前回に続き、100均で売っているグッズを利用して、今回は「オーディオセレクター」を作ってみました。
先日『Stereo』誌2014年8月号付録のスピーカーを組み立てましたが、Olasonic の Bluetooth レシーバーやTVの音声をこのスピーカーから出力するために、これまた100均アイテムを改造して作ったアダプタを使って手で差し替えて切り替えていました。
ただ、毎回差し替えるのは面倒なので、オーディオセレクタを使おうと思って、かなり前に作って、昔いた会社で Mac と Windows の音声を切り替えるのに使っていたトグルスイッチ式の2系統ステレオミニオーディオセレクターを探したのですが、どこかへ行ってしまったので、また作ってみようかなと思っていました。
今回はロータリースイッチで4系統切り替えに挑戦
電子工作に詳しいわけではなくあまり複雑なことは出来ないので、必然的に簡単に作れるものに限られますが、今回は将来的な拡張性も考慮して、4系統の入力を切り替えられるように、「ロータリースイッチ」を使ってみることにしました。
参考にしたのは、この方のブログ記事
ここでも触れられているように、既製の市販品は無駄にデカイ上に、GNDが共通になっているようで使い勝手もあまりよくなく、思うような製品がありません。
そこで、自作が一番ということでロータリースイッチを色々探してみた結果、この方と同じくアルプス電気の「SRRN142100」が最適という結論になりました(笑)
ひとまず次のパーツを揃えました。 いくつかネット上のパーツショップで比較して、結果的に千石電商ネット通販にて発注。
- ロータリースイッチ「アルプス電気 SRRN142100」(3回路4接点) ×1
- ステレオミニジャック「マル信無線MJ-073H」 ×5(入力用×4, 出力用×1)
- つまみ「サトーパーツ K-5475-S」 ×1
- リボンケーブル ×1
オーディオ機器っぽく、無駄にこだわってアルミ削り出しの「つまみ」にしてみました。
ケースを何にしようか?
以前、トグルスイッチタイプの2系統ステレオミニセレクターを作った時は、東急ハンズの透明アクリルケースを使いましたが、今回は4系統あり、サイズ違いの同じケースを使うのも面白味がないので、ひとまず100均で探してみることにしました。
つまみをアルミ製にしたので、電気的特性の面からも外部ノイズを遮断できそうな金属製のケースを探してみたところ、100均の Seria で見つけました。
またしてもフタがスライド式のケース(笑)今回はブリキ製です。
フタがスライド式のケースは、見た目もスッキリして加工もしやすくて便利なんです。
薄いブリキ板の穴あけに手こずる
今までプラスチックや木材の穴あけはしたことがありましたが、今回は薄いブリキ製ということで、たわみも生じるだろうしバリ取りも面倒そうだしと、ダメ元で穴あけにチャレンジ。
ボール盤があるわけでもなく電動ドリルを手持ちなので、いきなりでかいドリルビットを使うと十中八九失敗が予想されるので、まずは 1.5mm の小さな穴を開けて位置決め。次に 3mm、6mm、…と徐々に拡大していきました。
バリ取りは回転砥石のビットでガリガリと。
結果、やっぱりちょっと失敗。穴の位置も形もへにょへにょに…(汗
さらに、当初ミニ万力で固定しようと試行錯誤した際に正面側を一部ヘコませてしまいました orz
やはり薄い金属は手強い…
本当は裏に木でも当ててしっかり固定して開けた方がよいのですが、手近に手頃な端材もなく、結局は手で押さえて開けました。
防錆絶縁コーティングして部品固定用に内側にコルクシートを貼付け
今回穴をあけたケースは、ブリキ製(鋼板を錫メッキしたもの)なので、穴を開けた箇所の断面はメッキのない状態になり、錆が発生しやすくなります。
そこで、何らかのコーティングをしようと思い、とりあえず基板などの絶縁に使う絶縁防錆コート剤「ハヤコート」を全体に吹き付けました。
