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思索と探索のクロッキー帳。オーディオや音楽の話題、レビューなども。

iPhone とつながる電子ペーパー(メモリ液晶)のスマートウォッチ「Pebble」を試してみた

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きっかけは日本企業の衝撃的な発表

先月下旬、日本のあるメーカーから衝撃的な発表がありました。


「将来にわたって一番良いモノを提供する、そのための準備をしている」と語り、特にハードウェアの性能やデザインなどに注力する考えを強調した。

アメリカでは Google Grass の一般向け販売が5月15日に開始され、イギリスなど他の国への展開も始まろうとしている昨今、何度か目を疑いましたが「あと10年」だそうです。掲載されている写真は10年前のものではなく最新製品とのこと。さらに、1月の記事によれば「同社では競合をソニーと捉えており、将来的にはGoogleも意識している」だそうで。

腹筋に衝撃が走りました。
「モノづくり」思考から脱却できず、コンセプトありきではなく「技術ドリブン」で製品を作ってしまう「典型的な日本のメーカー」の姿を垣間見た気がします。

電子ペーパー時計・スマートウォッチが気になってしょうがない

ネットでも当然このニュースは話題になっていましたが、ふと相方がその「EPSON つながり」で面白い動画を見つけました。それがコチラ。

電子ペーパーの腕時計!エプソン スマートキャンバスがやってきた!前編 / EPSON Smart Canvas

電子ペーパーの腕時計!エプソン スマートキャンバスがやってきた!後編 / EPSON Smart Canvas

10代を中心に YouTube で人気者になっているらしい、劇団天然工房の瀬戸弘司氏が体当たりで様々な製品のレビューをする「瀬戸弘司の動画」で、瀬戸弘司氏のキャラクターもインパクトがありますが、この製品もインパクトでは負けていません。

電子ペーパー (E Ink) を使った時計は10年ほど前からあるのは知っていましたが、10年近く経ってイマココ?感…

2005年

2010年

2014年

価格をここまで下げられたのは評価できるでしょう。しかし、同じく E Ink 技術を使った Kindle paperwhite が 1万円程で売られている時代に、 E Ink のメリットを活かしたライフスタイル提案でもなく、「とりあえずデバイス作った」から、と後付のコンセプトとデザインで飾り付けて製品に仕立てあげた雰囲気に見えます。中の人は必死なんだろうと思いますが、上の動画の瀬戸弘司氏の反応を見ても、完全に「ネタ」と化しています。

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で、この動画を見てから、他の「電子ペーパー時計」や「スマートウォッチ」はどうなっているのか気になりはじめ、いろいろと調べてみました。

Android 向けには SamsungSony などすでに何社か「スマートウォッチ」を発売していますが、iPhone と連携できる機種はまだ少ない状況です。そんな中、iPhoneにも対応し「電子ペーパーを使ったスマートウォッチ」というものがありました。

それが、この「Pebble」です。

Kickstarter による資金調達で作られた「Pebble」

Pebble」は、もともとカナダのウォータールー大学の学生だった Eric Migicovsky 氏を中心とする、6名ほどのプロジェクトで開発され、昨年2013年7月に一般販売が開始された製品です。

「Pebble」が他のスマートウォッチとの違いを特徴付けているのは、この製品がメーカーが開発して販売するという通常のスタイルではなく、商品コンセプトを発表し、量産化のために「クラウドファンディング」で開発資金を募る「Kickstarter」で資金調達を行い、Kickstarter の中でも異例の、募集開始から12時間で目標額の10万ドルを大幅に上回る50万ドルの資金調達に成功したという点です。それだけ注目度の高い製品です。

また機能面でも、他のスマートウォッチが液晶や有機ELなどを採用し、1回の充電で2、3日しか使えずボタンやタッチ操作をしないと画面が見られないのに対し、Pebble は、(広義には)電子ペーパーの一種でシャープが開発した「メモリ液晶」を採用しているため、画面が「常時表示」され、1回の充電で1週間程度使えるなど、スマートウォッチとしてだけでなく本来の時計としての利便性も高くなっています。

今回注文したのは、Amazon で一番安かったこちらのグレーモデル。Amazon配送センターからの国内発送で、発注から2日程で届きました。
(余談ですが、実は数日前に自分の引出しの中から「埋蔵金」が発掘され、今回はその埋蔵金の有効活用として購入してみました<言い訳)

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Pebble が到着!まずは初期設定

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包装はシンプルで、iPhone のような紙のケースに、本体と充電用USBケーブル、簡単な説明書が入っているだけです。日常生活防水なので、専用のマグネット式コネクタのUSBケーブルで充電します。

