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思索と探索のクロッキー帳。オーディオや音楽の話題、レビューなども。

スピーカーケーブルにバナナプラグとYラグ端子をつけて交換してみた

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この夏の『Stereo』8月号付録のスピーカーに端を発して、じわじわと拡張されつつある自宅のにわか「プア」オーディオシステムですが、昔実家で使っていたケーブル類を回収してきて再利用することにしました。

スピーカーのグレードアップに伴ってケーブルもグレードアップ

当初、スピーカーケーブルは、デジタルアンプ「TOPPING VX1と同時に「とりあえず」購入した末端処理済のものを使っていました。しかし実は、今のメインスピーカーは『Stereo』付録のものから、「Cambridge Audio SX-50」に替わっています。(『Stereo』付録のスピーカーはサブシステム用になりました^^;)

英国 Cambridge Audio 製の「SX-50」は、今年の6月に発売されたばかりのスピーカーで、帯域バランスや空間表現力が素晴らしいのですが、「とりあえず」のスピーカーケーブルではその性能を充分出し切れていない感もありました。(SX-50のレビューはまた別の機会に♪)

そこで、実家に眠っているせっかくの「6Nケーブル」(ACROTEC 6N-S1050)を使わない手はないと、実家に寄った際にケーブル類を回収してきました。

「6Nケーブル」とは?

「6N」とは「9」が6個、すなわち「99.9999」を表し、ケーブルの導体である無酸素銅(OFC)の純度が 99.9999% と不純物が非常に少ない(=電気抵抗が小さい)、極めて純粋な銅であることを意味します。ちなみに、10円玉の銅の純度は 95% と言われ、実は純粋な銅ではなく銅合金です。

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もともとは、上の写真のシステムをつないでいたものですが、今はアパート暮らしで置く場所がないので、いつかもう少し広い家に引っ越した際に持って行こうと思いつつ、当面その予定はなさそうなので眠ったままなのでした。

末端にどのプラグをつけるべきか

実家のシステムでは、ケーブル末端は被覆をむいたそのままの導体を撚ってアンプとスピーカーのネジ式ターミナルにつないでいましたが、デジタルアンプ「TOPPING VX1」は非常に小型のためスピーカーターミナルの間隔が狭く、バナナプラグ以外では接続が難しいので、アンプ側は有無を言わずバナナプラグ化することに決定。

問題はスピーカー側です。

電気的には、ケーブルの被覆をむいた導体を直接ターミナルに接続するのが、一番電気抵抗も少なく音質的にも有利なのですが、むき出しの導体は空気に触れている部分がどんどん酸化していってしまい(初めはピカピカの赤い十円玉が茶色く黒ずんでいくのと同じです)、挿し替えたりしようとした時に、酸化して電気抵抗が大きくなった部分を切り落とさないといけないので、ケーブルがどんどん短くなってしまうという欠点があります。あと、挿し替えが面倒です。

アンプ側と同じバナナプラグでもいいのですが、バナナプラグの場合、皮を剥いたバナナのように開いた部分の「バネ」の力でターミナル側と接触するだけなので、ネジによる圧着ほどの接触面積が確保できないという問題があります。で、その問題を解決してくれるプラグが、「Yラグ端子」です。

見た目が「Y」の形をしているのでたぶん「Yラグ」と呼ばれるんだと思いますが、「ラグ」が何を意味するのかわかりません。英語圏では "spade plug"(スペードプラグ)と呼ばれていて、「Yラグ」というのはどうやら日本固有の呼び方のようです。どうして「Yラグ」って呼ぶんでしょうかね?

Yラグ端子では、スピーカーのネジ式ターミナル(バインディングポスト)に挟んで、ネジのトルクで締め付けて圧着できるので、接触抵抗の小ささは「導体直接>Yラグ端子>バナナプラグ」ということになっているようです。

Yラグ端子に迷う

Amzonで「Yラグ端子」を探すと実はピンキリで、ケーブルよりも高いものもチラホラ。今回使う「ACROTEC 6N-S1050」は当時の価格で1mあたり1,500円程度(だったかな?)と6Nケーブルとしては破格値で、プラグにあまりお金をかけてもバランスがよくないので、最終的に選んだのは次のプラグ。(※現在は販売終了しているようですので記事末リンクを参照ください)

このクラスの定番品としては、オーディオテクニカ製のもの↓がありますが、これはターミナル(バインディングポスト)の直径が6mmまでしか使えません。

SX-50のバインディングポストは直径8mmあるので、オーディオテクニカ製と同じ固定方式で8mmポストに対応し、お値段もお手頃ながら、真空管オーディオショップ「アムトランス」が扱っているという安心感もあり、このプラグを選びました。

