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aune BU1 レビュー 〜据置機に匹敵する「音の安定感」とパワーのある、ES9038搭載フルディスクリートA級動作ポータブルヘッドホンアンプ

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今回は、この夏の「ポタフェス2019東京・秋葉原」で初めて試聴し、その瞬間にただならぬその音に驚いた、「aune BU1」という USB DAC 搭載ポータブルヘッドホンアンプを試用してのレビューです。(試聴機をお借りしてのレビューです)

ポータブルオーディオ機器、それも高価なハイエンド機ではなくスマートフォンよりも安価な機器で、フルサイズの据置単品オーディオ機器で感じられるような、音の「あの感覚」を感じることができたのは久しぶりかも。

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オーディオシステムの中でアンプによって生み出される「あの感覚」

オーディオシステムの三大構成要素として挙げられるのが、

  1. プレイヤー(音源から情報を読み取って電気信号に変換する)
  2. アンプ(微弱な信号を大きな信号に増幅する)
  3. スピーカーやヘッドホン、イヤホンなど(電気信号を空気振動=音に変える)

の3つですが、アンプ(Amplifier=増幅器)、特にヘッドホンやイヤホンを駆動するための「ヘッドホンアンプ」は音楽プレイヤー(スマホなども含め)に内蔵されているため、その違いがどのように音に影響するのか、他の要素ほど意識されにくい部分かもしれません。

自分がオーディオを本格的に(?)始めたのが、据置型の単品コンポーネント・オーディオだった点も大きいかもしれませんが、初めて単品オーディオ機器を買い揃えてその音を聴いたとき、CDラジカセやミニコンポなどとは決定的に音の「次元」が違うと感じました。音質がよいのは当然として、音が「鳴っている」というより、音が「しっかりと地に足をつけてそこにある」というような感覚を体験したのはその時が初めてです。

さらに1〜3の様々な組み合わせを試したりする中で、「それ」を感じるかどうかは2のアンプによるところが大きいということが次第にわかってきました。それは「音の安定感」とでも言うような漠然とした感覚ですが、ある一定レベル以上のアンプではスピーカーを鳴らすパワーアンプにしてもヘッドホンアンプにしてもその「安定感」を感じます。

そして「aune BU1」を初めて聴いたときに感じた「あの感覚」とは、そのサイズのポータブルオーディオ機器ではあまり感じたことのないような、圧倒的なその「音の安定感」でした。

実は「aune BU1」のベースとなっている初代モデル「aune B1」ユーザー

「aune BU1」は、ディスクリート構成のA級動作(クラスA)ヘッドホンアンプにUSB DACを搭載した機種ですが、もともと「aune B1」というヘッドホンアンプ単体の機種が2015年に発売されており、実はその発売直後の2015年秋に中国のネット通販「AliExpress」で購入しています。

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aune B1 は発売当時からポータブルヘッドホンアンプの常識を打ち破る異色の存在で、A級動作、ディスクリート・デュアルモノ構成など、通常その価格帯(購入当時のセール価格、約$150)ではあり得ないような仕様・スペックで、CNC加工のスマートなデザインの筐体の品質も完成度も高く、その音質はまぎれもなくクラスAアンプ、かつハイゲイン時の出力はどんなインピーダンスの低いヘッドホンでも楽に鳴らしてしまうハイパワー。据置型ヘッドホンアンプにも匹敵しそうな性能を持っていました。

購入当時は個人的にポータブルヘッドホンアンプブームで、国内外の様々なヘッドホンアンプ(主に中国メーカー製の安価なもの)を購入しては試したりしていましたが、aune B1 は中国メーカー製ポータブルヘッドホンアンプの中では別格の存在。

この初代 aune B1 においても「音の安定感」は他の機種と比べれば圧倒的にありましたが、据置機レベルにはあともう一歩という印象でした。

A級動作(クラスA)アンプとそのメリット・デメリットは?

aune B1シリーズやBU1の特徴でもある、「A級動作(クラスA)アンプ」とは他のアンプとどう違うのか?簡単に紹介します。

アナログアンプでは、トランジスタ真空管など増幅素子の動作上、どの特性の領域(動作点)を使うかで、A級やAB級、B級、C級などに分けられています。

詳細については下記PHILE WEBの記事で解説されていますが、世の中のほとんどのアンプがAB級動作であるのに対し、A級動作では増幅素子の特性上「一番おいしいところ」だけを使って増幅するため、非常に歪の少ないクリアで正確な音になります。その代わり消費電力が大きく発熱も大きいため、ポータブルオーディオ機器の場合、大型のバッテリーを内蔵したり動作時間が短くなるなど、あまり使われない方式です。

