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日々の思索のためのクロッキー帳。オーディオやオススメなども。

「Bluetoothオーディオ」の仕組みと用語 〜Bluetoothスピーカーやヘッドホンを選ぶ際におさえておきたいポイント

オーディオ テクノロジー Tips 道具

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近頃は、何でもワイヤレスでつながる時代になり、オーディオの世界でも「Bluetooth スピーカー」や「Bluetooth ヘッドホン」が一般的になってきました。

Bluetooth オーディオの実用性について、自分自身、実は最近まで懐疑的でしたが、先日「OLA-BT1」が付録の『Olasonic完全読本』を買って実際に試してみて、「これは使える」ということで、他の製品にも興味がわいてきました。

そこで、「Bluetooth オーディオ」機器を選ぼうとする際によくでてくる用語やポイントを中心に、改めて「Bluetooth オーディオとは?」という基本的事項をまとめてみました。

Bluetooth の歴史とバージョン

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Bluetooth の歴史は10年ちょっとと比較的浅いですが、スマートフォンとともに一気に普及し、急に身近になった感があります。
Bluetooth には、他の多くの規格と同様に「バージョン」があり、年々新しい機能が追加・改良され、バージョンアップされてきました。簡単にまとめると、次の図のようになります。

Bluetooth 各バージョンの歴史と「A2DP」の登場

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この図にも記したように、「Bluetooth オーディオ」の最も基本的な仕組みである「A2DP (Advanced Audio Distribution Profile)」という規格が策定されたのが 2003 年で、実際にそれを組み込んだ製品が出始めたのが 2004 年頃です。Bluetooth のバージョンで言うと 2.0 から 2.1 辺り。ここが「Bluetooth オーディオ元年」と言ってもよいでしょう。

Bluetooth の各機能の仕様を決める「プロファイル」

Bluetooth では様々な機能や仕様を「プロファイル」として規格化しており、オーディオ信号の伝送/再生のためのプロファイルが「A2DP」です。また「A2DP」に対応する機器は通常、音楽の再生操作やボリュームのコントロールなどを規定した「AVRCP (Audio/Video Remote Control Profile)」というプロファイルにも対応しています。

他によく出てくるプロファイルとしては「Bluetooth ヘッドセット」の通話用規格「HSP (Headset Profile)」、通話に加え、自動車向けに音声認識による操作なども含めたハンズフリー機能の規格「HFP (Hands-Free Profile)」などがあり、これらを搭載した Bluetooth ヘッドホンなどでは、音楽を聴いている最中に電話がかかってくるとそのまま通話ができるようになっていたりします。

つまり、Bluetooth 機器は「どのプロファイルに対応してるか?」によって、その機器で使える機能が違うのです。さらに、送信側と受信側という関係があり、両方が同じプロファイルに対応することで初めてその機能が使えるようになります。

Bluetooth オーディオ機器の仕様などによく出てくる「プロファイル」の関係を大まかにまとめると次のようになります。

  • GAP (Generic Access Profile)
    • GAVDP (Generic Audio/Video Distribution Profile)
      • A2DP (Advanced Audio Distribution Profile)
        オーディオストリーミング再生機能
      • VDP (Video Distribution Profile)
        ビデオストリーミング再生機能
    • AVRCP (Audio/Video Remote Control Profile)
      リモコン機能/ボリューム・再生・停止・スキップなど(機器によって対応範囲はまちまち)
    • HSP (Headset Profile)
      ヘッドセット用/音声通話に必要最小限の機能をもつ
    • HFP (Hands-Free Profile)
      ハンズフリー機能/主に自動車内でのハンズフリー通話や機器の操作等の機能をもつ
      ※現在のヘッドセットのほとんどはHSPHFPの両方に対応

Bluetooth オーディオの圧縮方式

ここで、Bluetoothオーディオ規格の要である「A2DP」をもう少し詳しく見てみましょう。

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A2DP」という用語は知らなくても、Bluetooth 機器などで「SBC」や「AAC」、「aptX」などといった用語を見たことがあるかもしれません。これらは音声圧縮方式の規格で、Bluetoothオーディオにおいて 「音質」に大きく影響する重要なポイントでもあります。

Bluetooth は音質がよくない」という定説は過去のもの

Bluetooth オーディオ機器が出始めた頃は、「A2DP」で「対応が必須」となっている「SBC (Sub-Band Codec)」という圧縮方式が主流で、データ転送レートを抑えて通信の安定性を優先したためか、音声信号の圧縮率が高めに設定されていることが多く、「Bluetooth は音質がよくない」という定説ができてしまいました。