さらに、ステレオミニジャックやロータリースイッチを固定する際にしっかり食い込ませて固定できるように、何か柔らかいシート状のものがないか探した所、ちょうど手近に同じく100均(Seria)で買った粘着剤付コルクシートがあったので、これ幸いと内側に貼り付けました。
ミニジャックとロータリースイッチにフラットケーブルをハンダ付け
今回は4系統入力1系統出力を小型のボックスに収めるため、1本1本バラバラの配線ではスパゲッティになることが予想されたため、3本が横につながったフラットケーブル(リボンケーブル)で配線しました。
ロータリースイッチの端子はどう使ってもいいのですが、今回は L, R, GND を次のように分けました。「1, 7, 13」が出力用端子になります。
ケースのサイズの関係上、後ろ側に入力4系統、横に出力用1系統のステレオミニジャックをつけたのですが、ステレオミニジャック自体の長さを考慮するのをすっかり忘れていて、出力用ミニジャックが入力用4番とあわやニアミス状態に(汗
ケーブルも当初の構想では各端子から華麗にカールしてロータリースイッチに流れるようにつながる…はずでしたが、いざ取り付けてみたらインスタントラーメンみたいになってしまいました(汗
※一部プライバシーに配慮してモザイクをかけていますw
問題は多々あるもののとりあえず完成
多々問題点はありますが、なんとかひとまず完成しました。
動作もOK。さすがはアルプス電気のロータリースイッチ、つまみを回す時の「カタッ」「カタッ」という感触がとてもいいです。
今回は Bluetooth レシーバーや、TVの音声など、音質にはそれほどシビアでない用途がメインなので、まあいいかという感じです。聴感上も特に音質の劣化は感じられません。切替時にポップノイズがでてしまうのは構造的宿命ですが、気になるほどではありません。
ちなみにかかった費用は次の通り。
品名 | 数量 | 単価 | 金額(税込) |
---|---|---|---|
アルプス電気 ロータリースイッチ SRRN142100 | 1 | 383 | 383 |
マル信無線電気 Φ3.5mmジャック MJ-073H | 5 | 74 | 370 |
サトーパーツ つまみ K-5475-S | 1 | 368 | 368 |
協和ハーモネット 4芯リボンケーブル 1m | 1 | 242 | 242 |
上記配送料(せんごくネット通販) | 1 | 432 | 432 |
ブリキケース(Seria) | 1 | 108 | 108 |
計 | 1,903 |
市販のオーディオセレクターが概ね2千円以上はする(しかもGNDを共有しているものが多くノイズが酷いらしい)ことを考えると、内容の割には満足できるものが出来ました(^^)
オーディオ用にRCA端子用のセレクターも欲しいなと
とりあえずのステレオミニ専用セレクターは出来上がりましたが、これから「DigiFi の付録」などをデジタルアンプに接続していくにあたり、RCAピンケーブルを挿せるオーディオ用の「ちゃんとした」セレクターが欲しいなーと思っていますが、先述のように国内メーカー品にはまともで手頃なオーディオセレクターがありません。
『DigiFi』誌3号連続付録「DDC → DAC → デジタルアンプ」遂に開始!一体どれを買えば何ができる?〜 第1回「DDC」編 - white croquis
そこで最近、海外のネット通販サイトで探したりしているのですが、ちょっと気になる製品を見つけました。
アンプ自作用のパーツらしいのですが、ちゃんとしたリレー式のセレクターになっています。
お値段も日本のメーカーが出している野暮ったい簡易オーディオセレクターとほぼ同程度。これはちょっと気になります。DC12Vの電源と出力端子を追加してケースに収めればなかなか立派なものが出来そうです。
詳細情報不明の製品なので人柱的覚悟が必要ですが、非常にそそられるアイテムです。 今や、パーツ系は秋葉原より深セン(中国)って感じですね。