林 正儀のオーディオ講座 第14回:アンプの「A級、B級」って?- PHILE WEB

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ちなみに、市販されている「A級アンプ」の中には、真空管時代の名残なのか特性上そうなりやすいのか、音の艶がやや強めに出たり柔らかさを感じるものもあり、「A級アンプの音」というとそうした艶のある柔らかい音がイメージされることもあるようです。

一方で非常にクリアで透明感ある音の機種もあるので、基本的にはA級アンプは低歪みでリニアな増幅による自然さやクリアさ、透明感を持っているため、他の要素の影響を受けやすく(設計次第で無色透明〜艶や柔らかさを出せる等)、例えば強力で安定した電源回路で駆動したり純度の高い信号の入力などによる総合的な結果として「音の安定感」をもたらしやすいのでは、と今のところは捉えています。

ところで、初めて「音の安定感」を感じた時の据置型のフルサイズ単品コンポーネントのアンプは、実はA級アンプではなくAB級アンプです。
据置型の単品オーディオ機器では小型のポータブル機とは比べ物にならないほど電源の余裕や設計の自由度と技術的優位性があるため、AB級アンプであっても「音の安定感」を感じられるようなしっかりした音を実現できているためではないかと思います。
そのため、単純にA級アンプだから音が良いというわけではなく、方式は問わずアンプとしていかに理想的な動作をするように設計されているかが「音の安定感」を感じられるような音質を実現しているようです。

その上で、小型軽量かつバッテリーで動作するようなポータブルヘッドホンアンプでは、そもそもアンプ設計上の制約条件が多いため、A級動作のアンプ回路を採用している機種は必然的に電源回路が強力だったりディスクリート構成だったりとアンプとしての基本性能が高いものとなっています。
aune B1シリーズや BU1 もその例にもれず、もともと据置型のアンプなどを設計開発するメーカーでもある aune audio 社がノウハウを結集し、ひたすら音質を追求した設計によって、他のヘッドホンアンプと比べても段違いの性能を持つ機種になったのでしょう。
しかし、本当にその値段で大丈夫なのか心配になるほどのコストパフォーマンスの高さには驚くばかりです。

改良に改良を重ねて音質に磨きがかかった「aune B1」シリーズ

aune B1 は2015年の初代発売後、2016 Version2017 Version、限定版の B1 Limited を経て、現行の「aune B1S」まで着実に進化し続けており、パーツや基板のグレードもどんどん特性の優れたものになり、音質に更に磨きがかかっているようです。

www.tsh-corp.jp

初代の頃から、これは日本でも代理店さんがついて発売されないともったいないなーと思っていた所、約1年半後の2017年3月にはついに七福神商事さんが正規代理店となって日本でも正式発売され、多くのオーディオファンの手に渡るようになり aune B1 推しとしては嬉しい限りです。

個人的には残念ながら、まだ 2016 Version から現行の aune B1S までの音の変遷を聴いていないので、今回は aune B1S と aune BU1 のアンプ部での比較はしていませんが、デジタル系回路とアナログ系回路を一つの筐体に収めたことによる若干の心配を完全に払拭する音でした。

ハイエンドクラスDAC「ES9038」と実績あるフルディスクリート・クラスAアンプを一体化した「aune BU1」

デジタルオーディオが一般化し、スマホでストリーミング再生なども当たり前となり、一昔前はMP3プレイヤーなどと呼ばれていたデジタル音楽プレイヤーは今ではハイレゾ音源にも対応し、スマートフォンと同様にUSBポートからデジタルで音声を出力できるものが増えてきました。

aune BU1 が登場したのはおそらくそんな背景もあってのことだと思いますが、この機種はUSBポートから入力されたデジタル音声を、ハイエンドクラスのDAC「ES9038Q2M」でアナログ信号に変換し、B1ゆずりの音質の磨き上げられたA級動作アンプで増幅するという、今時のポータブルヘッドホンアンプとしてはほぼ理想的な組み合わせになっています。

DAC、D/Aコンバーター、すなわちデジタル信号をアナログ信号に変換する、デジタル・オーディオには必須(一部例外を除くw)の要素である「DAC」の世界で、現時点でオーディオ機器に搭載されているハイエンドのチップといえば、

