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思索と探索のクロッキー帳。オーディオや音楽の話題、レビューなども。

オーディオ機器の選び方と音質の考え方

学生時代に電器店で某オーディオメーカーの販売員(セールスヘルパー)のバイトをしていたこともあって、オーディオには多少のこだわりがあるのは、以前書いた記事、

の通りですが、バイト時代に売り場で様々なメーカーのオーディオ機器(主にエントリークラスのミニミニコンポ〜ハイコンポ)を聴き比べると、メーカーごとに明らかに「音の傾向」がありました。

メーカーによって異なる音の傾向

例えば、「音が硬め」「乾いた感じ」「滑らか」「シャリシャリしてる」「艶がある」等々。あくまで主観的な評価ですが、各メーカーの担当者と一緒に聴いてもその違いは明らかなので、各社とも自社の機器の特性を活かせるCDでデモをしたりしていました。

こんなことを言うと、どのメーカーを選んだらいいの?と思うかもしれませんが、オーディオ機器を選ぶ時の一つの目安として、エフェクト類を全てOFFにした状態で「帯域バランスがよい」、あるいはイコライザーや補正機能によって「帯域バランスをフラットにできる」もの、更に欲を出せば「音の解像度や質感が感じられる」ものをおすすめします。

低価格帯オーディオでも重視したい「帯域バランス」

人間の耳は、音の周波数や大きさによって同じ大きさと感じる音圧レベルが異なっており、同じ大きさと感じる音を周波数軸上にプロットしたものを「等ラウドネス曲線」と呼び、ISO 226 として国際規格にもなっています。

デスクトップオーディオなど低価格帯の小型のオーディオ機器では、スピーカーのユニット直径やエンクロージャー(箱)容積などの構造上、低音が出にくくなっています。また、夜などで小音量にすると低音が聞こえにくくなります。そのため、小型のオーディオ機器には大抵「ベースブースト」「ラウドネス」などの低音増強や補正機能が備わっています。

ピュアオーディオ」信奉者の中には、そうしたエフェクト機能は邪道だという方もいますが、個人的には、低音〜高音までの聴感上の帯域バランスをフラットに近づける、すなわち「等ラウドネス曲線」に近づけられれば、原音(音楽の作り手が意図する音という意味で)に近い帯域バランスで音を聴けることになるので、音の質感を損なわなければ積極的に使ってしかるべきだと思っています。

イヤホンなどでは、耳の穴への収まり具合など帯域バランスが大きく変わる場合もあるので、ゴムのアタッチメント等も重要な要素になってきます。

そもそも多くのCDは規格上のスペックさえ活かしきれていない

最近は「ハイレゾ音源」と言った、CDのフォーマットを超える、高いサンプリング周波数、量子化ビット数で録音されたものもありますが、実際のところ、現行のCD規格をフルに活かしきっているCD自体が実は少ないのです。

CDはその規格上、再生可能周波数 〜20kHz(←サンプリング周波数が44.1kHzのため)、ダイナミックレンジ 96dB(←量子化ビット数が16bitのため)となっていますが、このスペックを極力最大限に活かして高音質で録音される音楽は、JAZZやクラシックなどが多く、J-POPなどでは稀です。

この辺りは録音やミキシングに使うスタジオの機材やセッティング、エンジニアの腕、制作予算などに大きく左右されるところですが、特に J-POP などは小型で安価な機器で再生されることを前提に制作されることもあってか、高価で高音質で再生できる機器で聴くと、かえって録音の「アラ」が目立って聴き苦しいものも多いのが現実です。

結局は実際に試聴するのが一番

特に、ヘッドホンは比較的安価に高音質を楽しめますが、聴く音楽のジャンルによっては、あまり高価なものを買ってもその性能を活かし切れない場合もあるので、プレイヤーのイコライザーをOFFにした状態で満足できる音質であれば、あとは装着感やデザインで選ぶのがよいと思います。

また、iPhoneiPod などと接続できる機種は、必ず自分の iPhoneiPod を持参して、複数のジャンルの自分の好きな曲を何曲か再生して試聴するのが一番です。大きなお店でないと希望の機種が試聴できる店舗は少ないかもしれませんが、自分の好みに合ったいい製品に巡りあえると、一層愛着も湧くことでしょう。


Paul Schwartz - Ombra Mai Fu
※この曲、自分の結婚式で親への花束贈呈のBGMに使った思い出深い曲です。
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