今日買った本。
@IT自分戦略研究所の連載、「ITエンジニアにも必要な国語力」「図解言語実践テクニック」などでおなじみのアイデアクラフト 開米氏の新刊。情報を取り扱う能力(情報リテラシー)を測ろうとする際に、「あるものにどう名前を付けるか?」が指標として使えるんじゃないかと以前から思っている。例えば、メールの件名やフォルダ名、ファイル名など。名前の付け方にどれだけ注意を払っているかが、情報の本質をいかに的確に捉え、かつ適切に取り扱えるかを表しているんじゃないかと。
ある「もの」が、充分な説明が出来ない状態で不特定の人の目に触れる可能性があるとき、それがどういうものと認識されるかは名前にかかっていると思う。それについての説明がなければ、名前と名前の背景にある文脈(スキーマ)、それが置かれる状況しかそれについての判断材料がない。つまり名前が唯一の明示的な説明になる。
それに何という名前がついているか?、それによって人の認識が生まれる。人はそれぞれの認識に基づいて行動することになるのだから、名前の付け方次第で、それに関わる人の行動にまで影響を与えることになる。
こんな例がある。
“私のお願いは、ユビキタス・コンピューティングについて、その名称から生じた誤解が広まるのを防ぐこと、これをあなたに手伝ってほしいのです。ユビキタス・コンピューティングは、「コンピューター」をユビキタスにすることだけでは決してありません。これは、あなたの研究のように、コンピューターをメディアとして環境に溶け込ませるということだったのです。”
これは、「ユビキタス・コンピューティング」の提唱者、故マーク・ワイザー氏が、MITメディアラボの石井氏に宛てたメールの一部だ。そして石井氏はこう書いている。
コンセプトの発明者の仕事は、新しいコンセプトを生み出すことだけにとどまらない。そのコンセプトを人々に正しく伝えるための「ネーミング」が重要な仕事なのである。(「http://www.ascii.jp/elem/000/000/053/53790/」より)
これはとても共感できる。
自分の身の回りでは、「どんな名前をつけるか?」にあまり関心を持たない人が多い。どうやって彼らにその重要性に気づいてもらうかが悩みどころ。名前のつけ方ひとつで組織の発揮できる力が大きく変わるということもあり得ると思う。