今回は、iPhone 5c に付属していたApple 純正のステレオイヤホン(インナーイヤー・ヘッドホン)「Apple EarPods」と、別件のついでに遊び半分で買ってみた激安ステレオイヤホン「KOSS The Plug」のレビューです。
これまでのインナーイヤー・ヘッドホン歴
ヘッドホンやイヤホン(インナーイヤー・ヘッドホン:SONY的な呼称)は、「ウォークマン」の時代から付属品に満足できず、そこそここだわって何種類も使ってきました。
直近では、
- SONYの当時の最上位モデル「MDR-E888SP」(1995年発売?)
- SONY初のカナル型「MDR-EX70 」(1999年発売)
- Panasonicのカナル型「RP-HJE70」(2005年発売)
- SONYの当時のモニター音質モデル「MDR-EX90SL」(2006年発売)
などを使ってきて、MDR-EX90SL は今でも現役です。
家の中では、専ら SONY の密閉型スタジオモニターヘッドホン「MDR-Z900」(1992年発売)をリファレンスとして常用しており、先日紹介した 24bit USB-DAC を通して使っています。
iPhone 付属の「Apple EarPods」が意外によかった
さて、ここからが本題です。
昨年の秋に iPhone 4 から iPhone 5c にMNPで機種変更し、付属のApple純正イヤホン「Apple EarPods」は開封することもなく放置していました。
しかし、何かの折に iPhone 5 以降に付属しているこの「Apple EarPods」が意外に音質がよいという話をネット上で見かけ、どんなものかと試しに開封して聴いてみた所、もともとあまり期待していなかった予想を超えていました。
一番感心したのは帯域バランスがよい点。高域から低域までかなりフラット感があり、重低音までしっかり出ています。
自分の音の好みとして、以前
で書いたように、低音〜高音までの「帯域バランス」を特に重視しています。
ヘッドホンは一般的に低音が不足気味の傾向がある中で、このヘッドホンはプレイヤー側でベースブースト等のエフェクトをせずに充分な量感ある低音が出て、中高域もクセが少なくなかなか健闘しています。単体で購入しても3000円未満で買えてしまうので、かなりコスト・パフォーマンスが高いと思います。
音の繊細さや質感という点ではやはり「MDR-EX90SL」には及ばず、なんとなく音に「プラスチックっぽさ」を感じますが、屋外の雑踏の中での普段聴きならほとんど不満がないレベルです。それまでの Apple の純正付属ヘッドホンがショボすぎたというのもありましたが、正直これは驚きました。
iPhone 4s 以前のユーザーにもオススメですが、Amazon のレビューを見ていると、販売業者によっては「模造品」があるらしいので、Amazon の場合は Amazon が直接販売・発送している製品か、Apple Store で購入した方がよさそうです。
気になる点としては、ツルツルしすぎていて人によっては耳から外れやすいので、サードパーティー製のシリコンカバーをつけるといいかもしれません。
個性的で低音が強烈な「KOSS The Plug」
これは、以前 MDR-Z900 のイヤーパッドがボロボロになったので、「サウンドハウス」でZ900の交換部品を買うついでに、安くなっていたので試しに購入してみたものです。
1000円ちょっとという直輸入の激安品ですが、とにかく低音が出ます。これでもかというくらい出ます。Enya の "Watermark" のあの空気振動のような重低音もしっかり聴こえます。その代わり中高域が全く出ません。全体的にこもった感じの音で、イコライザーで補正しないと音楽を聴く用途では実用に耐えません。解像度も絶望的です。エージングでなんとかなるかなとも思いましたが、今のところあまり変化なし。
さらに、ケーブルも頼りないくらい細いので断線も心配です。実際、レビューなどでよく断線するようなことが書かれていました。
iTunes ではイコライザーで右図の用に調整してなんとか聴けるレベルになりますが、このiTunes上のカスタムで作ったイコライジング設定は残念ながら iPhone には反映されないのです。
そこで、iPhone で使う場合、聴感上近いプリセットを選ぶことになりますが、「Treble Booster」か「Electronic」がまま許せるかなといったところです。
よい点は、イヤーパッドが耳栓「イヤーウィスパー」のような低反発の素材で出来ているので、遮音性がかなり高く装着感もよいところでしょう。耳の穴が小さい人にはキツイかも。
また、この機種はイヤーピースとダクトをカスタマイズする「ギボシ改造」という手を使って音質を向上できるようなのですが、同じ「KOSS The Plug」でもいくつかバリエーションがあるようで、改造手法もそれぞれ違うようなので、ちょっと様子見中です。
追記(2014.01.26)
革製品用のハトメ金具を装着することで劇的に音質が改善しました!
一見、デメリットばかりのように見えますが、どういうわけか時々「ちょっと The Plug で聴いてみようか」と思ってしまう、とても個性的なヘッドホンです。
万人にはオススメできませんが、1つあると遊んでみたくなる、そんなヘッドホンです。
尚、Amazon で販売されてるのは「国内正規品」となっているので、自分が持っている直輸入品とは何か違いがあるかもしれません。
外に持っていくなら「Apple EarPods」か「KOSS The Plug」
全くキャラクターの異なる3つのヘッドホンのうち、外出時に持っていくなら「Apple EarPods」か「KOSS The Plug」でしょう。
これまで使っていた「MDR-EX90SL」は音質面では満足でしたが、騒音の中では低音が聴こえづらく、音モレが激しいため電車の中ではボリュームをなかなか上げられないというジレンマがありました。
「Apple EarPods」はバランスがいいので常用したいところですが、みんな持っているので、スペシャルティに欠けます。
「KOSS The Plug」は音質的には先に挙げた3つの中では最低の評価ですが、近頃主に聴いているトランス系ミュージックとの相性がよく、遮音性が高く騒音の中でも重低音がしっかり聴こえるので電車の中でも安心です。
「KOSS The Plug」の魅力はいわば古いイタリア車のようなものかもしれません(と言うとイタリア車オーナーの方に怒られそうですが)。ダメなところはあるんだけどなんとか手をかけて良くしてあげたい…というような愛着が芽生えてきます。(笑)
高級なイヤホンはたくさん出ているけれど…
今や様々なメーカーから一昔からは想像もつかないくらいたくさんの高級なヘッドホン/イヤホンが出ており、間違いなく良い音がするとは思いますが、個人的に今一番気になっているのは、↓コレです。
イヤホン組立キット | final audio design
- イヤーパッドは遮音性の高いタイプと共振性の低いタイプの2タイプ、S/M/L左右セット、計12ピース同梱
- チューニング用スポンジは6種左右セット、計12ピース同梱
- その他、ピンセット、接着剤、竹串、マニュアル同梱
自分でチューニングしながら好みの音を作っていけるというのは、なかなかソソられます。
オーディオや音楽は、「いかに楽しめるか」が重要なので、「音質が良いからよいもの」とは言い切れない部分があるように思います。
もちろん、e-onkyo でダウンロードした 24bit/192kHz のハイレゾ音源を初めて聴いた時は鳥肌モノでしたが、11分で430MBにもなるデータをどう考えるか、人が何の価値に重きを置くかは千差万別です。
そんなわけで、今日も AAC 形式で不可逆圧縮された音楽を楽しみながら blog を書いています。
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