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Pebble は iPhoneAndroid 等のスマートフォンBluetooth で通信し、時計盤面デザインやアプリのインストールは、専用のアプリを介して全て Bluetooth 経由で行います。

https://itunes.apple.com/jp/app/pebble-smartwatch/id592012721?mt=8&uo=4&at=1l3v2xF

iPhone でこの Pebble アプリをダウンロードして最初に起動すると、ユーザー登録とペアリングの設定画面になるので、画面に従って進めていきます。

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つい先日、最新のファームウェア Ver.2.3 がリリースされていたらしく、ファームウェアのアップデートも同時に行われました。

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Pebble を触ってみたファーストインプレッション

第一印象は、思ったより「軽い」ということ。重量はわずか38gです。そして、最厚部でも約1cmという薄さ。スマートウォッチの中ではかなりコンパクトな部類に入り、いかにもな「ゴツさ」がありません。

画面はメモリ液晶のおかげで屋外や直射日光下でもコントラストが高くて視認性がよく、E Ink のように表示の切り替えにもたつくようなことは一切ありません。さらに、バックライトを内蔵しているので暗いところでもクッキリ表示でき、ジャイロセンサーを内蔵しているため、腕をクルッと振るだけでバックライトが点灯し、夜、手がふさがっていても時刻などを簡単に確認することが出来ます。

サイズ感はこんな感じ。隣は、普段愛用している BERING 11939-772(秒針のない初期型)です。

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普通に「時計」として見ても充分使えそうな印象です。

魅力的な豊富な文字盤のデザインとスマホ連携アプリ

Pebble は、文字盤のデザイン(Watch Face)を Pebble Store で自由に追加したり、アプリをインストールすることが出来、iPhoneAndroid の Pebble アプリ上で設定や管理ができます。
Pebble へのインストールが完了すると、Pebble が「ブルッ」と振動してインストールした文字盤やアプリの画面に切り替わります。(メモリ容量の関係で、同時にインストールできるのは8つまでという制限があります)

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例えば、天気情報付文字盤デザインをインストールすると、iPhoneGPS 機能を利用して現在地の天気や温度を表示したりできます。

当初、GPSの位置情報をなかなか拾えず焦りましたが、実は iPhone のプライバシー設定の Location Service が Pebble アプリに対して有効になっていなかっただけで、ONにしたらすぐに iPhone の位置情報を認識してくれました(^^;

また、iPhone で再生中の音楽を表示・操作ができたり、Bluetooth 接続が切れる(→ iPhone から一定の距離以上離れる)と「ブルルッ」と振動して教えてくれたり、細かいところまで「日常での使い勝手」を考慮してある感があります。

アプリもGPSナビ系やヘルスウェア系はもちろんのこと、iPhone のリモート操作や EvernoteFoursquare などもあり、スマートフォンを使う機会を減らすことで、スマートフォンのバッテリーのもちをよくするという効果も期待できます。

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Evernote 上の PDF 文書を表示してみたところ

さらには独自にソフトウェアを開発したりしてカスタマイズが可能

さらに Pebble を魅力的にしているのは開発環境を全て公開しており、オリジナルアプリや文字盤を作ってカスタマイズできる点。それも敷居の低い JavaScript でも可能で、ブラウザ上で完結するオンライン開発環境が公開されていたり、有志による文字盤ジェネレーターがあったりと、プログラミングの知識がなくてもカスタマイズが可能になっています。

日本人にとって唯一の難点は日本語非対応の点か

個人的には iPhoneMac もすべて英語表示にしており、専ら海外の情報源や音楽を聴いたりしているので特に違和感はないのですが、日本語が表示できないというのが日本人にとっては一番ネックになるでしょう。

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Android 版のアプリで、一部日本語化できされているものがあるようですが、iPhone 版ではそうしたものがなく、有志がファームウェアをカスタマイズしてカナ表示が可能なようにしている具合です。

なんとなく Palm OS を思い出させるが、可能性は未知数のウェアラブル端末

Pebble をさわっていると、どことなく懐かしい感覚があります。ちょうど、20年程前に世界的に流行ったPDAPalm Pilot」を想起させます。

あれも当時は画期的なディバイスでした。しかし Pebble は「ウェアラブル」、「スマートフォンと連携」という点で活用シーンはアイディア次第でさらに広がりそうです。

今秋に Apple が iWatch を発表するのではないかという憶測も飛び交っていますが、その前に一度「Pebble」を試して、スマートウォッチの可能性やそれによってライフスタイルがどう変わるのかを探ってみるのも面白いのではないでしょうか。これはかなり遊べそうなガジェットです。

カラバリもあり、今年になってより高級感のあるメタルモデルも出ているので、気になった方は是非1つ取り寄せてみることをオススメします(^^)

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[asin:B00H7ASMM4:detail]

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[asin:B00IVX0XGO:detail]

尚、公式サイトからも海外発送で購入できるようです。

関連・参考情報

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