようです。
バイス情報を見てみると、次のようになっていました。

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USBレシーバーは MVSILICON というメーカー製で、PC上でも「MV USB AUDIO」という名称です。
MVSILICON 社のサイトを見てみると、MP3プレイヤーやスマホに内蔵されるようなSoC(システム一式を1チップにしたもの)やDSPが得意なチップメーカーのようです。

Head-Fi などにも、ほぼ同様のテストを行ったレビューが上がっていました。

COZOY の公式サイトの表記が変わった!?

ここで、ふと COZOY の公式サイトの仕様を確認してみると、どうも購入前に見た内容と違っているような気がするのです。

System power current :10mA - 70mA max.

Power input 1.8V-3.3V+-10%

Output gain level step: 3dB/step; 16 steps

Native 16/44.1 decoding and implementation of DSP tuning algorithms

あれ?ネイティブでは「16bit/44.1kHz」、「DSPによるチューニングアルゴリズム」を実装となっています。 さらに画像も変わっているような気がします。

Before

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After

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Support up to 24/192” と表記されていた部分が “Support up to DSD(dop)” になっている!
ちなみに、海外の販売店サイトの画像は今でも “Support up to 24/192” のままになっています。

COZOY の Facebook ページで訊いてみた

24bit/192kHz のつもりで買ったら、実は 16bit/44.1kHz だった…というのは衝撃的です。海外の掲示板などでも議論になっており、一体どういうことかと COZOY の Facebook ページで訊いてみました。

結果としてわかったのは次の事項:

  • 24bit/192kHz はやはり間違いでハードウェア的には 16bit/44.1kHz。ただしDSPによるチューニングで聴感上の音質を向上させているらしい
  • 多くの販売サイトで 24bit/192kHz と表記されていることについて認識しており、謝罪
  • ボリュームを最大にしてラインアウトモードにした際に最も音質がよいので推奨
  • USB2.0用にコードを書いており、USB3.0ポートで使えたとしてもメーカーとしては非推奨
  • AliExpress に出ているのは超初期ロットで「MV Demo」という名称になっているのはそのためらしい。(シリアル番号からすると18号機?)

まあ、多くの人は「だまされた」と思うでしょう。人柱覚悟で買ったので一応想定の範囲内と言えば範囲内。 Made for iPhone 認証取得、24bit/192kHz、DSD対応でこの値段だったら、皆飛びつくでしょう。

16bit/44.1kHz であることが明らかになった今、筐体のデザインや大きさ、軽さは確かに驚異的ですが、通常価格 $129 というのは、コストパフォーマンスはあまりよくないなーと思います。

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低消費電力の割に高出力で実用上はなかなか使える

概ね正体が明らかになった所で改めてレビュー。

iPhone 5c 接続を中心に、いくつかのヘッドホン/イヤホンで試したところでは、先にも書いたように PCM2704 などの 16bit DAC によくあるザックリとした荒々しさはやや抑えられて、クリアで比較的スムーズな音という印象です。

高解像度というよりはキメ細かさを感じる音で、高域にやや硬さを感じるもののスッキリした中高音域で、やや空間の広がりを感じます。おそらく DSP による音質のチューニングが施されているのでしょう。

ただ、今回入手した超初期ロットでの評価なので、量産ロットではまた違うかもしれません。

Les Misérables Medley - Lindsey Stirling

バイオリンの音が非常に気持ちよく、ウッドベースの響きも迫力たっぷりに聴こえます。

気になる点として、DSP処理を行っている証とも言うべく、16kHz以上の超高音のテストトーンを再生すると、エイリアシングのような現象が生じて、感度の良いイヤホンではテストトーンより低い周波数の「ヒュイーン」という音が聴こえます。これは Bluetooth レシーバーなどでもよくある現象ですが、音楽を聴く上ではほぼ影響はないと言ってよいでしょう。

もう一点、機器のノイズを拾いやすいという点があります。特に PC で顕著ですが、iPhone でもアプリをたくさん起動していると、静かな場所では無音時に「ピー」と微かな音がする場合があります。PCの場合はUSBノイズフィルタ(『Stereo』誌2015年1月号付録など)を間に挟むとピタリと消えるのでやはりノイズ対策が甘い感はあります。

再生ソフトは「ONKYO HF Player」、「radius Ne PLAYER for iOS」、標準の「Music」アプリなどを使用しましたが、好印象だったのは、Ne PLAYER for iOS と HF Player です。個人的な好みとしては、インターフェイスがスッキリして細かな情報までわかる「radius Ne PLAYER for iOS」を推したいと思います。(HF Player はアプリ内課金 1,200円でハイレゾ対応)

ONKYO HF Player

ONKYO HF Player

  • ONKYO CORPORATION
  • ミュージック
  • 無料

コストパフォーマンスに課題は残るが、ファームウェアアップデートにも期待

「COZOY Astrapi」の最大の特徴はその小ささと軽さ、消費電力の低さ。USB プラグと同じくらいの幅しかないシンプルなミニマリスト・デザイン。「ケーブルの途中に何かついている」といった感じで、iPhone のバッテリの減りも iPhone 直挿しとほとんど変わらず、iPhone 直挿しよりも音質が格段にアップするので、製品としてはよく出来ていると思います。

イヤホンやインピーダンスの低いヘッドホンなら、ボリュームは1〜3目盛、AKG Q701(62Ω) でも、MAXでそこそこ充分な音量が得られます。
AACやMP3などの圧縮音源を中心に聴く用途には充分な性能ではないかと思います。
また、ボリュームを最大にするとラインアウトモードになるので、別途ヘッドホンアンプに接続して使うこともできるようになっています。

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コストパフォーマンスやDSPのチューニング、ノイズの問題はありますが、ファームウェアアップデートなどに期待したい所です。
近日中に国内でも発売されるようですが、どれくらいの価格でどんな謳い文句で出てくるのか、気になります。

追記(2015.5.8)
Amazon に出てきました。