が挙げられるでしょう。

どちらも据置型オーディオ機器向けに開発されたDACのため、消費電力が非常に大きくポータブル機に適したものではありません。一部ハイエンドメーカーからはポータブル機にこれを搭載してしまった変態的な(褒め言葉)機種も登場していますが、現実的には大容量のバッテリーを搭載して大型化したりバッテリー駆動時間が短くなったりと、利便性とトレードオフになっているところはあります。

そこで、aune BU1 には、ES9038PROのモバイル版とも言える低消費電力化した「ES9038Q2M」というDACが採用され、BU1の開発にはESS社のエンジニアも参加して共同で行ったいう力の入れようです。

「aune BU1」を簡単に表すと、A級動作、デュアルモノ・フルディスクリート構成の、ポータブル型としては随一のヘッドホンアンプに、ハイエンドクラスDAC「ES9038Q2M」の性能を余す所なく発揮させるようにした、現時点での最高のものを詰め込んだ機種ということになりそうです。

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aune BU1 スペック

USB入力 PCM 32bit/768kHz, DSD512
ヘッドホン出力 φ3.5mm
 出力 30mW@300Ω
 THD+N 0.0009%
ラインアウト φ3.5mm
 出力 2.0 Vrms
 S/N比 120 dB
 THD+N 0.00076%
本体寸法 126☓65☓18 mm
本体重量 230g

aune BU1 のパッケージ・付属品

aune BU1 は大きすぎず小さすぎないコンパクトな正方形のパッケージに、付属品とともに収められています。 シンプルながら上質でよい感じです。

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パッケージには、取扱説明書、メーカーの連絡先などか書かれたカードの他、付属品として次のものが同梱されています。

  • USB A to microB ケーブル(充電およびパソコン接続用)
  • USB-C to microB OTGケーブル(Android, DAPデジタル接続用)
  • リセット用ピン
  • Windows 用 ASIOドライバー CD-ROM
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USB-C to microB の OTG ケーブルは、OTG対応のAndroi 端末やUSBデジタルオーディオ出力に対応したハイレゾDAPとの接続に使用しますが、プラグ部に「aune」ロゴの入った袋うちタイプで長さは約12cm、使い勝手のよいL型プラグのものが付属しています。

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同様のL型プラグのUSB-C to microB の OTG ケーブル「FiiO CL06」と比べると、下の写真のように長めなので柔軟な運用が可能です。ちなみに、microB 端子のL型部の向きは「FiiO CL06」とは左右逆向きです。

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B1の基本設計を受け継いだスマートなボディ

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aune B1シリーズの特徴でもある、肉厚のCNC切削アルミボディにデュアルモノ・フルディスクリート基板がガラスの窓越しに見えるスマートで合理的なデザインは、おそらくDACの関係でアンプ部の窓が若干小さくなった以外は、ほぼ同じ。

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aune audio 公式サイトより

aune BU1 では、USBポートが充電用とデジタル信号入力用の2つになり、aune B1 でライン入力端子だったところがライン出力端子になっています。

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このデザイン・設計ですごいのは、ただでさえ発熱の大きなA級アンプの熱をアルミ筐体全体でまんべんなく放熱する機構になっており、通気口などが一切ない点。

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にもかかわらず、他の機種のように熱くて持てなくなる程にはならず、室温約25℃の環境下で、動作中の筐体表面温度は放射温度計の指示値では33.8℃。本体が反射率の高いアルミ素材のため低めに出るはずなので補正しても人の体温とほぼ同じ程度。USBポートから内部の温度を計ってみても35℃前後でした。

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エーアンドデイ 放射温度計 ブルー AD-5617

エーアンドデイ 放射温度計 ブルー AD-5617

ただし、ケースやポーチなどに入れて使おうとすると放熱できず熱がこもってしまうようで、筐体の金属面が空気に触れた状態で使うのが前提のようです。

パソコンとの接続

普段使っているパソコンは、MacBook Air 13"(Early 2014), macOS 10.13 High Sierra で、音楽再生には、Audirvana Plus 3.2 および Audirvana 3.5 を使っています。(3.5がまだ一部バグありなため、3.2がメイン)
Macでは USB DAC を接続する際、OS標準のドライバーで認識するので、USBケーブルを挿すだけで使えるようになり、どのソフトでもフルスペックで再生できるようになります。Windows では Windows 10 1703 以降は USB Audio Class 2.0 に対応し、24bit/192kHz まではOS標準で認識しますが、それ以上は付属のASIOドライバーをインストールした上で、ASIO対応ソフトで再生する必要があります。

