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クリエイター必見!「Lyric Video」がアイディアの宝庫でおもしろい

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数年前から、洋楽を中心に歌詞(lyric)を前面に出したミュージックビデオ、"Lyric Video (リリックビデオ)" をよく見かけるようになりました。

"Lyric Video" は撮影の一切ない「モーショングラフィックス」から、実写映像と合成したもの、さらには手書きやハンドメイドのクラフト系「ストップモーションアニメ」など、様々なアイディアで作られており、見応えがあるものも多くあります。

特に「モーショングラフィックス」や文字が動く「キネティックタイポグラフィ」は、Adobe AfterEffectsなどのソフトウェア(とプラグイン)があればPC上のみで作ることもできるため、制作コストも抑えやすく、通常の PV に比べて簡単に作ることができる手軽さも大きな特徴です。
そのため、初めから"Lyric Video" として作られるプロモーションビデオ(PV)だけでなく、通常の PV を作った上で後から "Lyric Video" が作られることも多くあります。

今回は、そうした "Lyric Video" の中から、公式映像で特にクリエイティビティが高いもの(と個人的な好み)を中心に紹介したいと思います。

キネティックタイポグラフィモーショングラフィックスが美しい Lyric Video

「キネティックタイポグラフィ (Kinetic Typography)」とは、読んで字の如く「動的タイポグラフィ(文字組)」で、日本では「モーション・タイポグラフィ」と呼ばれることもあります。
特に、欧文フォントは文字を加工しやすいため、モーショングラフィックス(画像や図形を動かして映像化したもの)上で様々な映像表現を生み出すことができ、洋楽の Lyric Video の大半は「キネティックタイポグラフィ」で作られている印象です。

Armin van Buuren feat. Trevor Guthrie - This Is What It Feels Like (Official Lyric Video)

オランダの世界的に有名なTOPトランスDJ、Armin van Buuren の 2013年の代表曲 "This Is What It Feels Like" の Lyric Video 版。手ブレとの同期や人物の後ろへの回り込み、影の投影など、一見シンプルなようで随所に工夫が見られます。

Cher - Woman's World [OFFICIAL HD LYRIC VIDEO]

20世紀前半のアメリカンレトロな雰囲気のイラストとタイポグラフィが印象的なPV。

Cher Lloyd feat. T.I. - I Wish (Lyric Video)

大胆かつオシャレなグラフィックで、リズム感のあるグラフィックが気持ちいいPV。

OneRepublic - Feel Again (Lyric Video)

欧文タイポグラフィならではの美しい文字組がバッチリキマっている、キネティック・タイポグラフィの代表的PV。

Little Mix - Change Your Life (Lyric Video)

モーショングラフィックス作品として、歌詞の世界感を奥行き感のある横スクロールなどでリズミカルに表現したPV。

James Blunt - Bonfire Heart [Official Lyric Video]

アルバム「Moon Langing」に収録の曲。ケネディ首相の演説から、アポロ11号が打ち上げられ月面に着陸し帰還するまでのシークエンスを、歌詞を一部、数式やコードで表現するなどインフォグラフィック風にまとめた大作です。是非フルスクリーン表示で YouTube の設定を HD 720p 画質に設定してご覧ください。

Coldplay - Atlas (Hunger Games: Catching Fire)(Lyric)

2013年のアメリカのSF映画 "The Hunger Games: Catching Fire"(邦題『ハンガー・ゲーム2』)のために Coldplay が作った曲。
星と星座の世界をモチーフに描いた、とにかく繊細でとても美しい映像作品です。これは、必ずフルスクリーン表示 HD 1080p 画質でご覧ください。

ハンドメイド感を活かした手描き・クラフト系の Lyric Video

"Lyric Video" でモーショングラッフィクスの次に多いのが、手描きやハンドメイドのクラフト、ストップモーションアニメーションを使った作品です。 デジカメとアイディアさえあれば作れるので、AfterEffects などの高価なソフトが無くても作ることが出来ます。手作りの素朴感あふれる作品が数多くありますが、今回は次の4作品を紹介。

Tori Amos - Trouble's Lament - Lyric Video

筆描き風のラインと文字で構成されたPV。筆跡の端の形状が揃っていることから、おそらく手書き風ブラシ機能のあるソフトウェアで作られたものだと思います。

Christina Perri - Arms [Official Lyric Video]

文字を並べたストップモーション・アニメーションPV。Christina Perri は他にも Lyric Video をたくさん公開しています。

Taylor Swift - We Are Never Ever Getting Back Together (Lyric Video)

女子的クラフト感あふれるオシャレなストップモーション・アニメーションPV。たぶんこの曲は聞いたことがある人が多いんじゃないかと思います。

Katy Perry - Birthday (Lyric Video)

全てがお菓子?な甘い匂いが漂ってきそうなPV。ここまでくると、もはや Lyric Video なのか普通の PV なのかわからなくなります。
Katy Perry は近年の Lyric Video の火付け役とも言われ、他にも Facebook タイムライン風や iPhone メッセージングアプリ風、LINEとコラボした日本語版 Lyric Video など、数多くの Lyric Video を公開しているのでそちらも必見です。

ちょっとやり過ぎた感のある Lyric Video

Lyric Video も、やりすぎると、もはや映画や普通のPVと変わらないクオリティになってしまうことがあるようです(笑)

Alan Jackson - A Million Ways To Die (Lyric Video)

曲のタイトルが物語るように、アメリカの開拓時代を舞台に、ありとあらゆる「死に方」を描いています。(一部過激な表現もあるので閲覧注意)

もちろん日本の Lyric Video もあります!

ここまでは洋楽を中心に紹介してきましたが、日本の Lyric Video もじわじわと出てきています。
例えば、先週公開された Perfume の新曲「Hold Your Hand」の Lyric Video。

他にも日本語ならではのアイディアが採り入れられた素晴らしい作品があります。今回は代表的な2つをご紹介。

サカナクション - アルクアラウンド(MUSIC VIDEO)

2009年に公開されたPV。NHK Eテレの『テクネ 映像の教室』で見かけるような効果を使っています。

このPVを作ったのは、Perfume のアートディレクションも手がける映像作家、関和亮氏。
このPVの制作秘話が次のサイトで明かされています。

HaKU「everything but the love」MV

サカナクションアルクアラウンドのPVのアイディアを3D空間上で更に進化させたような映像作品。「東京タイプディレクターズクラブ」の東京TDC賞2014でTDC賞を受賞しています。

この作品も、制作秘話が次のサイトで見られます。

その他の Lyric Video 関連情報

Lyric Video はまだまだたくさんあり、探せばもっとすごい大作が見つかるかもしれません。

Lyric Video が流行ってきた背景にあるもの

上のリンク先などでも「キネティック・タイポグラフィ」の起源や "Lyric Video" 普及の歴史的経緯などが紹介されていますが、特にここ数年の増加の理由は、「花園magazine」の記事を書かれた ガーリエンヌ さんの次のツイートが、一番説得力があるように思います。

個人的には洋楽を聴いても全部聞き取れないことが多く、「(曲名) lyrics」 でよく検索しているので、Lyric Video はとてもありがたい存在です。

以前、仕事で AfterEffecs を使って展示会向けのモーショングラフィックスをいくつか制作したことがあり、個人でも AfterEffects を持っているので、ちょっと作ってみたくなってきました♪