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Fluffy white croquis

日々の思索のためのクロッキー帳。オーディオやオススメなども。

YouTube ではなぜ 16kHz 以上の音がカットされるのか

オーディオ Music Web テクノロジー Tips

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まずはスペアナで計測して再確認

以前の記事

で、「YouTube では 16kHz 以上の音がカットされている」という衝撃の事実が明らかになりました。

その記事でも紹介した「20Hz〜20kHzの連続トーン」を収録したというこの動画を再生しながら、スペクトラム・アナライザーソフト「iSpectrum」でモニターしてみると…

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こんな感じで、16kHz の手前まではいい感じでプロットされていたのが、動画の画面表示とは裏腹に実際には 16kHz 辺りで信号がプツリと途絶えてしまっています。つまり、YouTube動画では 16kHz 以上の音は「聴こえない」のではなく「そもそも出ていない」のです。

他の音声データとの比較

比較のために、前回も紹介したサイト

の音声で同じように試してみると、

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普通の WAVE ファイルではちゃんと音が出ていることがわかります。

それでも実際の所、YouTube 動画でも音楽レーベルが公式にアップしているものなど、音質のよいコンテンツは数多くあります。USB-DAC でデジタル出力して、それなりのヘッドホンで聴くとこれは顕著です。

YouTube の「上限 16kHz」は実は合理的なのかも

ではなぜ YouTube では 16kHz 以上の音はアップロード時にカットされてしまうのか?
仮説として、次のようなことが考えられそうです。

ターゲットとする再生環境とコンテンツ

  1. YouTube の主な視聴環境はパソコンやモバイル端末などを前提としており、音質はそれほど重要でない。
  2. 前回の記事の実験で明らかになったように、プロユースでない安価なヘッドホンやイヤホンではそもそも 16kHz 以上の音がほとんど出ない。
  3. 年齢とともに高い音は聞こえにくくなり、16kHz以上の音声が聴こえる人自体がそれほど多くない。
  4. 16kHz 以上の音声が必要なコンテンツ自体がそもそも少ない、あるいは YouTube のコンセプト上、そうしたコンテンツはターゲットとしていない。

データ量と実可聴域の音質面でのメリット

  1. 16kHz 以上の音(短い波長=データ量が膨大)をカットすることで音声のデータ量を小さくでき、その分を映像の画質向上にまわし、今ほどブロードバンドが普及していない時代には効果的だった。
  2. ブロードバンド時代になってHD動画などデータ量がそれほど大きな問題にならなくなっても、同じデータ転送レートで比較した場合、16kHz〜20kHz をカットした方が、むしろ 20Hz〜16kHz の実可聴域の情報量を増やすことができ、聴感上の音質を向上できる
    参考:

このように考えてみると、YouTube にとって、16kHz 以上をカットすることは合理的な選択だとも言えそうです。

再生可能周波数よりも音質に影響を与えるもの

スペック上 16kHz 以上の音が出ていないからと言って、音質が悪いわけではありません。
下の動画の曲の正規ダウンロード版を購入して持っていますが、ブラインドテストでどっちが YouTube か聴き分けられる自信がありません。

PCやスマホなどの端末で、音質に大きく影響するのは、デジタル信号をアナログに変換する「D/AコンバーターDAC)」や、微弱な音声信号をヘッドホンやスピーカーで聴こえるように増幅する「アンプ」、更にはスピーカーやヘッドホン自体の性能の方が大きいでしょう。

パソコンやスマホでは、通常それらの部品が本体に内蔵されていますが、「コンピュータはオーディオにとっては大敵」という関係があるので、ほとんどの機種では充分な音質を引き出せていません。

これは、以前の記事

でも書いたように、明白です。

もし、身近にハイレゾ音源対応の USB DAC を持っている人がいたら、一度、YouTube 上の音楽レーベルの公式動画を再生してどんな音がするか聴かせてもらってみてください。きっと YouTube 動画の音質に対する見方が変わると思います。