尚、Windows用のASIOドライバー最新版はこちらからダウンロードもできるようです。

小型USB DAC収集家でもあるので(笑、Micro USB端子のUSB DACの接続には普段次のどちらかを使っています。

2つ目の、別冊ステレオサウンド「デジタルオーディオはじめてBOOK」に付属のAIM電子のオーディオ用USBケーブル「SHIELDIO UM1」の30cm版は、普通に買うと50cmで9千円というケーブルですが、eイヤホン秋葉原店に今年の夏頃、おそらく出版社から付属品だけ新古品として放出されたと思われる簡易包装のものが、新品フロアにも中古フロアにも大量にトテモヤスイ価格で売っていたので、もしまだ売っていたらラッキーです。(中古検索しても出てきません)

aune BU1 を Mac に接続し、Audirvana 3.5 で認識した状態がこちら。

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Macの場合はDSDがDoP転送方式のみの対応のため、DSDはDSD256(11.2MHz)までの対応になります。
aune BU1 の仕様上は DSD512(22.4MHz)まで対応しますが、Windows に付属のASIOドライバーをインストールし、DSDとASIOに対応したソフト側でNative転送に設定すれば、DSD512のデータを送れるはずです。(もっともそんな音源は極めて稀ですが)

DAPスマートフォンとの接続

ポータブル用途として aune BU1 のうまみが発揮されるのは、ハイレゾポータブルDAP(Digital Audio Player)とUSB経由でデジタル接続した時でしょう。クリーンなデジタル信号さえ出力できれば、プレイヤーの性能はそれほど重要ではなくなり、aune BU1 自体が高級なDAPに内蔵されているヘッドホンアンプを超える性能を持っているので、安価なDAPと組み合わせても高級機並の音を聴ける形になります。

接続は付属のOTGケーブルか、プレイヤー側に合ったOTGケーブルで接続すればOKです。 aune BU1 側のMicro USBポートは、信号入力用と充電用が別になっているので(CHORD Mojo などと同様)、OTGケーブルの種類によってプレイヤーの電力が吸い取られることもありません。

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今回は、主にこの写真の Hidizs AP80SS という DAP を使って試聴や評価を行いました。

非常にクリアできめ細かい高解像度、おそろしく音源に忠実かつ自然な音

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普段リファレンスとしても常用しているモニターヘッドホン、ULTRASONE Signature STUDIO でまず聴いてみました。

aune BU1 の音は、非常にクリアで見通しの良い透明感と、音の手触りが感じられるようなきめ細やかで非常に高い解像度があり、特に艶などの味付けやクセもなく無色透明でニュートラルな、音源にとても忠実に鳴るという印象です。B1初代モデルは若干音に艶が乗る感じがありましたが、そうした味付けもほとんどなく、かといって無機質ではなくナチュラルさが感じられます。
そして何よりも、ポータブル機では殆ど感じたことのないような地に足のついた「音の安定感」が感じられる、上質な音です。

音の濁りや混じり気が一切なく、ちょうど、この記事前半で記したA級動作アンプが本来もっている「超低歪みでリニアな増幅による自然さやクリアさ、透明感」が発揮された音と言えそうです。

特に、ダイナミックレンジ(最小音圧〜最大音圧)の広い曲でその違いはよりはっきり現れ、全周波数帯域にわたって歪み感がないので、超低域から超高域まで音のキレや立ち上がりがよいだけでなく、空間の広がりや残響音が消える余韻まできれいに聴こえます。特にライブ録音音源の空間のリアリティや臨場感は絶品です。

Matoma & Astrid S - Running Out (Samuraii Remix)
エレクトロニック曲ですが、ダイナミックレンジが広く低域のキレのよさがよく分かる曲です。ボリュームをどこまで上げてもうるさく感じないというのも、低歪なアンプの特徴の一つでしょう。

ジャズやクラシックはもちろんのこと、洋楽やエレクトロニック系の曲、音数の少ない弾き語り曲、インストゥルメンタル曲など、録音の良い音源には絶大な威力を発揮し、それなりのヘッドホンやIEM(イヤホン)などを使えば、レコーディング、ミキシング、マスタリングエンジニアのこだわりが見えるかのような音です。