低価格のプラグを探すと「Nakamichi」製のものがたくさん出てきますが、無駄にパーツが分割してあったり(余計な接点が増える→抵抗が増える)、そもそも「Nakamichi」って倒産したんじゃなかったっけ?ということもあり、今回はパスしました。

ケーブルのアンプ側にバナナプラグを取り付ける

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実は人生初のバナナプラグの取り付けです(笑)。

オーディオ用のケーブルは、一定の価格を超えると、概ね「電気信号の流れる方向」がケーブルに書いてあります。ケーブルに「方向性」があるということです。今回使う「6N-S1050」にも矢印の模様が記されているので、矢印の根元になる側(=アンプ側)にバナナプラグを取り付けます。

今回選んだバナナプラグは導体を上下2つのネジで固定するタイプなので、ケーブルの被覆を剥いて差し込み、2つのネジできつく締め付けて固定します。

しかし、それだけではケーブルに力が加わった時に、中の導体に直接ストレスがかかってしまってあまりよろしくありません。断線の原因にもなります。

そこで、熱収縮チューブを使って、被覆とプラグを固定すると同時に、導体が外気に触れないように密封することにしました。

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プラグ部分を透明の熱収縮チューブで固定した後、さらにケーブル側から黒い熱収縮チューブをかぶせて完全に密閉。

この方法が「正しい」やり方なのかどうかわかりませんが、原理的には確実で安全な方法ではないかと思います。

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ケーブルのスピーカー側にYラグ端子(スペードプラグ)を取り付ける

これまた人生初の…(以下略)。

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当初、Amazon の写真では構造詳細がわからなかったので、出品者のアムトランスさんに問い合わせたところ、ネジを外してケーブルを通した状態の写真を送ってくれて、これならオーディオテクニカのものと同じで安心、というのも決め手でした。

こちらは、下から差し込んだ導体を折り返して、ネジで締め付けるという固定方式です。
固定後に念のため、安物のテスタでプラグ間の抵抗を測って「0.0Ω」であることを確認。(後で今まで使っていたケーブルの抵抗を測ってみたら、なんと「0Ω」で安定せず若干の抵抗があることが判明…orz)

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ただ、これも構造上、導体に直接ストレスがかかりやすく導体が外気に触れるため、被覆とプラグを熱収縮チューブで固定、密封しました。

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これでスピーカーケーブルの末端処理は完了♪

スピーカーに接続して音を確認してみる

早速アンプとスピーカーにつないで音を聴いてみました。
スピーカー側は手である程度締め付けた後、厚紙で包んでペンチで締め上げました。

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Cambridge Audio「SX-50」は、もともと能率(入力感度)が「90dB」と高く(同価格帯の定番機「DALI ZENSOR 1」が86.5dB)、出力の小さなアンプでも50Hzの低音から高音まで非常に素直に鳴るスピーカーなのですが、今までの「とりあえず」のスピーカーケーブルから交換してみて、月並みな表現ですが「ベールがはがれた」ように、音の見通しがグッとよくなり、解像感も向上しました。

「Cambridge Audio SX-50」は、国内ではまだレビューが少ないですが、海外での評判がよく、少し前に Amazon でセール価格になっていたのを見つけて、Amazon アフィリエイト報酬を注ぎ込んでゲットしたのですが、その音に惚れ込んでいます。もう少し鳴らしこんでからレビュー記事でも書こうと思っています。

「熱収縮チューブ」はあると何かと便利

今回スピーカーケーブルのプラグ取り付けでも大活躍しましたが、熱収縮チューブは何かと便利なので常備しておかなければと思いました。

「熱収縮チューブ」とはその名の通り熱を加えると収縮してピッタリと固定できるチューブで、ライターやガスコンロであぶったり専用の日0とがんなどで加熱したりします。今回は、バナナプラグは半田ゴテで、Yラグ端子は電気コンロで収縮させましたが、火を使わずに安全にきれいに仕上がるという点で、電気コンロが安全でやりやすいなーと思いました。「ヒートガン」が1つあると何かと便利だと思います。

(今のアパートはプロパンガス代が異様に高い(1立方メートルで千円!)ので、調理は極力電気で行っているため、わが家では電気コンロが活躍していました。)

ちなみに「熱収縮チューブ」は、電気街に行けばもちろんありますが、ホームセンターではあまり扱っていないことが多く、郊外ではオートバックスなどのカー用品店の電装品コーナーにたいてい揃っています。今回使った黒い方のチューブも実はオートバックスで買ったものです。

配線関係ではあると何かと便利なので、常備品として1セット持っておくと、きっと役に立つと思います。

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