しかしその後、Bluetooth のバージョンアップによる通信安定性の向上やメーカーの実装ノウハウの蓄積などにより、データ転送レートを充分にとった低めの圧縮率で使えるようになったり、標準の圧縮方式「SBC」に加えて「AAC」や「aptX」といった、より高音質な圧縮方式に対応した機器が増えてきたため、現在ではその定説は完全に過去のものとなり、「Bluetooth オーディオ」はオーディオとして日常使用に耐えうる実用的なものとなっています。

音声圧縮方式の種類とBluetooth機器の対応関係

Bluetooth オーディオ機器を選ぶ際におそらく一番注目すべき点は、「どの音声圧縮方式に対応しているか?」でしょう。

規格上、Bluetooth オーディオ機器である以上は、最低限「SBC」には必ず対応してるので、「A2DP」に対応した Bluetooth 送信機器(スマートフォンやパソコンなど)であれば、「SBC」方式で Bluetooth スピーカーなどから音楽を聴くことができます。

ただ、「SBC」はその処理が複雑なためか若干の遅延があり、動画と音声がずれたり、原理的に特定の周波数にノイズが出やすいなどの欠点があります。そこで、最近対応機器が増えているのが、「AAC」と「aptX」です。

AAC」は iTunes のデフォルトの圧縮方式にも採用されているなど、同じデータ量のMP3よりも高音質で圧縮可能な、実績も十分ある方式です。

一方「aptX」は、1980年代にイギリスのクイーンズ大学ベルファストでそのアルゴリズムが開発され、ケンブリッジに本拠地を置くCSR 社によって当初は放送業界向け、その後 Bluetooth オーディオ向けに実用化された、高音質・低遅延を謳った独自規格で、近年急速に対応機器が増えている圧縮方式です。(当初は「apt-X」と表記されていましたが、2010年に「aptX」の表記に改められました)

対応する圧縮方式のうち、より高音質な方式が自動的に選ばれる

Bluetooth オーディオでは、通常、送信側(スマートフォンやパソコン、Bluetooth トランスミッターなど)と再生側(Bluetooth スピーカーやヘッドホン、レシーバーなど)でそれぞれ対応する圧縮方式のうち、一番高音質な方式が自動的に選ばれます

例えば次のような形になります。

  • 送信側と受信側で対応する圧縮方式が異なる場合→「SBC」

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  • 送信側と受信側両方が「aptX」に対応する場合→「aptX」

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AAC」ファイルを再生する場合は圧縮処理を省いてそのまま送信される!

基本的には、「aptX」が最も高音質というのが定説ですが、実は送信側で iTunes などの「AAC」形式の音楽データを再生し、「AAC」対応の Bluetooth 機器で受診する場合のみ、特別な処理が行われます。

  • 送信側と受信側両方が「AAC」に対応し、かつ「AAC」形式のデータを再生する場合

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「SBC」も「aptX」も、送信時に一旦 PCM 形式のデジタル音楽データを圧縮処理(エンコード)するのに対し、「AAC」形式のファイルを再生する場合は、この圧縮処理を省いて「AAC」ファイルをそのままストリーミング転送して再生するため、元の「AAC」形式のデータを劣化させることなく、Bluetooth スピーカーやヘッドホンで再生できるのです。(注:Bluetooth機器の実装によっては必ずしもそうならない場合もあるようです)

普段 iTunes で「AAC」形式で音楽データを管理していて、iPhoneiPod touch などで音楽を再生する場合がこの条件に該当します。そのため、iTunes Store でダウンロード購入したり CD から「AAC」形式で音楽データを取り込んでいる方は、「AAC対応」の Bluetooth 機器を選択するのが吉です。

最近よく見る「NFC」とは?

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最近の Bluetooth スピーカーの多くに「NFC対応」という文字と共に、本体のどこかに上のようなマークがついているを見かけますが、「NFC」というのは、実は直接は Bluetooth と関係のない技術で、4cm 以内の至近距離で通信を行う規格の総称です。「Suica」や「おサイフケータイ」なども「NFC」の一種です。

Bluetooth では「NFC」をどう利用しているのか?イメージとしては、次の図のような感じです。

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通常、Bluetooth 機器は、手動で「ペアリング」という操作をしないと相互接続が出来ませんが、この面倒な「ペアリング」操作を「NFC」によって肩代わりして、利用者が特に操作しなくても機器同士を直接「タッチ」させるだけでペアリングを行うのに利用されています。Bluetooth 以外にも Wi-Fi アクセスポイントで同じ方法で接続するものもあり、今後このマークを見かける機会は増えていくでしょう。

ただし、これも送信側と受信側の双方が「NFC」機能を持っていないと使えず、現時点では iPhoneNFC に対応しておらず、Android 端末に対応機種が多いようです。