反面、荒っぽく歪ませてある音源もどう歪ませてあるかがわかるほどしっかり正確に鳴り、どんな音源でも浮足立ったように暴れる感じがないため、元の音源以上の濃密さや臨場感を求める方には物足りないかもしれません。また、音のレンジの広さ/狭さがはっきりわかるため、常に一定の音圧が連続する作りが多い日本のメジャーなポップスや邦ロックなど、ダイナミックレンジの狭い音源では、あまりそのメリットが感じられないかもしれません。
むしろ、録音の良し悪しがはっきりと現れ、残念な音質の音源はどこがどう残念なのかはっきり示される形になってしまうので、日本の音楽を中心に聴く方には必ずしもおすすめではないかもしれません。

aune BU1 は、A級動作アンプの特徴が活きる音源やヘッドホン、イヤホンでの組み合わせで真価を発揮し、音源のフォーマットがMP3やAACなど非可逆圧縮音源なのかロスレスハイレゾかの違いよりも、音源の録音やマスタリングの品質の方が音質への影響が大きいということがはっきりわかるアンプです。

高感度なIEMでもバックグラウンドノイズがなく、470Ωのヘッドホンも軽々と鳴らす

aune BU1 に、様々なヘッドホンやイヤホンを接続して聴いてみましたが、Camplire Audio ORION のような高感度なIEMイヤホンでも、ヒスノイズ(ホワイトノイズ)がまったくなく、もともと電流値の大きなA級動作アンプなので、低インピーダンスの機種でも存分にその性能を発揮できる様子です。

そして、B1シリーズの伝統的な部分でもありますが、ハイゲイン時の出力が半端なく高いのは BU1 にもそのまま受け継がれており、まず鳴らせないヘッドホンはないと言ってもよいでしょう。

先程、リファレンス用の密閉型ヘッドホンとして「ULTRASONE Signature STUDIO」を使用しましたが、開放型ヘッドホンのリファレンスモニターとしては、「audio-technica ATH-R70x」という機種を使用しています。

この機種はインピーダンスが 470Ω、感度が 98dB と、かなりパワーのあるヘッドホンアンプでないと満足に鳴らせない機種で、ほぼ据置型ヘッドホンアンプで鳴らす前提の機種です。

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aune BU1 の「ハイゲイン」時の出力は、B1 のそれと同様期待を裏切りませんでした。BU1 のボリュームほぼ半分の位置で十分な大きさの音量で、周波数バランスや音のキレも問題なく、しっかり鳴らしきっています。

ここまで出てきたヘッドホン、イヤホンの機種のスペックを並べてみるとこんな感じになります。

機種名 インピーダンス 感度
Campfire Audio ORION 17Ω(at 1kHz) 110 dB(at 1V, 1 KHz)
ULTRASONE Signature STUDIO 32Ω 98 dB
audio-technica ATH-R70x 470Ω 98 dB/mW

これだけ範囲の広い、高感度なイヤホンからハイインピーダンスのヘッドホンまで、ほぼ全てのイヤホン、ヘッドホンを余裕をもって満足に鳴らせるA級動作のヘッドホンアンプはそうありません。
ハイパワーな据置型のヘッドホンアンプは、ほとんどの場合インピーダンスの高いヘッドホンを接続する前提で設計され、アンプ自体の出力インピーダンスが高いなど、高感度なイヤホンには向いていないためです。

据置型ヘッドホンアンプに勝るとも劣らず、一つのベンチマークになりそうな機種

自宅ではいくつかの据置型ヘッドホンアンプを使っていますが、その中でも定評ある「BURSON AUDIO Soloist SL」をリファレンス的に使っています。このアンプもフルディスクリート構成のA級動作ヘッドホンアンプで、据置機としては小型ですがあらゆるヘッドホンを細かな音のニュアンスを余す所なく力強く鳴らしてくれます。

そこで、aune BU1 と Soloist SL とで比較してみました。Soloist SL へは、MacにUSB接続したラインアウトの品質が高い据置型DACを経由してのライン入力です。

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困りました。
上の写真でも分かる通り、これだけ大きさが異なり使っている電源も部品もレベルが違う機器で、どちらで聴いても音の質感や切れ味など全く遜色ないのです。しかも 470Ωの ATH-R70x を鳴らす際は、どちらもゲインをハイゲインに切り替えて、ボリュームの位置はほぼ同じ半ば〜70%ぐらいの位置。BURSON AUDIO Soloist SL の存在意義が疑われかねない事態です。

