white croquis

思索と探索のクロッキー帳。オーディオや音楽の話題、レビューなども。

思考の全てをスキーマで表現できないか

この所ずっと気になっているのが、「スキーマ」の概念だけで思考や知覚をシンプルに表現できないのか?という点だ。

スキーマ」で表されるような構造的な知識や思考のモデルは、認知心理学認知科学脳科学、哲学のみならず、人工知能の研究など様々な分野に見られるように思う。それぞれ名前や表す範囲が違っているが、根本は似たような概念構造のような気がする。例えば、「クオリア」は「スキーマ」の最小単位の1つに思えてならない。

普段は抽象化して処理の負荷を下げつつも、その気になればどこまでも抽象度を下げて具体化できるという、脳のしくみを実現するには、「スキーマ」の概念がキーにならないだろうか。私は専門家でも何でもないので、専門家に言わせればそんなことはすでにやってるよという事かも知れないが、分野によって様々な説があっても、誰も統合しようとしていなさそうなのが気になってしょうがない。

レイヤーモデルに倣った構造の理解では、上位層のものは下位層のものによって支えられ記述あるいは実現されることになっている。よって、上位層の概念はその下位層の概念によって説明できなければいけないと思う。人間の思考のパターンを全て説明できるその下位層のしくみとは何か?が知りたい。

思考の基盤となる下位層を探るのは、「思考のリバースエンジニアリング」といった言葉が似合うかも知れない。ソフトウェアの見た目の挙動から、そのコンピュータのハードウェア・アーキテクチャを探るよりも、そのソフトウェアのアーキテクチャを探る方が容易であろう。
従来の機能主義的な脳科学の研究は、ハードウェアの働きからソフトウェアの見た目の挙動を説明しようとしているようなものに思える。だからいつもモヤモヤの残る説明しかできなかった。また、「コネクショニズム」が短絡的に思えるのは、その発想の基となっているニューラルネットワークという物理層から目指す層までの間が飛躍しすぎているところにあると思う。どうしてそんなに焦るの?と思える。

スキーマを考える上では物理基盤がどうであるかは特に考える必要はないし、仮説を立てる上での制約も少ない。物理基盤を考えずに思考のしくみを探ると言えば、それは「哲学」ではないのかと思うのだが、どうも今の「哲学」はとても狭い範囲で「文学的な」議論を繰り返しているようで何かを目指しているように見えない。(ただし、その中でも救いの光がありそうなのが「現象学」だ)

というわけで、「スキーマ」で、分野をまたいだ概念をどこまで統合して説明できるのか、時間を見つけて考えてみたい。
すでに研究されていそうだけど。

(goo blogより移植)

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