その他、Bluetooth オーディオを選ぶ際におさえておきたいポイント

概ね、以上の事柄をおさえておけば、Bluetooth スピーカーやヘッドホンを選ぶ際に参考になることでしょう。

ただ、もう少し細かい所でおさえておきたいポイントがあります。これを順に紹介しましょう。

日本のワンセグ放送音声の著作権保護仕様「SCMS-T」

日本のワンセグ放送の音声には、著作権保護の仕組みが備わっており「SCMS-T」という規格を使用することが義務付けられています。そのため、ワンセグ放送の音声を Bluetooth オーディオ機器で再生したい場合は、送信側/受信側の双方がこの「SCMS-T」に対応している必要があります。

国内メーカーの製品では対応しているものがいくつかあるようですが、海外製品や海外製品のOEM製品の場合、非対応の場合が多いので、ワンセグ放送の音声を Bluetooth オーディオ機器で楽しみたい場合には「SCMS-T」に対応しているか確認が必要です。

Bluetooth の通信距離の規格「Class 1〜3」

Bluetooth では、3種類の通信距離が「Class」として規格化されています。ほとんどの Bluetooth 機器は見通し 10m 程度の「Class 2」ですが、一部の機種では見通し距離 100m の「Class 1」に対応したものもあり、利用環境や利用シーンによっては Bluetooth トランスミッター(送信側)の「Class」にも注意したほうがいいかもしれません。

クラス 出力 見通し通信距離
Class 1 100mW 100m
Class 2 2.5mW 10m
Class 3 1mW 1m

「電子レンジ」に注意!

Bluetooth が使用する電波の周波数帯は、ちょうど電子レンジや Wi-Fi で使用される 2.4GHz 帯(ISMバンド)です。Wi-Fi との干渉については、Bluetooth のバージョンアップにより対策されていますが、電子レンジについてはどうしようもなく、近くで電子レンジを使用すると Bluetooth の通信が途切れたりすることがあります。
キッチンなどで使いたいという場合はその点も考慮しておいたほうがよいでしょう。
また、Wi-Fi もできれば 5GHz 帯の 802.11n802.11ac などを使うのがベターです。

ハマりポイント「固定パスキー」

一部の Bluetooth 機器では、ペアリング用のコード(パスキー)が予め固定された数字になっているものがあります。(「0000」等)取扱説明書に小さく書いてあることが多いのですが、見落としやすく設定時にハマりやすいポイントなので注意が必要です。

「動作確認音」の大きさ

BluetoothスピーカーなどのBluetoothオーディオ機器は、ほとんどの機種で電源ON/OFFやペアリング時に「ピポパッ」といった電子音が出ます。それ自体は動作状態が確認できてよいのですが、機種によってはボリュームの設定にかかわらず常に同じ大きさの音で動作確認音が鳴り、深夜に電源をOFFにしようとしたり、一定時間信号が途絶えると自動的に電源がOFFになって、大音量で電子音が鳴り響いてビックリするという事例があるようです。 特に Bluetooth スピーカーなどでは、購入前にどんな音がどれくらいの大きさで鳴るのか確認しておくとよいでしょう。

Bluetooth のバージョン間の互換性

これは Bluetooth オーディオに限ったことではありませんが、Bluetooth は基本的に新しいバージョンは古いバージョンの機器とも接続できる、後方互換性が確保されていますが、より新しいバージョンほど機能が増えているので、古いバージョンの機器との接続では使用できる機能が限定的になる場合があります。また、先に挙げた「プロファイル」の対応の有無も絡んでくるので、一概に「このバージョンとこのバージョンが互換性がある」とは言えないので、注意が必要です。

もう一つ注目すべき点は、Bluetooth 4.0/4.1 では、Bluetooth 3.0 までとは異なり、主にヘルスケア分野向けの超低消費電力通信の機能を盛り込んだ新しい仕様が追加され、2種類の規格が同居している状態になっていることです。

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上の図で「Bluetooth Smart」(通称:BLE (Bluetooth Low Energy)/シングルモード)と呼ばれるものが、その新しい仕様で、従来の Bluetooth 3.0以前とは互換性がありません。その代わり「Bluetooth Smart Ready」(通称:デュアルモード)と呼ばれるものが、実質的には Bluetooth 3.0+HS と同等の機能を持ち、いわばハイブリッドな規格になっています。

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ただ、Bluetooth 4.0 が登場したのが 2010 年で、次々と発売されるスマートフォンには基本的に最新の Bluetooth 規格が搭載されるので、買い替えサイクルなどの点から、ユーザーが意識的に使い分けないといけないといったことは、おそらくないと思います。

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