通常ポータブルオーディオ機器は、単純に音質を基準に比較すれば据置型オーディオ機器よりも割高になるのですが、その構図を覆すようなレベルに達するようになったということかもしれません。もちろん、据置型機器は拡張性があったり電源供給の改良などで音質が向上したり、さらに深い沼が広がっていますが、aune BU1 は一つのリファレンス、ベンチマークになる機種と言えるかもしれません。

例えば、あるヘッドホンやイヤホンの音が、どうも接続するプレイヤーなどによって音が変わると感じたときに、aune BU1 は入出力に色づけなく音源やヘッドホンやイヤホンおよびケーブルを含めてそのものの特性を忠実に再現してくれるので、どの要素によって音がどう変わっているのかを知る手がかりにもなります。

aune BU1 の惜しい所

専用ケースがない

先にも記しましたが、aune BU1 はボディ全体で放熱するという機構上、特に専用のケースなどは用意されていないため、持ち運ぶ際やプレイヤーと組み合わせて使う際にあまり雑に扱えず、なかなか持ち出しづらくなってしまいそうです。
そのため、外でつかうというよりは机上でプレイヤーやパソコンと組み合わせて使うのが主な使い方になるかもしれません。

ボリュームの立ち上がりがやや急激

オーディオ機器のボリュームは、使用されている部品によって変化の特性が異なりますが、この機種ではボリュームを最小位置から上げていくときに、急に大きな音になる特性の傾向があるようです。特にハイゲイン時には、普通のヘッドホンでは少し回しただけで大音量になるので、よほどインピーダンスの高い機種でなければ、ゲインはノーマルのままでよいでしょう。
ただ、それでも高感度なIEMなどでは少し回しただけで大音量になるので、注意が必要そうです。

ラインアウトの音質がヘッドホン出力よりおとなしい?

これは意外な点で原因もよくわかりませんが、ラインアウトから様々なヘッドホンアンプに接続して聴いてみても、BU1 のヘッドホン端子に直接挿した場合よりもどうも音の純度が失われてなまってしまうのです。
試しに、手持ちのDAPAstell & Kern KANN のライン出力で同じ音源で比べてみると、KANN のラインアウトから同じヘッドホンアンプに入力した場合のほうが、クリアに聴こえました。

aune BU1 のスペック上は、ラインアウトのほうがヘッドホン出力よりも低歪で高品質のはずですが、どうもその性能がうまく活かせないのが原因もわからずなんとももどかしいところです。

バランス出力はありません

最近のDAPではほぼ標準装備になっているヘッドホン端子のバランス出力ですが、aune BU1 はアンバランス接続のみとなっています。
個人的には、ヘッドホンのバランス接続による音質やチャンネルセパレーションの向上よりもアンプの性能による違いの方が大きいと感じているので特に気にしていないのですが、バランス出力でないとイヤだーという方には残念ながらありません。

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aune BU1 はポータブル型ながらピュアオーディオ指向の方に特にオススメしたい機種。

aune BU1 は、純度の高い音や音源に忠実な音を求める、ピュアオーディオ指向の方にはぜひオススメしたい機種です。
クラスAアンプ(A級動作アンプ)の機種の中でも、味付けが少なく素の特性が優れているので、入力側の音源の質や出力側のヘッドホンやイヤホンの個性が、他の要素に左右されずに発揮させやすい機種とも言えそうです。

最近試聴した機種の中で、aune BU1 に近い音を感じたのは、Astell&Kern のポータブルDAP「KANN CUBE」です。

この機種は、DACに aune BU1 と同じ「ES9038」シリーズの、据置機向けのハイエンドチップ「ES9038PRO」をデュアルで搭載した、アンプ回路が非常に強力なモニター指向の音楽プレイヤーで、実売約18万円の機種です。

その KANN CUBE の音が、aune BU1 なら3万円台で手に入ります(笑) 音楽プレイヤーにUSBデジタルオーディオ出力さえあれば、1万円台から数万円のDAPでも高級DAPに匹敵する音になり、高感度のIEMからハイインピーダンスのヘッドホンまで鳴らすことができ、パソコンにつないでUSB DACとしても使えるので、あって困らない機種です。

あとは、いつ購入するかのみです。←

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