white croquis

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なぜかいつも視野狭窄なMSの和文フォント

メイリオ」という和文フォントがWindows Vistaに標準搭載され、Windows XPにもVisual Studio 2008 Express Editionをインストールすると正規に使えるようになっている。
※追記:後にWindows XP 向け ClearType 対応日本語フォントとして単体で配布開始。

日本語フォント初のClearType対応!と鳴り物入りで登場したものの、開けてみるとジャギーが残ってるし、縦と横の線の太さに異様に差があったりして、見ていて気持ち悪い。MacOS XのPDFベースの画面表示に慣れた目には特に違和感を感じる。それでも、ボールドフォントが添付された初めてのWindowsの和文フォントなので、少しは進歩したということか?

なぜ「メイリオ」は平体になったのか

ところでこのメイリオ、なぜか平体がかかって横長になって(あるいは縦につぶれて)いる。MS Pゴシックで作ってあった文書やスプレッドシートのフォントをメイリオに変えると、全体の幅が伸びて文字が収まらなくなったりする。なぜわざわざ平体にする必要があるのだろうか?

その答えは、2年前の「プレスセミナー」で語られていたらしい。

見やすさについては、特に横組みを意識。和文と欧文のベースラインを揃えるため、和文のグリフは縦横比95:100とし、全角ボディ内の位置も、5%ほど上に上げたとのこと。
だから和文が平体気味で行間も空いて見えますが、スクリーン上ではその方が、水平線が強調され、読みやすい。
http://jagat.typepad.jp/pc/2006/05/post_18e0.html

欧文とのベースラインを揃えるためだったのか…って、和文側を動かしたら他の和文フォントと合わなくなっちゃうじゃないの?合成フォント作るときは、普通は欧文側を動かすんじゃ??「行間も空いて見えますが、スクリーン上ではその方が」って、それはフォント側でやる事じゃなくて組版側でやること! 全くもって余計なお世話。ClearTypeにだけ対応してくれればそれでよかったのに。

「MS P」フォントの前例

これを見て、ふと「MS P」フォントを思い出した。「MS P」の「P」はプロポーショナルの「P」だけど、組版側で行うべき「カーニング(字詰め)」をフォント側で実装してしまったため、日本語Windowsでの文書作成が非常にやっかいなものになっている。

「MS P」も「メイリオ」も、限られた特定の利用シーンでのメリットを優先した視野狭窄の視点で作られたために、そこから少しでも外れるとデメリットがユーザーに襲いかかるという構図になっているように思える。

MSフォントはリコーのOEM字母リョービ)。メイリオの和文はシーアンドジーという会社が作ったらしい。この会社のWebサイトの、フォントベンダーにあるまじきテキトーなフォント遣いからして、信用のおけなさそうな感じだ。

フォントの形だけでなく、JIS2004問題など、日本語版Windowsのフォント事情はますます混沌としてきてもはや救いようがなさそうな気配。フォントや文字に破綻がなく誤訳もない(笑)英語版Windowsがとてもうらやましく見える。

まぁ、家ではMacをメインで使っているから関係ないけど。

追記 2008/03/10

メイリオのデザイナーである河野英一氏によると、

「こうして完成したメイリオ v1.0 は、通常のフォントファイルにインストールする通常のフォントとして作成されたもので、初めから OS に組込まれるつもりで作られたフォントではありません。そのメイリオ v1.0 がスクリーン上の可読性の良さを買われて中途から OS 用にまでスカウトされたのは大変うれしいことでしたが、意外にも我々作成者グループの手元から遠く引き離されてしまったのはまったく残念なことです。そのため、タイポグラフィの基本である可読性や洗練された美しさで目に心地さを与える微妙な調整もあまり施されず、荒削りな v1.0 のままで表舞台に押し出されてしまったのが現状です。」
http://furukawablog.spaces.live.com/Blog/cns!156823E649BD3714!7310.entry

ということらしい。やっぱり犯人はMicrosoftか?